↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人魚大戦  作者: 鮭さん
34/35

「始まりの唄人魚」と「誰でもない唄人魚」② ジェーン・ドゥ

話の整合性の為に前話ラストを改変します。

 始まりの唄(うたい)人魚。私の知らない間に随分と立派な二つ名を付けてくれる。


「私はそんな大層なものじゃないぞ」


 吹雪の人魚は答えない。沈黙で私の言葉を否定する。


「そもそも私に会いに来た訳じゃないだろう? お前の目的はなんだ」


 答え次第ではタダではおかない。この牛の国を凍らせる目的は一体なんだ。


「……ただのお礼よ。人間が海に人魚を殺しに来たから、そのお礼」


 霧の国による人魚討伐。たった一人の人魚に全滅した負け戦。その仕返しと言う訳か。


「それならお門違いだ。軍艦を出したのは遠くオリアナの霧の国の人間達。ここは牛の国ミーノス王国だ」


「それは陸に住まう者の理屈。陸の者がやらかしたのなら陸に住まう者が対価を支払うべきでなくて?」


 無茶苦茶だ。霧の国云々はただの理由付けで、そもそもこいつは理由などどうでも良く、要求はただ一つ、ただ歌わせろと言っている。


「お前、『人魚の譜面』は覚えたばかりか」


 やはり沈黙。今度は沈黙で私の言葉を肯定する。


「だからお前はそんなにも歌いたがってる。力を試したがってる。歌を試せるならどこでもいいと思っている。……この国はお前のおもちゃじゃないぞ」


 私に対し値踏みをする様ないやらしい目。成る程な。こいつは最初から私をバカにしている。

 そして、私を煽る様におどけて見せる。


「そんなに怒らないで。シャオエン、むしろ私と一緒に歌わない? あなたと二人ならこの国全部氷漬けに出来る。もっとも―」


 コイツの事はよく分かった。つまりこいつは―


「あなたがまだ歌えるのなら」


 最低のクズだ。


「氷を溶かせ、『プロメテウス』!」


 辺り一面に青い業火が立ち昇り氷を一瞬にして溶かしていく。


「サンフラワー!」


 たった今到着したのだろう。ワトソンたちの居場所にサンフラワーが見える。フェンやシゲミ、アストリアとキヨさんも一緒だ。女王の姿が見えないのは恐らく鳥男と連携を取っているのだろう。


 その炎をもってしても吹雪の人魚の周りはまだ氷の壁が立ち込めている。

 不快そうな顔を隠そうともしない吹雪の人魚にサンフラワーが呼び掛けた。


「人魚さん! 私たちと仲良くしましょう!」


 いつもの真っ直ぐな目で。こんなクズには勿体無い誠実さで。


 だが、その真っ直ぐな目はコイツには届かない。


「……誰よアンタ。いい? 教えてあげる。人間と人魚は仲良くなんてなれないわ」


「理由を聞かせてください!」


 サンフラワーの問いにコイツは濁った様な目を向けてこう言った。


「ジェーン・ドゥが人間を憎んでいるから」


 久々に聞く名前。聞くだけで心が重たくなる名前。


「ジェーン・ドゥ……その人も人魚なんですか?」


「そうよ。その力で霧の国の軍艦を一人で殲滅した唄(うたい)人魚。人間を憎み、人間を滅ぼそうとする唄(うたい)人魚、誰よりも強い『歌』をもつ終焉の唄(うたい)人魚!



 ―それが唄人魚(セイレーン)ジェーン・ドゥ。誰でもない唄(うたい)人魚」


「ねえ、シャオエンはその人の事知ってる?」


 知ってる。アイツの事は良く知ってる。だが私が答える前に目の前のコイツが答えた。


「当たり前だ! 人魚でアイツを知らない奴はいない! いいか、私はそのジェーン・ドゥに歌を教わった! この通り『人魚の譜面』だって作れる! 彼女に認められて私は唄人魚になる!」


 私は吹雪の人魚に向けて槍を構える。


「逆巻け、『神の―』」


 その瞬間オータに庇われるも、槍を構えた肩を地面から生えたつらら状の氷が貫いていた。オータが庇わなければ心臓を直撃していただろう。私の手からママの槍が落ちた。


「シャオエン!」


 勝ち誇った様な濁った目がこちらを向く。


「……『歌』の歌えないお前になにが出来る? くだらない理由で『歌』を捨てたお前に何が出来る!」


 ……くだらない理由だと? お前に私の何が解る?


「いいか! コイツは地上にいる愛する人間に会う為に人間の足を手に入れたんだ! 何よりも大事な『歌」を捨てて!」


「シャオエン大丈夫!?」


 サンフラワー、そんな顔をするなよ。


「……私は、どうしても会いたい奴がいた。だから人間の足を手に入れたんだ」


 二つのうち一つしか選べなかったんだ。仕方ないだろう? 私は器用じゃないから最前手なんか選べない。でもその選択に後悔はない。


「ハハハ! 哀れな人魚! 滑稽な人魚! せめて私の歌で葬ってあげる!」


 再びコイツは歌い出し世界が凍りついていく。


 私はこのまま負けるだろう。せめて『歌』があれば。失ってから何度も思う事。


 肩が酷く痛む。意識が朦朧としてきた。


 ……うまくいかないなあ。


「……氷を燃やせ、『プロメテウス』」


 サンフラワーの声が聞こえた。


 再び青い炎が巻き起こりサンフラワーの炎とコイツの氷が鬩ぎ合っていく。


「人間なんかに負けるかあー!」


 その、炎が収まるのを待たずにサンフラワーは再び宝石に手を掛ける。


「その聞こえる歌を燃やせ、『プロメテウス』!」


 炎は青からさらに白みがかっていくと氷の効果が消えていき、遥か頭上の『人魚の譜面』も薄れて消えていく。


「……なんだこれ? 私の『歌』になにをした!」


 尚も追撃をしようとするサンフラワー、


「悪意を穿て、『プロ―』」


 サンフラワーの髪が輝きを失い元のオレンジに戻っていく。


 神具が何を糧にして無尽蔵の力を出すのかは分からない。


 でも多分、サンフラワーは今、その何かを使い切った。


 サンフラワーがプツンと糸の切れたカラクリ人形みたいに力無く倒れていく。


「サン……フラワー……」


 必死で呼びかけようとするも声が出ない。フェンやシゲミが必死でサンフラワーに呼びかけている。

これがシャオエンの神具、『神の三叉』とその使い方だ!

「かき混ぜろ、『神の三叉』」 水の中で水流を産んで悪い奴を吹き飛ばしたり、ジェット噴射で高速移動をしたり。マヨネーズも作ったぞ! 料理にも大活躍だ!

「逆巻け、『神の三叉』」 逆回転だ! アマソーンの腰帯とセットで使うぞ! がんじがらめにした悪い奴を絡め取ったり、紐を建物に引っ掛けて立体◯動をしたり! 釣りも出来るぞ!

「貫け、『神の三叉』」 なんと普通の槍としても使えるんだ! サンフラワーたちと出会う前、魚を獲る時に役に立ったぞ! オリハルコン製でとても硬いんだ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。