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第18話 武者修行談

第18話 武者修行談


今日も第三区教練場は快晴だった


何もしない、第三区の教練場にきて日向ぼっこしている、明後日はいよいよ模擬試験の当日だ。


ここ20日間ほど第二区で武者修行と技の鍛錬をしていた、第二区で班は大小20くらいあるだろうか。

第二区に出入りするようになると、元特待生・あだ名が役に立った。

逆に声を掛けられ練習試合に困らなかったからだ。


(今日の訓練は休みです。休息するのもいいが練習試合の総評でもしたらどうだ)

「あのー 総評って何ですか?」

(ああ、こんな言葉使わないよな。つまり試合で良かった点や悪い点を話し合うことだ)

「たくさん試合したから俺詳しく憶えていないぜ」

「突然言われてもね・・・」


(そうだなー、じゃー「強さ」いや「実力」のお題はどうだ!)


「俺が一番最初だから言うぜ。最初の練習試合、あの時は何が起きたのか分からなくて困ったんだよなー」

「そうね、一番最初の時はビックリして脳ミソをガツンと殴られた感じだったわ。アハハハ」

三人して頷き合ってる。


(相手がわざと遅い動きをしてる、とか疑ったりしなかった?)

「そうそう、1試合目が終わって、次は罠があるんじゃないか考え悩んだぜぇ」

(全力の70%の制限掛けて、あの状態だから混乱するのも解るが・・・)

「まさか、あんなに弱いと知らないじゃん。騙してんのかと勘繰ったわよ」

「僕も啞然としました」


(本格的な訓練を始めてから、実戦は三人以外にしたことないのが原因だな)



(あの後からは80%の固定で戦ってもらうことにしたけど、他はどうだった?)


「僕は力の加減、調節に苦労しました。慣れてくると相手の動きが見えてきて不思議です」

「あるあるね、筋肉の動きとかで次何がくるのか見える。予測がつくから防ぎやすいのよ」

「技とかもそうだよな、技の出し方は似てて分かる」


(三人だけでしていた頃と比べて違いはあるか?)


「ユーキやゴーキだと全力じゃん、見る・考える暇がないから感覚で戦うこと多いかな」

「俺もそこはカレンと同じだな。試合の全力80%の加減はまじ面倒くせーが、それでも考えて戦うこと面白くなったぜぇー」

「僕も同意見。それとさ最近はカレンやゴーキと戦っても、以前みたいに遮二無二じゃなくなった。考えるは暇はないのは一緒で難しいは変わらずだけどねー、動きの先を読めること多くなった気がするよ」

「私も同感、ただゴーキは引っ掛けやすいから楽ね。逆に立て直すの早くて上手くいかないのが癪なのね」

「俺 騙されやすいのか、畜生ー!」

「僕はそうでもないけど、失敗すると慌てやすい方だら、立て直すのに一苦労するかな」


「ユーキはゴーキと本当に逆の性質だわー、どっちが戦い易いと言えないけど・・・」

「その点カレンは慌てたこと少ないな、ひょっとして性格ひでーんじゃねー」

「何をよその言い方、いたいけな少女をつかまえて失礼ね!」

二人は顔を見合わせプッと吹き出した、カレンは更にムッとする。


(戦い方は力を加減して戦うことで相手の動きを読めるようになり、駆け引きをするようになった。これでいいかな?)

大した事ないみたいに三人は頷いてるが、これは凄い進歩だろう。


(中盤からは瞬歩の速度3割制限だけど、入れてみてどうだった?)


「序盤戦の『気装と剣装』だけの時は工夫しても引き分けが精一杯でした。瞬歩を入れるだけで信じられないほど戦い方の幅が増え、戦うのが嬉しくて楽しかったです」

(普通は1つ技を覚えたら感激し嬉しくなるものだ、三人はいきなり沢山覚えたから、その点は薄いわな)

「俺は避けて叩く、また避けて叩く。けっこう好きだぜぇ、いや大好きだ!」

「それ脳筋バカしか適用しない技よ!」

(ハハハ)


「私は技は全力で出すものと勘違いしてた。瞬歩の3割制限でも、簡単に引っ掛かってくれるから笑ちゃった」

思い出したように、

「気衝が使えるくらいで偉そうにした奴に、3割瞬歩見せまくった後突進して行ったの。3歩で届く距離を3割瞬歩、3割瞬歩、最後の1歩を1割に落としたら、見事に私の前で剣が地面にめり込んでいた。その後はフルボッコにしてやったわ、いい気味よ!」

「知ってるカレンにちょっかい出した人でしょ。可哀想に!、あれ僕も参考にしたけど・・・」


前世の野球で投手が速球を見せ球にし最後はチェンジアップで三振するやつ。打者は速球に合わせて思いっ切りバットを大振する、振った後に球がやってくる。詳しくないから確かでないけど。


「何が可哀想よ。当然の報いよ、あんな奴」

「3割制限の瞬歩なのに強弱つけてるのか?」

「アンタはどうして毎回期待を裏切るのかしら、それって天才的ね!」


「俺は細かいこと考えても上手くいかない、やり合って隙が出たところを叩くのがいい。3割の瞬歩でも隙をつける、有ると無いでは大違いだぜぇ」


「だからやりにくいのよ、アンタって最悪の相性だものね・・・」


「実は僕もゴーキの対戦は苦手と言うかやりづらい。有利に進めても強引に打ち破ってくる」

「バカな癖に!こちらの弱み見付けて突いてくるし、犬の臭覚なみよ、いや野獣なみ、とも違うか。まぁ、どっちでもいいけど。小細工は通用しない、隙をみせたらガンガン押してくる、嫌らしい性格よね」

「お褒めの言葉に預かり恐縮だぜ」

「褒めてないし、バカな癖に難しい言葉使えるのね。フン」


(ハハハ ゴーキのことは於いといて、技量とかはどうだった)


「瞬歩 得意なんですー! みたいな人と対戦した時、ニヤけた顔みたら頭にきちゃって、それ以上の瞬歩見せて蹴飛ばしてやったわよ」

時々だけど制限解除していたの知っていたが、まぁカレンの所に変な野郎が来るのでしかたないか。

《合掌》

「技の速度・威力もそうですが、ちゃんと制御できている人も少なかった気がします」



「タローに質問あるんだけど・・・」

(カレン 何だい 急に改まって)

「去年の大会で歴代最高なんてもてはやされたけど、実際は同年齢で凄く強い程度でしょ?」

(だろうね)

「でも、今回は全然違うわ、私達は恐ろしく強くなった気がするのよ。去年と比べると強さの質が変わってる、タローのお陰なのは確かだけど、それだけじゃ釈然としない理解に苦しむのよ」

(言いたいことは分かる、強くなるために良き師匠につけといわれるけど、全員が同じく強くなれるなんて有りえないのは常識だよな。なのに三人とも強くなるのは、非常識以外に考えられない状況になっている)

「普通はそうだよね・・・」

(1つは補助脳のせいだと思うけど、補助持ちは三人と同じだといえばそこも違う。恐らくだけども三人には隠された秘密があるんだと考えている)

「隠された秘密? 私達にそんなのあるの?・・・どおーいうこと!」

(まぁまぁ 落ち着てくれ。確かなことは全く分からないことだ。予測もつかない状況だから、適当なこと言うと混乱するだろう)

「タローで分からないなら私達では無理だわ」

(可能性があるとすれば生い立ちに関係してるんじゃないか?程度だ)

「生い立ちですか・・・」

「・・・」

「・・・」


やはり、そこは黙るのか・・・

(まぁー そこは気にしても始まらんだろう。何とかなるさーだよ!)



(話を戻すが、技を使いこなしていた人はいたのか?)


「そうね、どの人も同じ感じゃない。きちっと出来た人は一人しかいなかったなと思うな」

「僕も一人いました」

「俺も一人知ってるぞ」


(ほうー みんな一人か珍しい。なら一斉に誰か言ってみて感想を聞こう。せーーの!・・・)


「イートン」


(あらら みんな同じか、俺も同意見だが)

「僕と手合わせが多かったですが、小技を使って隙を付く戦い方はしない人です。正攻法で正面から挑んできます」

「技の形がきれいね、納得いくまで繰り返し繰り返して覚えた技って感じかな。剣を振ると剣先が淀みなく綺麗な線を描き見事だよ、あと素直過ぎる戦い方は感心しないけどね」

「俺の時も瞬歩で間合いつめ剣を振る、すかさず気衝を放つとすぐ瞬歩か跳躍で引く。動作奇麗なぶんだけ予測しやすい、次はこれですと言ってるもんだしな。その典型が気衝だな、形を決めてから打とうするから一瞬遅れる、威力あってもかわされちゃー意味ないぜぇー!」


年が3つ上の先輩なのに君達は格上の目線だね、事実だから仕方ないけど本来逆の立場だろう。


「終盤にも戦ったけど、すごい成長してて焦ったわー」

「戦う度に強くなって、すごかったですね」


彼には世話になった、他の班に掛け合ってもらったり、こちらの意図を汲んで色々助言をくれた。


対戦相手はカレンは男性に好まれ、ゴーキは嫌がられた、ユーキは弱そうにみえのか誰かれ関係なく誘われる。



(イートンとたくさん戦ったみたいだけど結果は・・・)

「全部、引き分けです」

「イェーイ!」

(えっ!全員引き分けだったのか? でもイートンに勝ったとこ見たきがするが・・・)

「イートンにどうしても本当の実力で戦いたいとせがまれてしまって一人づつ1回戦いました」

(ほうー 彼ならバラしてもいいか! で、どうなった?)

(勿論 快勝よ! だから3勝7分けが正解よね)

彼は決して弱くない、院内でも上位者のはずだ。


(彼はここを出たら剣士か騎士とかになるのか?)

「ううん、彼は本部の事務系の仕事がしたいらしい。もともと剣士や騎士希望だったみたいね、ただ同期の人をみて、自分は剣士や騎士に向いてないと思ったらしいわ。君達とやれたので更に踏ん切りがついたって」


(あれだけ優秀なら商会の幹部だって成れるだろうな?)

物腰の柔らかさ低さに感心する、頭の回転が速く行動力もある。彼はとても優秀な少年、いや青年だった。


彼は年中組の9期生だけど第2区で一番強い、他は年長組3人がそこそこの強さくらいだろうか。


(これで練習試合の総評は終わる、試合は勉強になったと思うが決して慢心しないようにな?)

「はい」

「ラジャー!」

「了解だぜ!」



第二区への殴り込み、いや練習試合は無事に終わった。《合掌》



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