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魔法体と魔導体

久しぶりの更新になってしまい申し訳無いです…





上手く照がセラム姫を宥め、王様は公務があると部屋を後にした。それからは楽しく雑談をしていると、時刻は夕暮れを迎えそうになっていた。


「もう夕暮れか…」


「夕暮れ…あぁっ!!」


「如何されたのですか?」


俺の一言に照が大きく吠える。その事に首を傾げたお姫様が照に問うた。


「学園!すっかり忘れてたよ!戻らないと!」


「「あぁっ!」」


照の言葉に二人のお姫様が声を上げる。如何やら全員揃って忘れていたらしい。


「どっ……どうしよう……」


「すっかり忘れていましたわ……」


あからさまに狼狽え始める二人のお姫様。照も冷や汗をかきながら目を泳がせていた。


「王様に連絡して貰えばいいんじゃねぇの?ここはセラム姫の家なんだしよ」


「あ、そっか。編入手続きの件もあるもんね」


「そう言うこった。なんとかなると思うぞ?」


「皆様が入って来られた時の様子から、町の方も騒ぎになっていたようですしね」


俺の意見にエシル姫が補足を追加してくれる。そういえば照の話では王様が頭を抱えてたとか言ってたな。


「そうだね。ちょっとパパに言ってくる!」


「あっ、ちょ!」


意見がまとまるや否やセラム姫が弾丸のように部屋を飛び出していく。行動力高すぎないか…あのお姫様…。


「セラムさんったら……」


「元気な方ですね」


「僕らも行こうか」


「そうだな」


飛び出していったセラム姫を追うために、俺達も慌てて部屋を後にした。






なんとかセラム姫に追い付き、輝く宝石たちに装飾された廊下を歩く俺達。向かう先は、先程ざわめいていた謁見の間である。


「そういえばさ」


そんな中、俺は思いついた気になることを一つお姫様方に問うた。


「この世界には幾つ国があるんだ?」


因みに口調は先程の雑談で見事に砕かれている。理由はエシル姫には敬語を使わないのだから私達にも必要ないと言う二人の姫様の発言だった。照が元から敬語を使ってなかったのも影響してることは間違いないだろう。………何であのバカは一国の姫様方に敬語を使わなかったんだ?


「あ、そっか。照君達は異世界の人だから知らないんだよね」


「そうでしたわね。すっかり忘れていましたわ」


「それでは、僭越ながら私が説明致しましょう。此処には私も含めて姫が三人もおられます。説明も致しやすいでしょう」


お姫様の言葉に二人の姫様が鷹揚に頷く。……て言うか聞き逃してたけど、今ウィルム姫忘れてたとか言わなかったか?第一印象はキッチリとした人だったんだが……この人も案外天然なのだろうか。


「では先ず、大きな楕円形の形をしている大陸を想像してみて下さい。私達が今居る此処魔道都市ラルフィードはその大陸中央に位置しております」


お姫様の言葉を頼りに、頭の中で楕円形の形を想像する。そしてその中央に目印の丸を描いてみる。


「ほうほう」


「次に、ラルフィードの北に位置する国が」


「シルーナ公国ですわ」


お姫様がウィルム姫にアイコンタクトを送る。それを受けたウィルム姫が自分の生まれた国の名前を告げた。その言葉を聞いてラルフィードの北の位置に丸を描く。


「ふむふむ」


「次に、ラルフィードの東に位置する国が私の故郷であるグラード帝国になります」


お姫様の言葉を受けて、東側に丸を描く。


「この感じだと、西と南にも……」


「蒼眞様の想像通りです。南にレドライク王国、西にイゼリオン共和国が御座います。」


俺の呟きに、頷いて肯定を示すお姫様。それに伴い、俺は頭の中に描いている地図の西と南の部分に丸をつける。


「東西南北に綺麗に分かれてるんだね」


「そうですね。ちなみに我がグラール帝国は闘技大会が名物ですね」


「「闘技大会!!」」


思わず照と一緒に反応してしまう。だって男なら一度は出てみたいじゃ無いですか!!……誰に言ってんだ俺。


『お呼びかな?』


呼んでねぇよ、話ならまた後でな。


『はーい』


セルマの声に素早く反応する。一度はやってみたかった中にいるやつとの会話は中々楽しいものだが……俺のプライバシーは何処へ?


(わたくし)の国であるシルーナ公国は西にあり、林業が盛んですわ。シルーナ公国の木材は良質で有名ですのよ」


「そうなんだ、やっぱり物を作るのに?」


「そうですわ、あとは魔法体の原料にもよく使われますの」


「魔法体?」


ウィルム姫の言葉に疑問符を抱く。魔導体とは違うのか?


「あ、それ僕も気になってたんだよ。学園長の話では魔導体って言ってたけど違うものなの?」


照が疑問に乗ってくる。学園長の話ってのも気になるな、後で聞くか。


「魔法体とは、魔導体を解析し、作られた物です。魔導体は数が少なく、欠点もあったのでそれを克服するために研究が始まったそうです」


「欠点?」


お姫様の説明に冷や汗が流れ出す。欠点だと?なんか嫌な予感がするのは気のせいか?


「はい、魔導体は持ち主を選ぶのです」


「………」


やっぱりかぁぁぁぁ!なんかそんな予感してたんだよ!嘘だろ!?もう魔書(ブック)使えないじゃん!いや使うけど!


「選ぶ?それってどういうこと?」


俺が内心発狂している隣で、照がさらなる爆弾を投下する。いや、確かに知りたいけどさ?怖いじゃん?絶対聞いたら後悔するやつじゃん?


「正確には、魔導体を使える人が限られているのですわ」


「ただ、条件がよくわかってないの」


「魔法が上手な人が使えなかったりすれば、今まで魔法を使えない人が使えた報告もあり、使えない人に使わせようとしても誰も使えなかったりと、まるっきり謎なんです」


「へぇ〜…」


感心するように声を上げる照の隣で予感が外れたことの安堵しつつ思考の中に潜る。使える奴と使えない奴がいる…か…。


自分は使えることと、さっきの話からいくつかの仮説を立てて行く。といっても、他に魔導体が無い時点で、それを証明する術がない。魔書(ブック)を使うわけにもいかねぇし……別の魔導体が手に入ってからだな…。


「魔導体の話はここまでにいたしましょう。次の国は……あ、着きましたね」


エシル姫による他の国の説明を聞き終わる前に謁見の間に到着する。まぁいいか、他の国の話はまた今度聞くとしよう。


「では、開けます」


セラム姫は一言呟くと、謁見の間の扉をゆっくりと開いて行くのだった。

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