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魔物との対峙

お待たせしました!




勢い良く走り出した僕たちは、避難する人混みをすり抜けて、まっすぐ王城まで走っていた。


「二人とも!大丈夫!?」


「平気ですわ!もともと体力はある方なんですの!」


「私もだよ!それより早く行かないと!もうすぐだよ!」


セラムさんの言葉の通り、遠くに見えていた王城が近くに見える。大きい城だけど、見学するのはまた今度だ。


「門番がいないっ…!?皆っ…!」


「セラムさん!」


「お待ちなさい!」


大きな城門が見えてくると、セラムさんが走るスピードを上げた。僕らの呼び止める声も聞こえていないようだ。


「っ!ウィルムさんいける!?」


「問題ないですわ!」


それに合わせて、僕等もスピードを上げてついて行く。ここで逸れるわけには行かない!


誰もいない廊下を駆け抜け、全速力でセラムさんについていくと、派手に装飾された大きな扉が見えてきた。


セラムさんは勢いそのままにその扉をぶち開けた。


「お父様!」


「セラムさん!」


「落ち着きなさい!」


セラムさんがぶち開けた扉をくぐる。すると———


「おい!ロープを持ってこい!」


「自害させぬようにしっかり拘束しろ!」


「はっ!」


—————謁見の間にて、数人の指揮の元、黒ずくめの男達が拘束されていた。


「へ…?」


「え…?」


「なんですの…?」


目の前の光景に呆然としていると、不意に僕達に声が掛かった。


「セラム?何をしておるのだ、それにその者らは…」


「お父様!ご無事で何よりです。それにしても、これは一体…」



声の主は玉座に座る男の人、この人がセラムのお父さんなんだね。


「む?なぜお前が襲撃を受けたことを知っておるのだ?」


「「「襲撃!?」」」


思わず僕とウィルムさんまで声がでてしまう。襲撃って…それならさっきでたっていう魔物は?


「ふむ、その様子では知っておったわけではなさそうだな」


「はい、私達は見たこともない双頭の魔物が王城に向かったと聞いていても経ってもいられず…」


「………まさか…」


「はい、街は大パニックです」


「なんという事だ…」


セラムの言葉に、王様は頭を抱える。なんというか…ずいぶんお疲れな様子だね。


「直ちに自体の収拾を図れ!情報はなるべく隠蔽しろ!特に彼の情報はだ!」


「「「「はっ!!」」」」


王様の檄が謁見の間に広がり、みんなが慌ただしく動き出す。黒ずくめの男達を連れ出す者、指示を出す者、その指示に従う者、さまざまだ。


「この国の兵士さんは優秀だね」


「そうですわね」


その様子をウィルムさんと話していると、セラムが王様に再び問うた。


「それでお父様、襲撃とは一体…それよりも、彼とは何方(どなた)なのです?」


「あぁ、それは…ん?」


セラムと話していた王様が、不意に僕を見た。何かおかしな格好してるかな?


「ふむ。話すより実際に会ってもらった方が早いだろう。ついて参れ」


「「「はい」」」


王様がゆっくりと立ち上がる。


「世は客室におる。報告はそちらに持ってくるように」


「は!」


「では、参ろうか」


兵士に指示を出し、歩き出す王様の後を、僕等は静かに付いていった。







「此処だ」


王様の後を付いてしばらく歩いていると、不意に王様が立ち止まる。


「世だ。入るぞ」


部屋のドアをノックし、王様が扉を開く。そして部屋に入って行く王様の後に続き僕等は部屋に入ろうとした。


「「「!?」」」


入る直前に見えた部屋の光景に僕等は一瞬固まった。部屋の中で双頭の魔物が女の子を襲っていたのだ。


「「照さん!」」


「っ!」


二人の声を合図に、僕は全力で地面を蹴った。その時武装の光でガントレットを出すことも忘れない。


「ふっ!」


勢いそのままに、僕は全力で魔物に殴りかかる。が———


「「グルゥ」」


———それを察知したのだろう。魔物は僕と女の子の間に立ち、僕の攻撃を右の頭の額で受け止めた。


「「グルルゥ!」」


「ぐっ!」


そしてそのまま力任せに僕を吹き飛ばした。


「「照さん!」」


「くっ!」


体勢を立て直しながら僕は魔物に向き直る。魔物も、僕を視界に捉えて離さない。


「………」


「「グルルゥ…」」


部屋に静寂が広がる。お互いに相手を警戒し、自分から動けない。


「何事ですか!?」


そんな静寂を破ったのは、意外にも襲われていた女の子だった。


「「「え…?」」」


思わず僕等は固まる。その隙を突かれるかとも思ったが、魔物は襲って来ずに起き上がった女の子すぐ隣に腰を下ろした。


その魔物をゆっくりと撫で、微笑む女の子。よく見ると、セラム達と同じくらいの年齢に見える。


その微笑む顔を僕に向け、女の子は僕を睨みつけた。


「貴方は何方様なのでしょうか。何故いきなりこんな事を?」


「あ…え…?」


「くくくっ…照とやら、なかなかのみのこなしであったぞ」


「お父様…?」


声のする方へ目を向けると、扉のすぐ隣に立つ王様の姿があった。


「ラルフィード王、これは一体どういう事なのですか?」


「落ち着かれよ、グラール姫。其奴の服装を見てみよ、蒼眞とやらの関係者ではないか?」


「え?」


グラール姫と呼ばれたその女の子は王様に向けていた視線を再び僕に戻した。


「蒼眞様と同じ服…貴方は一体…」


「蒼眞を知ってるの!?」


思わず大きな声で驚いてしまう。すると———


「うるせぇ!」


———よく聞き慣れた声が聞こえた。



ようやく合流です。長かった…。

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