17話 「新しい路線、新しい一歩」(後編)
春季ダイヤ改正初日。
午前五時三十分。
池巣自動車営業所では、運転士たちが運行表を受け取っていた。
今日から新しいダイヤ。
担当路線も、いつも通り勤務表に従って決まる。
---
細野孝太郎は運行表を確認する。
「今日は池42系統か。」
昨日までとは違う路線だった。
---
山下恒一も運行表を見る。
「俺は草49系統だ。」
---
「私は上31系統ですね。」
川村健吾が笑う。
---
大森恒一も運行表を確認する。
「私は王15系統です。」
---
山下が笑った。
「毎日違う路線だから飽きないよな。」
---
細野も頷く。
「その分、覚えることも多いけどな。」
---
そこへ金城恒一がやって来た。
「今日から新しいダイヤだ。」
「担当路線は毎日変わる。」
「だからこそ、どの路線でも同じ運転ができる運転士になれ。」
---
「はい!」
四人は元気よく返事をした。
---
池42系統。
細野は始発停留所でお客様を迎える。
「おはようございます。」
「おはよう。」
常連の利用者が笑顔で乗り込んできた。
---
「今日から時間が少し変わりましたので、ご注意ください。」
---
「教えてくれて助かるよ。」
---
細野は笑顔でドアを閉めた。
---
一方。
草49系統を担当する山下も、お客様へ丁寧に案内していた。
---
「この便は浅草行きです。」
「途中の時刻が変更になっています。」
---
「ありがとう。」
利用者は安心したように席へ座った。
---
上31系統では、川村が笑顔で接客していた。
---
初めて利用する学生へ、乗り換え方法を分かりやすく説明する。
---
「ありがとうございます!」
学生は何度も頭を下げた。
---
王15系統では、大森が落ち着いた運転を続けていた。
新しい時刻でも焦ることなく、一つひとつ確認しながら運行していく。
---
昼休憩。
同期四人は休憩室で顔を合わせた。
---
「今日は全員違う路線だったな。」
山下が缶コーヒーを開ける。
---
「これがいつもの営業所ですね。」
川村が笑う。
---
大森が資料を閉じた。
「どの路線でも、お客様へ正確に案内することが大切だと改めて感じました。」
---
細野も頷く。
「担当が変わっても、やることは同じだ。」
「安全に、そして丁寧に。」
---
夕方。
営業所では寺島主任が運行状況を確認していた。
---
「大きな混乱もなく終わったな。」
---
所長も満足そうに頷く。
「利用者からも『案内が分かりやすかった』という連絡が入っている。」
---
金城は四人を見ながら静かに言った。
「路線は毎日変わる。」
「車両も変わる。」
「だが、変わらないものが一つある。」
---
「お客様を安全に目的地まで届けること。」
---
「その気持ちだけは、どの路線でも忘れるな。」
---
「はい!」
四人は力強く返事をした。
---
営業所を出ると、春の夕暮れが街を優しく包んでいた。
明日はまた別の路線。
別の車両。
別のお客様との出会いが待っている。
それでも四人は迷わない。
どの路線でも、この街を支える運転士であることに変わりはないのだから。
(第17話 完)




