腕試しと試合
お待たせしましたァァ!
「ここが訓練場だよ!」
「「おぉ〜〜!!!」」
セラム姫の案内で到着した場所は、小学校の運動場ぐらいの広さがある広場だった。俺たちが入って来た場所とは反対側で騎士であろう鎧を着た人たちが剣戟を行なっている。
「広いな」
「うん、ここなら目一杯動けそうだね」
俺たちの反応を見たセラム姫は嬉しそうに微笑んでいた。自分の家の設備が褒められて嬉しいのだろう。
「ん?」
「如何なされました?蒼眞様」
「っ……お姫様」
俺の疑問符に反応を示したのはエシル姫、いつの間に横に来ていたのかわからず内心飛び上がりそうになってしまった。ホント、心臓に悪いです……。
「何か?」
「あぁいや、さっきから騎士様たちが魔法を使ってないと思ってな」
バレないように抗議の視線を向けていると、疑問に思ったのか再び問いが飛んでくる。慌てて本来疑問に思った方の話題を振る。逃げたわけじゃない、絶対にだ。
「そうですね。多分、彼らは魔道士の中でも近距離型なのだと思います」
「近距離型……他にもあるのか?」
「はい、遠距離型です。一般的には近距離をクロスレンジ型、遠距離をアウトレンジ型と称します」
「近距離型、遠距離型、ね」
「はい。それともう一つ……オールレンジ」
「万能型……か……」
「その通りです」
万能型ねぇ……あれ?
「近距離と遠距離なら、遠距離の方が強いんじゃないのか?」
「そうとも限りません。魔法だって避けることはできますし、腕のいい人は魔法を切り落とす人もいます」
「切り落とすって……」
まぁありがちだけど……本当にできんのか…?
いや…出来そうだな……照とか特に……。
「まぁいいか。やるぞ、照」
「うん、蒼眞との手合わせは久々だね」
「今回だって必要じゃなきゃならねぇよ」
「えぇ〜!なんで!?」
「疲れるんだよ!お前とやると!」
全く……お前に付き合う俺の身にもなれってんだ……。
心の中で愚痴りつつ、騎士の邪魔にならないよう入口から少し離れたところへ向かう。
「そんなに疲れるかなぁ…」
「こっちは毎回全力全開なんだよ!全く!」
照のぼやきに反論しつつ、照を正面に見据えて立つ。これくらい離れればお姫様達にも被害はいかないだろう。
「さぁ、やろうよ。蒼眞」
そう言葉を発し、構えを取る照。
「うっせぇなぁ…。分かってるよ」
俺もそれに答えるように、静かに構えた。
あたりの音が消えていく、目の前の照に意識がどんどん集中していく感覚がわかる。
空気がピリピリするのを感じながら、静かにその時を待つ。そして————————。
「行くよ!」
「来い!」
———————力強く地面を蹴った。




