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第31話 三角飛びと囮の残像

第31話 三角飛びと囮の残像


イートンは腹を押さえ苦悶する顔、相当痛そうだ。

「参った。降参する」

パチパチと拍手が沸き起こる。観衆も次元の違う戦いに感動したようだ。



お邪魔虫キラク以外はユーキのところに集まってきた。キラクはまだ固まっていて動けない。


「どなたか、最後の動きの説明をお願いできますでしょうか?」

最後の動きが分からず、カグヤは皆のため解説を求めた。


「では僕が解説します。イートンさんは瞬歩で、1回目で僕の前へ、2回目で真横に、3回目で右斜め後方へ移動、4回目で左斜め後方になります。1回目~3回目の動きを本当は四角ですが三角飛びの技といいます、4回目は残像作る技の瞬歩と流れになります」

周囲は驚きと称賛の反応だが、負けた当人は嬉しくない。



「とっておきの技も通用しないか・・・」

「そんなこと無いと思うわ、4回目の瞬歩を鍛えればいけるわよ」

「あの時点で僕の脚の膝が笑ってるから、気装壁で防げても真面に戦えないし同じだね・・・」

周りはイートンの言葉で眺める、確かに両脚はガクガク震えているように見えた。


「残像を囮にするとは考えたもんだ、俺なら騙されるところだぜ!」

「ほほー もしゴーキ君なら引っ掛かって倒せるということかい」

「そりゃー無理な話しだ、4回目の瞬歩の後に攻撃入れても楽に防げるぜぇー」

「それ通用しないってことの意味だよ、はぁーなんか更に落ち込むな~」

ハハハハ みんなして笑い出した。大半の顔は引きつっているが。


「三角飛びのあと残像の瞬歩、面白い考えです」

「私が強くなりたいとタイラン教官へ相談したら、よし特訓だといい苦労のすえ編み出した技なんだ。未完成なんだけどイチかバチかの勝負に賭けたんだ」

「へぇータイラン教官の発案ですか、いいとこありますね」


「私むきの技ね、一工夫するば使かえそうかな?」

「お姉さまは、イートンさん以上にお出来になるんですか?」

「カグヤ その顔は何?、この私を疑ってるの?」

「疑うなど、め、滅相もございません」

言ってる顔を見ると半信半疑なのは分かった。


「丁度いい機会だから、いいわ、遣ってあげるわよ! ゴーキ手伝ってくれる」

カレンは実演するようだ。三角飛び得意だから問題ないけど。

会話を聞いていた観衆はカレン達から離れて広がり大きな輪を作る。


「カグヤ いーい見ていなさいよ!」

「は、はい」

カグヤはカレンの実力を疑っていないけど、一度見ただけで実演は無理だと思っていた。それより失敗をして恥を掻かないか心配していた。

周りからも、イートンさんが出来ないのに、いくら何でも無理だろうとみていた。



試技はあっという間の出来事だった。


カレンがゴーキに飛び込む、三角飛びのあと囮の残像をだす、同時に一瞬でゴーキの側部にカレンの足が止まっている。

「ドーン」と音が鳴る、その蹴りをゴーキは言葉通り盾で受け止めていた。


カレンはイートンの技を真似し決めの蹴りを入れていた、ゴーキも残像に攻撃を加えて更にカレンの攻撃を受け止めている。


その姿に周りはあっけに囚われる。有言実行だ。


イートンも本当に練習なしの本番でやれると思っていなかった。あれだけ苦労して習得した技、一度の見ただけで実行できるほど容易くない。それをあっさりと・・・

私の努力はどこにいった?・・・・・・余計に落ち込むのだった。


周りの騒めきと関係なく、カレンとゴーキは地面にしゃがみ込んで図を描いて談議し始めるている。


「確かに4回目は足腰に負担かかり溜めが起きる。ゴーキなら未だしも、溜めがあるとユーキでは反撃を食らうわね。もう一つ残像増やす・・・でもユーキに通用しないか。残像から気弾と風切りで誤魔化すかな? 瞬歩の速度も足らない気はするし・・・」


「残像から攻撃を増やすか悪くない考えだぜ。なら3回目、4回目の瞬歩中で気弾入れるってのはどうだ?」

「それも、いいわね。・・・あぁー 技の入れ過ぎは威力落ちるよ」

「そこんとこは試してみないと分からないぜぇ・・・でも沢山入れたらカッコ悪いか?・・・」

二人は囮の残像技の談議に夢中で周りなど眼中になかった。


周りも集まってきて二人の話しを聞きいっていた、が、余りにもその馬鹿さ加減に言葉がでない。

そもそもイートンの技も驚嘆に値する技なのに、その上をいくなど想像できるハズがなかった。


彼らが夢中になり談議を交わしている訳は何となく理解できる。


『残像』の技に強く興味を持った訳でない、三角飛びから残像までの一連の技の流れに注目していた。訓練により高度な技を使えるようになった三人だが、得意の連携技、連続技は1つも持っていない、

自慢のできるカッコいい得意技は開発してない、いきなりイートンの得意技をみせられ興味が湧き夢中になっただけ。

剣士たるもの得意技、必殺技の1つや2つなければ情けない。今までは基礎訓練だけで手が一杯々だった、自分だけの得意技、必殺技に憧れない人間はいない。


「得意技を考え、君達に近づいたと思ったけど甘かった。悔しいから得意技は完成させるよ、カレンちゃんの動きと比べて遅いのもわかった。よし頑張るぞぞぞーーーぉ!」

立ち直りの早いイートンである、そして負けず嫌いなんだ。


得意技の形を作っただけで強くならない、時間をかけ鍛え練度をあげないと完成とはいえず。完成しても更に磨きをかける、剣の技に終りはい。



固形物になったお邪魔虫キラクはようやく融解したようだ。思考回路は動き出した。

『イートンに勝っちゃったスよ・・・試験の順位は何?、僕より滅茶苦茶強いっス』


固まっているキラクに説明しようとイートンは近づこうとしたが止めた。ユーキと勝負して負けたのに説明も何もいらないだろうと気づいた。


近づいたのはもう一人いたユーキである。

「キラク先輩、固まってるようですが、どうしたスか!」

「いやいや、別に固まってないスよ。考え事していただけっスから」

苦しい言い訳である。


(先ほどまでの威勢はどうした! ほらほら・・何か言えよ!)

(タローさん 性格悪くなってますイジメは良くありません)

(ちっ! ユーキ、まだ何も言ってないぞ)

若返ったせいで性格も退行するタローがいた。違うかな?。


「試合の結果の通り、僕達は嘘をいってません。土下座して謝ってもらいましょうか」

(どうして、土下座せよと意地悪するんですか・・・)

「土下座とは大袈裟ス、申し訳なかったス許してほしいス」

「スはいりません、スなしでお願いします」

「スは癖です、確かに失礼ですね『申し訳ありませんでした』・・・これでいいスか?」

「土下座はなしですか、仕方がない許してあげましょう。以後、気をつけるように」


立ち去ろうとしたユーキに向かってキラクは言った。

「今回は諦めますが、仲間にすることまだ諦めたわけじゃないスよ」

諦めの悪いお邪魔虫キラクである、ここは脅しておかないと後々面倒になる。

「はぁー なんなら試合します先輩と・・・一度痛いめに合わないと理解できないみたいですね」

「ち、ちちょっと腹の具合悪いので遠慮しまス。また今度ス・・・で、で、では失礼します」

脅しても効果はないか、一筋縄ではいかぬ厄介者のようだ。

(コイツと話しするとムカつくんだよな。やっぱり一度ぶちのめす!)

(そんなことダメです)

慌てて教練場から姿を消した、どこまでいってもお邪魔虫であった。

《南無さん》



第二区教練場で一番強いイートンに完勝したことで相手をしてくれる人はいなくなった。

それより、まるで腫れ物に触るような扱いだ。イートンに勝ったことより、カレンとゴーキの滅茶苦茶な談議のせいだろう。お陰で、すこぶる居心地が悪い環境ができあがった。



早々と第三区教練場に戻って来た。

お邪魔虫キラクのせいで無駄に時間をくってしまった。



対戦相手がいないからといって第一区教練場に殴り込み、いや試合はさすがにマズイ。院長一派も何か思惑があって我々に手を出さないでいるからだ。こちらから出向き藪をつついて蛇を出すようなまねはしたくない。

ユーキ達の実力からすると同等以上に戦えるのは特待生の四~五人くらいだろう。教官に正騎士を呼んで訓練してて年少組の三人に敗れては面目丸つぶれになる。

不良どもやカグヤ班の戦いも知れわたってるだろうから今更感はあるが、これ以上派手に暴れればただでは済まない気がする。君子危うきに近寄らずと云う諺もあるくらいだしな。


戻って休憩もなく、カレンとゴーキは個別に自主訓練を始めた。ユーキとカレンは錬気の訓練をやるつもりらしい。


高さ3mある丸太の棒の前に盾を構えて立つゴーキ。

(タロー 合図したら俺に向けて適当に気弾を放ってくれ)

言われた通り小のユーキの手から気弾を放つ、当たれば防いでも1,2m飛ばされる威力はある。

盾で防ごうとしないで威力を横後方に逃がす、すかさず盾を地面に差し、左手で盾の上部を軸にして横回し蹴りを丸太に叩き込む。一回転して元の位置に戻り左手で盾を構える。


《あれだ、カグヤ班と戦った時、相手の気衝を後方に逃がして回し蹴りで倒した技》


イートンに触発されたのか、ゴーキも得意技にするため訓練するようだ。

盾で強い衝撃を受けると、どうしても体は上ずるか引いたりする。その時は反転攻撃できず受け身にまわってしまう。攻撃を盾で受け流せれば、それだけで強力な武器(技)になるだろう。


気弾は物に触れると爆発する、よって切ることはできるが弾くことは不可能だ。切った場合は左右に分離して衝撃が伝わっていく、当然近くで切ると直撃より弱くはなるけど無傷とはいかない。切ろうとする時は風切りとかで衝撃を受けない距離から破壊しなくてはならない。遠距離攻撃の指弾や同じ気弾で防いでもいい。

盾で気衝や気弾などを防ぐ場合の欠点は、衝撃を受けたあと攻撃に転じる時に間があくいて遅れを取ることにある。ゴーキの考えは、この間を無くす方法として衝撃を後方に逃がすことで回避しようとしている。



一方のカレンは連続の跳躍を行っている。高さは3mもないから飛行するつもりはないのだろう。3mの高さ維持して横移動できないか試している。空中で連続移動する姿は『空中殺法』や『影分身』などを想像できる。連続の跳躍は難易度が高い、カレンといえど簡単にいかないだろう、けど新しい技は夢が広がるし楽しい。

ここで手に入る情報は少なすぎる、錬気の本とかは王都へ行かないとダメなのかな、孤児院を出たら観に行きたいものだ。



この前の続きをユーキとカグヤは練習している。気弾を作ることに成功したが、飛ばすための気衝を教えず三人は大笑いした件。ユーキが教えるのは基本の気衝になる。

治癒錬気の上位者で、他の錬気をスイスイと習得するカグヤみて、基本中の基本の気衝ができないと気づけなかった。


お邪魔虫キラクは迷惑だったけど、イートンとの試合は収穫もあった。お邪魔虫キラクも捨てたもんじゃないか?・・・いや、いや面倒くさいし要らない厄介者だわ。



次回は秘密基地の全容公開といこうか。

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