第21話 新しい錬気とお邪魔虫
第21話 新しい錬気とお邪魔虫
今日も第三区教練場は快晴だった。
この地域は12月だというのに暖かい、早朝でも16,7度くらいだろうか訓練に最適な気候だ。
カレンとゴーキがやってくる。
《うむ、何だあいつ!。隠れながら尾行してるつもりだろうが、どう見てもバレバレだろう》
「タロー・ユーキ おはよう!」
「おはようだ!ぜぇ」
ゴーキよ語尾に『ぜぇ』を付けれても漢気は上がらいぞと自問自答する。ゴーキだから仕方ないか。
「おはよう!」
(おはよう!)
(ところでよ。気付いてるんだろうが?あいつは、いったい何者だ?)
(あの人は一つ上の11期生で元特待生でキラクって名前ね、バカで有名な人よ)
(噂ですが、院長から貴方はダメですと言われ特待生を外すされたらしいです。問題児なのか詳しいことは聞いてません)
(結構チャラいって噂だぜ、知らんけどな?)
酷いいわれようの元特待生キラク、バカや問題児やチャラいとか評判の良くない人物のようだ。
(元特待生か、草むらに隠れてくるなど絶対おかしい奴に違いない。それにしても面倒なのが付いてきたな。これじゃ特訓もできないし・・・ 話だけ聞いて追い返すかな)
(ユーキ変わるぞ俺が話す、しかし面倒くさそうーな奴にみえる)
(あっ、はい お任せます。タローさん是非ともお願いします)
おいおい、ユーキいま面倒ごと避けたな?。チッ!こいつら俺の扱い上手くなってないか?
「もしもーし、そこに隠れている元特待生キラクさん・・・バレてますよ」
草むらからヒョイと顔を出したお邪魔虫キラク。中肉中背だが背は170cmは越えている、けど平均以下なので中背はかわらない。鼻は小さく眼も大きい、卵型の顔で造りは悪くない。いい男の部類に入るだろうけど、どこかバカっぽい。
「うわっー なんでばれたんスっか。隠密得意ないのに自信なくっス!」
垂れた髪を手で払い、自慢気にキザったらしい仕草をする。
(何だこいつ、ムカつく、いっぺん殴るったろうか?)
(だ、だ、だっ、だめです! タローさん我慢して、我慢ですよ。本人は悪気ないようですから、殴ちったダメです)
「ふぅー・・・そう言えば昨日、ご相談があるとか無いとか、おしゃっていませんでしたか?」
草むらに隠れていたけど、汚れてもいないのに服の汚れを払い髪を整い始めた。こいつはバカだ。
「君たちの実力を調べてから仲間に入れよう思ったけど仕方ないスね」
あごに手を当て口角をあげる、また自慢げな仕草をする。
(なにー・・・その言い方と態度、やっぱりムカつくから殴ろうか)
(ダメですって、話しだけでも聞いてあげましょう)
「仲間に入れる? つまり勧誘にしにきたってことでしょうか?」
「僕がいれば君たちはもっと強くなれるっスよ、だから誘いにきたっス!」
上から目線かよ。
(俺、強いから仲間になれって意味かな?)
(そうみたいです)
「あれー ひょっとして元特待生キラクさんは強いとか思ってます?」
「当たり前じゃないスか?、君達は同年齢で最強ともてはやされたましたが、それ所詮言葉のあやでしょ。僕は模擬試験24位ですよ、君達より上です。仮にも元特待生の一年先輩を甘くみちゃいけないスよ! ハハハハハ」
模擬試験の意味分かってるのかね、あれは只の順位決めで本戦・予選の組み合わせをするための試験のはずだ。試験は技量を量る目安になるかも知れないが、必ずしも強さを量るものではない。
技量=強さは実戦経験のない少年時代だと間違いじゃないのは確かだけど。
「24位ねー・・・いらないっス!」
(バカに構っても時間の無駄だから帰るぞ~)
「はぁあー き、き、君 即答ってないスよ。みんなと話し合ってねー それから決めなよ!」
「チッ・・・仕方ねえなー 聞いてくるか?」
(おーい 俺達を勧誘きたらしいけど、ところで元特待生が模擬試験24位どうなのよ?)
(ハッキリ言ってカスです!)
(カスよね!)
(カスだな!)
みんな容赦なかった、補助脳持ちであればもっと上なはずのだが。特待生の資格を取り消される人間だ、他に訳ありなのかも知れない。
答えは簡単、邪魔ってことだな。
(しゃーねな、殴るいや断ってくるか)
(殴つちゃダメですよ)
(あぁ分かってるよ、ちょっといい案を思いついた)
「元特待生キラクさん、決まりましたよ」
「そうスか、これからよろしくスね!」
「いえいえ、まだです。入るのに条件があります」
「条件? 入れる方が条件受けるってこと、それ逆ぽくないスか?」
「嫌ならいいですよ、別に入らないだけですし・・・」
「いやいや、受けるって・・・ 条件言ってスよ!」
「条件は第二区にイートンって人がいます、僕たち3人と十回も戦いましたが一度しか勝てませんでした。この人に勝つたら加入してもいいです」
「第二区の人ねー 君たちが負けた人スか?」
「全員一回しか勝てませんでしたが、いいえ一度も負けていませんよ。他は引き分けただけです」
『1回は勝って他は引き分け? つまり同程度の力ってことスね。第二区の人なら本気だせば俺なら勝てるス』
「分かったス、第二区のイートンに勝つですね。約束は破らないようにース!」
彼は急ぎ第二区教練場へ駆け出して行った。何故かユーキは哀しそうな顔を浮かべています。
(タロー 慌てて駆け出して行ったけど何いったの?)
(なーに 第二区のイートンに勝つたら加入するって言っただけさ!喜んでいたみたいだが?)
(何それ、受ける。ハハハハハ)
カレンとゴーヤも腹を抱えて笑いだした、ユーキは哀しそうな顔してる。
(何がおかしいんだい)
(タロー知らないの? 第二区のイートンは模擬試験7位よ)
(俺は試験のとき脳内で瞑想か訓練してから見てないな、上位の何人かは確認したけどな。順位に関係なく奴の実力でイートンに勝つのは不可能だろうな)
《合掌》
(ところでタローからみて模擬どうだった?)
(試験のことか? そうだな特待生カイセイと特待生ナバラの強さは別格だな。今のお前らでも良くて引き分け、いや、それも難しいか? 先ず勝てないだろう)
(やっぱりね。私も無理だと感じるわ)
(同感です)
(俺も無理)
素直に相手の力量を測れるのはいいことだ。
向こうは6年も修行が長い、体格、技量・技能・技術に差が出るのはしかたない。その差は時間(経験)の差だけ、ユーキ達がその年齢に達したら彼らを軽く超えているだろう。
(それよりも順位はわからないけど一人とんでもない奴がいたな。まだ粗削りだけど強い、まだまだ伸びしろがありそうだから、数年もすれば特待生カイセイやナバラなんか目じゃない、きっと凄い剣士になるだろう)
(それイートンが剣士やめた理由の人じゃない? 確か同期で特待生ヒューガ・チートンと呼ばれる化け物よ)
(まだ9期生なのにあの強さ、他と比べちゃいけない人ですね)
(確かにな、あの人はまずいぜ)
(早朝から脱線してしまったけど、これからの訓練を説明しよう)
メモを取り出し読み上げていくタロー。
まず絶対覚えなきゃならないのが治療錬気になる、習得すればいいので難しくない。
■治療錬気 ※
体内に気を流し細胞を活性させる技
気を練ることで気装・気衝の能力を上げる
■索敵錬気
◎予気・感気・・・攻撃を感じる(予測・予知)能力※
「・・・・・・」
読み終わったあとの反応が悪い、予想された範囲内だなとタローは苦笑する。
(えー治療錬気は説明するまでもないな。鍛錬つまり習得は、瞑想しながら身体の気を探っていけばいいだろう。次が本命なわけだが予気又は感気は実戦で見せた方がいいだろう)
「・・・・・・」
やはり反応はすこぶる鈍い、言葉より実技をみれば変わるだろう。
(実技を見せたいからユーキ体を借りるぞ)
(はい)
(カレン・ゴーキはユーキに同時に攻撃を仕掛けてくれ、俺が相手する)
タローの左右前にカレンとゴーキが練習用の木剣を構えた。
剣装と気装壁でタローは二人の攻撃をかわしていく。
さらに剣速を上げて本気の攻撃を繰り出してくる、それでもタローは受け流したり弾いたり見事に防御してみせる。
次第に二人の息が上がってくるが攻撃の手は緩めない。
驚くのはタロー立っている位置がほとんど移動してないことだ。相当強くなったカレンやゴーキを子供扱いする力量差をタローは見せつけたのだ。
(よし、こん辺でいいだろう)
(ハァハァ・・・・・・・さすがはタローだわ、余裕でかわされる!)
(ハァーハァー・・・かわされると余計に疲れないか?)
(すごいです タローさん )
(とりあえず息が整うまで小休止しよう。これからが本番だからな!)
これからが本番と聞き戸惑う三人組。
「・・・・・・・」
(よし、さきほどと同じように攻撃をしてくれ、俺の方は目をつぶるけど気にしなくていい)
(いやーさすがにダメだろう、俺たちを馬鹿にしてるぜ!)
(いくら何でも無謀だと思うわ?)
(そ、そっ、そっかー ならゴーキ一人から始めるかな。上手くいったらカレンも入れてやってみよう。それでどうだ?)
タローは焦ってるみたいに言ってるが、顔はニコニコと笑っている。
(俺はそれでいいけど、怪我しても知らないぜ!)
(一発でも当たったらやめるから心配すんな、ではゴーキ始めるぞ!)
タローは剣を下段に下ろした、構えてもいないと云った方がいい姿勢だ。
心配だったのか、ゴーキは頭はやめて肩当たりをめがけて軽く剣を振り降ろす。
カーンと音と共にゴーキの剣が弾かれた、目をパチクリするゴーキ。
(手を抜かいないで、ちゃんと打ってくれよ!)
(本当にいいのか、怪我しても知らんぜ?)
(いいから、いいから ドーンとやちゃって!)
1回目より強く繰り出したが、どこかでまだ心配してるのだろう、まだ本気を出せていなかった。一撃二撃とかわされといく、ならと連撃を入れたが見事に受け切られた。
そこからはゴーキも本気の攻撃を繰り出したが受けられてしまった。
(ゴーキ やめーー)
(タロー 薄目開けてない? それとも手品なの?)
(目も開けていなし手品でもない、ちゃんとした技だよ。説明は後でカレンも入ってくれ!)
カレンも半信半疑に聞いてたけど、見事にゴーキの攻撃をかわすタローに反対することができない。
(ゴーキ どうゆう仕掛けは分からない、けど大丈夫そうだから最初から全力でいくよ)
(おう、汚名挽回して一本取るぜ)
どぅゆう手品か知らないけどタローは二人の攻撃をかわしていく。
前回と同じに余裕ありそうに見えたが少し違った、タローが二人の攻撃に押されて後ろに後ずさりし始めた。
見ると少しづつ身体が上ずってきていたのだ。
耐えきれず1m、2mと下がった時点で。
(たんま! たんま! さすがに、これ以上は無理だ降参する)
タローは気落ちしていた、眼を開け無くても開けたときと同じでないとけない、修行が足りないと。
(よっしゃー 勝ったぜぇ!)
(何が勝ったよ、この状況が解ってるの!)
(あっ そうだったぜ 一本も取ってない?)
(そんな事じゃないわよ、もうーバカはいいわ タロー 種明かししてしょうだい!)
(目をつぶったまま攻撃を受け切るなんて凄すぎです)
(なーに 種は、先ほど話した『予気・感気』の技を使って攻撃を防いでいたのさ)
(予気は攻撃がどこから来るのか予測・予知する技、感気は攻撃が来た時を感じる技。どちらも技と云うより技能の方が合ってるかも知れないなけど)
(予気と感気ね。目をつぶらないと使えない技なの?)
(開けようがつぶろうが関係ない、分かりやすく説明するためにやっただけだよ)
(確かに口で説明されても理解できないと思うわ、実際にみたら納得したもんね)
(ただねー、仕組みというか理屈がよく分かんないんだよな?)
(それじゃーダメじゃない、覚えられないなら意味ないじゃん!)
(そこは心配しなくてもいい、習得する方法は解ってるから・・・)
(防御力がめっちゃ上がるよな。相手の剣がくる前に予測できるなんて最高だぜ)
(もしかして夜とか暗闇の戦闘に役立つ技ですよね)
(あと不意打ちも防げるわ)
(いいとこに気づいた、他にもあるぞ、防御に余裕がでれば攻撃に注視できる利点もある)
目がキラキラしてる、やる気が出てきたみたいだ。
しかし習得するには、残念なことだが、凄い地味な訓練が待ってるとを三人はまだ知らなかった。




