第29話 カグヤと錬気
第29話 カグヤと錬気
今日も第三区は快晴だった。
朝は日課の入念な柔軟体操と第三区内を軽く長距離走している、体力をつけるためだ。
カグヤは柔軟体操で息があがることは無くなった。軽く走れるまでに体力をつけてきた、いい傾向だ。
(カグヤ 話しがあるんだがいいかな)
(はい 何でしょうかタローさん)
(カグヤ ユーヤに気の巡りを直す方法を教えるから、まず気の流れを探らさせてくれ)
(いいですよ)
(ユーキ 俺がカグヤに気の巡りを直しておいた成果がでてきている。もう1度やりたいから手伝ってくれ)
(わかりました)
(ユーキと手をつないで目を閉じ、瞑想する感じで気持ちを落ち着かせる。あとはユーヤに教えて遣らせるから安心してくれな)
(はい)
(ぼ、僕がやるんですか?)
(バカか、そう言わないとバレるだろうが?)
(そうでした、すみません)
カグヤは内臓の働きが悪く病気にかかり易い体質だ。
前に直したつもりだったけど不十分だったらしい、今度はしっかり調べて完璧に直そう。
精神を集中し一つ一つ丹念にみていく、やはり所々流れは悪いままだった。
治す所、修復する所を丹念に説明しカグヤ自身に直してもらう。
(カグヤ 終わったみたいだ。眼を開けてもいいぞ)
(ユーキさん、タローさん ありがとうございます)
(これからは、少しづつ体力がついていくだろう)
(えっ 身体が丈夫になるのですか? すごく嬉しいです)
(カグヤは元々剣士や騎士に向いてない。けど、訓練すれば人並みくらいなら戦えるだろう)
(まさか、まさか・・・わ、わ、わわたしが戦える、何かの間違いでしょうか?)
カグヤが興奮して過呼吸になりかけている。
(落ち着け、カグヤまずは落ち着いた方がいい)
(ハァハァ 申し訳ありません。思いがけない言葉に興奮してしまいました)
(特別なことは言ってないはずだが?)
人並みの力とは剣士や戦士に不向きと宣告されたと同じ、喜ぶところじゃないはずだ。
(いえいえ、私は常々皆さんに守られる自分が嫌でした。病弱で役に立たないことに引け目を感じていました。それが他の人と同じように成れるなんて夢のようです)
これは成った者しか分からない気持ちかもしれない。
(訓練しても人並みしかなれないぞ、それでもいいのか?)
(私は人の影に隠れて守って貰うのは嫌でございます。自分の身は自分で守りたい、もし強くなれるなら訓練もいたします。病弱なため諦めていましたが頑張ります)
(朗報もあるぞ。ユーキ達の以上に錬気を早く覚えられる、恐らく治癒錬気を早くから修練したせいで気脈が整理されている、これなら人の何倍の速さで覚えられるだろう)
(本当でございますか、この私が気装壁、気衝、風切り、気弾、瞬歩とかとか使えるようになる、これ夢でしょうか?)
余りの喜び方に、こちらも釣られて喜んでしまう。努力しても武術技能一級程度までだろう、それでも一般の人からみたら十分強いから護身用に役立つ。
一気呵成に話すカグヤ、会話に加われず聞いていた三人も喜んでいる。
「カグヤも私達の仲間入りね」
「おめでとう!」
「バシバシ しごいてやるぜ! ハハハ」
「不束者ですが、よしくお願いいたします」
時間かからず錬気は習得するだろう、なにせ優秀な人間が三人+タローがいるのだ。一挙に開花するかもしれない。
訓練は一人増え四人になり、いつもより賑やかで明るくなった。
治癒錬気の使い手は珍しい。基礎を覚えるのも大変だが、深層までにいたる治癒錬気は何倍も習得が難しいから更に使い手がいない。
カグヤは剣を覚えるこで自分自身で生きることを模索してる、治癒錬気を後回しでも有意義がある。
日が暮れるまで訓練は続いた。
次の日 第三区に四人が集まって日課を始める。
もう大人しい弱々しいカグヤでなくなった、元気で活発なカグヤに変身していきつつある。
なにより本人が嬉しいのだろうな、顔を見れば笑顔一杯に笑ってる、健康が一番。
取り敢えずカグヤの担当はユーキに決まったらしい。これは当然だな。
「カグヤ 眼をつぶり身体全体の気装を感じるられる」
「はいユーキ 感じられるます」
あれ! 二人とも『さん』が取れたんだ。何があって変えたんだ、まぁ聞くだけヤボか!
「気装か、気を手の平に集める感覚でやってみて」
「気装を集める感覚ね・・・・・・」
「ユーキ 手の気装の上に一枚薄い膜が出ているけど何かしら?」
「凄いよ! それが気装壁だよ、タローが言ってけどカグヤは超速の習得能力です」
「うそー これが気装壁」
「そのまま、そのまま 少しづつ壁を大きく厚くする感じで・・・そのままでいてね」
予測が現実になったらしい。何ら可笑しいことではない、覚えられる寸前まで来ていたのだから。
突然『バアーン』と音がる。
「ユーキ 危ないじゃない。剣を振るなんて・・・ あれー 痛くない」
「カグヤ 気装壁の一歩を攻略ね。やるじゃない」
「本当に痛くないんですね。聞いてた通りです・・・私が気装壁を作るなんて嬉しいわ」
周まりからも褒められ、お大はしゃぎのカグヤであった。
錬気の入り口に辿り着いた、これから長い時間を掛けて、速さ・強度・大きさの練度上げていかなければならない。自由自在に使いこなせて一人前になる。
主役交代でゴーキが気装壁について細かに助言していく。気装壁でゴーキに勝る者はいない。
ゴーキの講義にユーキとカレンはハットした。
自分達に何が足りなくて、何が足りているのか気づかされたのだろう。自分の良さや悪いところは知ってる感じてるつもりだけど認識は足りていなかった。
人に教えることは、とても難しい作業だ。口にだすとき正確に的確でなければ相手に伝わらない。そうかー 俺がそうだったように、教えることで自らの技の何が足らないか自覚できたのだ。
がむしゃらにやり悩んで苦労して力をつける方法もある。けれど人に教えて成長できても問題はなかろう。
これもカグヤ効果なのか、タローも勉強になると喜ぶ、実に素晴らしい。
基礎の大切さは誰もが知っている。けど上達すると、そこに戻ってまた見直すことは難しい。
高みに至るには基礎が完璧でなければ、途中で挫折する機会を与えてしまう。覚えているつもり、知っているつもり、分かっているつもり、出来ているつもりが結局終わりを招く。
俺は常に原点に戻って見直している。・・・・・・多分? そう、あって欲しい!
ゴーキの実技の指導が始まった。なんだ、カグヤの横でユーキ・カレンも倣って始めている。
「弟子よ なかなか筋が良い、教えたこと毎日訓練するのだぜぇ!」
「師匠 一生懸命に精進致しますので、ご教授お願い致します」
『ーぜぇ』はおかしいが、急に始めた『師匠と弟子』のコントは子供らしい発想でおかしい。
治癒錬気を中級から上級の域に達しているカグヤが、他の錬気を出来ない方が異常だった。
病弱のせいか誰も進め無かった? 何故だろう、カグヤ自身で内臓の気の巡りくらい簡単に直せるはずだ。
あえてその部分は教えていないのか、だからカグヤは知らないのだ。嫌悪するほど悪意を感じる。
午後からはユーキが剣装をカレンは気弾を教えることになった。
午後も第三区は快晴だった。
生徒一人に教師が三人、過剰な教育陣で授業は始まった。
剣装をカグヤに教えるらしい。
「剣に身体の気装をまとわす、分かりずらいですね。 えーと そうかー 手の気装を言わないといけない。 まずは手に集中して気を溜めてます、集中させた気装を剣に少しづつ延ばす感じでやって下さい」
「フフフ 分かりました」
ユーキの話しはたどたどしいけど教えたい熱意は伝わる。カグヤは嬉しそうにみていた。
意外にゴーキは教師に向いているな、カグヤへ教え方が上手で分かりやすかった。
「急ごうとすると気が逃げてしまいます。その時は気装を囲うように伸ばしてみて、そうそう・・」
『パチ』力が入り過ぎて気装が弾け飛んだ。
カレンとゴーキは参加するつもりはないらしい、二人で対戦し始めている。
開始して2時間、そろそろ集中力が切れかかっている。
(休憩にしないか)
カグヤの顔に大粒の汗が浮かんでる。ヘトヘトでぐったりしていた。
「カグヤ 僕の教え方が下手なせいですね」
「ユーキ そう簡単にポンポンできないわよ」
「何も悪くありませんユーキは、私が至らないせいです」
「慰め合うのはいいが、焦っても仕方ないぜ!」
ゴーキにしては真っ当なことを言う。
「休憩が終わったら私の番ね。指導はガンガン行くわよ」
「お姉さま、お、お手柔らかにお願い致します」
カレンが教える!、どう見ても教師に不向きだし不安要素は一番なのだ。・・・結果は分かるな。
カグヤは頭も回まわり、人とのやり取りもテキパキと上手いけど、こと戦闘になると直情型の典型の性格になる。
澄んだ青空を見上げて、ここは天国か地獄か・・・・・・
「違うわよ、手から離し過ぎたら消えるわ!」
カレンの罵声が飛ぶ。
「は、はい 分かりました」
「手の平から4、5cm先に気を一気に叩き込むのよ、丸くなるようにね。・・・気を抜かない!」
温情の一欠けらもない滅茶苦茶な奴だな。
「は、はい」
「ユーキ 横からごちゃごちゃ言わない。邪魔よ!」
「カグヤ いい感じよ。そのまま、そのまま・・・そして押し出す・・・」
「出す???」
どうしていいのか分からず、苦悶するカグヤ。
「アハハハハ! もう止めてもいいわよ」
「???」
何事か呑み込めていないカグヤいる。
「ごめん ごめん! 先に気衝を教えるのが先だった」
これを聞いたユーキとゴーキの二人は、カレンと共に自分達の間抜けさに大笑いし始めた。
「私は何か間違いを犯しましたか?」
「いやカグヤに罪はない、私達のアホさ加減に笑っただけだよ。ちゃんと気弾は出来たよ」
「本当でございますか、良かったです」
「気弾はできたけど動かせなかったでしょ!」
「はい 手にくっついたままです」
「気弾はね、気衝の衝撃で飛ばす仕組み成ってるの、今のカグヤでは前に飛ばせないのよ」
「なるほど! 私は気衝をできないです」
要約カグヤも三人が笑ったことを飲み込めた。
基本中の基本である『気衝』ができないなど夢にも思わなかった。初歩的なミス、失態だな。
(タローも意地悪ね、教えてくれればいいのに。あれタローいないわ、また自分で特訓中なのね)
答えは簡単、教える順番を間違えただけの話しだった。
余程、おかしかったのか。三人の笑いは天高く青空に響いていった。
読んで頂きありがとうございます。
《感謝》
『錬気』は架空の能力、空想(妄想)で書いてます。気=波を基本に、そこから増幅させ衝撃の波を気衝、瞬歩、跳躍等の技に、電波を念話などに見立て考えてます、浅知恵で深い考えもなく破綻(ご都合主義)してる部分も出てきますがご了承下さい。
作文は大の苦手でした、それが小説を投稿しようなど大それた行いです。(笑)




