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王様と謁見の間

最初のみ照編。他全て蒼眞編になります


セラムさんとウィルムさんに連れられて、僕は学園の外に出るために校門を抜けた。そこにはー


「うわぁ…!」


ーー元の世界で感じることができない雰囲気にあふれた街が広がっていた。


美しい街並み、オシャレな建物が並び立ち、街道まで綺麗に整備されている。それがまた、街の雰囲気を際立たせている。空は広く、空気は美味しい。


「ふふっ、楽しそうですね照君」


「照さんからすれば、異世界の景色ですものね。(わたくし)達が感じないものも感じているのかもしれませんわ」


「あぁ!納得です」


はっ!つい街に見とれて二人を放置してしまった!


「ごめん、つい見とれちゃって」


「構いませぬわ。さぁ参りましょう、まずは制服を見繕うために服屋に行かないといけませんわね」


「そうですね。そのあと教科書を揃えて、照君に合う魔法体を見に行きましょう!」


二人に急かされて、僕達は初めての異世界の街を探索するために足を動かすのだった。






◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「おぉ…!」


お姫様に同行する形で魔導都市ラルフィードに到着した俺は、馬車の中から見える街の綺麗さに驚いていた。


「ふふっ、驚いておられますね」


「あぁ、思ったより綺麗でびっくりしたよ」


年甲斐もなくはしゃいでしまった。でも仕方ないと思う、だって異世界の街だぞ?憧れるだろ?


街に到着する前に、アルとウルには魔法陣に戻ってもらっている。魔物を街に入れて騒ぎになるのを恐れたためだ。そこからゆっくりと馬車を押して、俺達は魔導都市ラルフィードに到着していた。馬のいない馬車は町の馬を一頭借りて引っ張ってもらっている。


「ふふふっ。蒼眞様、子供みたいに目をキラキラさせておりましたよ」


俺に向かって眩しい笑顔を見せてくるお姫様。ヤベェ見られてたのか超恥ずかしいぞおい。


「い、いいじゃねぇか別に…それより、これからどうするんだ?どっか予定でもあるのか?」


「えぇ。この国の王様に挨拶に行かねばなりません。この国でお世話になるのに挨拶も無しとは失礼ですので。それと、蒼眞様の学園入学の許可も頂かなければなりません」


ゲェ…王様に会いに行くのか、嫌だなぁ…俺も行かなきゃダメかな?


「……俺も行かなきゃダメか?」


「当然です。蒼眞様の許可を頂くためですので」


「だよなぁ〜…」


気が滅入る。俺は元々一般人だぞ、なんでそんな位の高い王族様に会いに行かなきゃならんのだ。


「ずいぶん嫌そうですね…」


「貴族への礼儀も知らん奴がいきなりこの国のトップにご対面、こんな面倒なこと嫌がらないと思うか?」


「そうでしたね…。でもそうしてもらわなければ…」


「分かってる、依頼は依頼だ。ちゃんとするよ。願わくば、なるべく喋らないでいたい…」


絶対ボロが出る。そんな予感が俺を襲っていた。……王様の機嫌を損ねて打ち首なんてごめんだぞ。



「頑張ってください」


「はぁ…仕方ない。腹括るか」


覚悟を決める。俺がどう騒ごうとも馬車は城に向かっているだろう。ならもう諦めた方が早いというわけだ。……現実逃避じゃないぞ。


だって俺がどうこう言ったってどうしようもないなら諦めるしかないじゃん?


あ、さっきちゃんと出来なかったスキルの確認を今のうちにやっとくか。いざという時使えませんでしたじゃ話にならないしね。


「少し休むわ、着いたら言ってくれ」


「はい、ゆっくりとお休みくださいませ」


お姫様に一言言ってゆっくりと目を瞑る。


俺はそのまま城に着くまでの間、ゆっくりと自分の力を理解していった。







「グラール帝国第一王女、エシル・グラード姫一行である。国王陛下に御目通り願いたいのだが?」


「伺っております。此方へ」


スキルの確認を終えて軽くうたた寝していると外から話し声が聞こえて来た。


「蒼眞様、王城に着きました」


「ん?あ、了解」


お姫様に起こされて寝ぼけながらに答える。このまま二度寝したいところだが、そうも言ってられないのが悲しいところだ。


「もうすぐ馬車をおりますので、私に着いて来てください」


「了解」


さて、ここからは気合を入れないとな。俺の今後の生活に関わってくる事だ。ヘマをやるわけにはいかないからな。


「ようこそおいてくださいました。此方へ」


ガチメイド!ガチメイド!異世界最高!


城の入り口で俺たちを出迎えてくれたのは顔の整ったメイドさん。思わずテンションが盛り上がる。


メイドさんに案内されて城へ入る。大きく綺麗な廊下にレッドカーペットが敷かれ、通路の両端には騎士の鎧が間隔をあけて置かれていた。


思わず体が硬くなるが、なんとかお姫様について歩く。はぐれると一大事だぞこれ。


そういえば、俺の服装明らかに場違いな気がするんだけど大丈夫なのかこれ。


自分の服装を気にしていると、いつの間にか大きな扉に辿り着く。


「謁見の間です。蒼眞様、よろしいですか?」


「……おう」


ゆっくりと開いていく扉、その奥は想像通りというか。レッドカーペットの先にある階段の上に煌びやかな宝石で飾られた椅子、王座に座った一人の男。40代くらいか?綺麗な服を着ているし、あの人がこの国の王って事でいいんだよな?


お姫様を筆頭に護衛たちも入場していく。俺もその後に続いて歩く。玉座の前に来たところで周りが片膝をついたので、同じように片膝をついて頭を下げる。


「面をあげよ。久しいな、グラール姫。此度の長旅、さぞ疲れたであろう」


「お久しぶりに御座います、ラルフィード王。お気遣い感謝いたします。無事、到着することが出来ました」


頭を上げるとお姫様は一団の先頭で立って王様と話していた。お姫様だし当たり前か。


とはいえ周りがどんな感じか分かるようになったのは助かる。一応お姫様の護衛だし、警戒するに越したことはないだろう。


そんなわけで、さっき見つけたスキルを使ってみよう。


「………魔眼(ディスペル)


小さく言葉を発する。聞かれないかヒヤヒヤしたが、どうやら誰も気付いていないようだ。それでいいのか護衛。


目に映るものに情報が加わる。おぉ!こりゃいいな!まるでゲームだ。見たものの体力やスタミナ、マナの量まで数字化して見えるぞ。あの青白い光は魔源(マナ)か?それがオーラみたいに人の周りから溢れてるな。他にもいろんな見え方に切り替え可能か。面白い。要検証だな。


因みに魔眼(ディスペル)の効果はこんな感じ。


魔眼(ディスペル)】あらゆる視点で物事を捉える。遠くを見通すことも出来、本来見えない物まで見える。あらゆる物質の解析が可能。


いやぁ便利な能力ですね!じゃねぇよ!なんだよ本来見えないものって!気になって夜寝れなくなるだろうが!


そんなことを考えつつ、視線を移していく。視点は勿論全て見えるようにしている。ほうほう?どうやら魔源(マナ)以外も見えるみたいだな。


お姫様に視点を移す。お姫様の周りには綺麗な黄色いオーラが漂っていた。これは…なんだろ?後で調べてみないとな…。でもどっかで見たような…。


「ふむ、疲れが見えぬようで何よりじゃ。ペンタゴンへ編入するんじゃったな」


「覚えていただいて恐悦至極に御座います」


「彼処には世の子らがおるのでな、出来ることなら仲良くしてやってくれ」


「承りました。それと、ひとつお願いがあるのですが」


不意に俺に目を向けるお姫様。こっちに来いと目が言っていた。前よりもわかりやすいな、魔眼(ディスペル)のお陰か?


取り敢えず低い体勢で前に進み、お姫様の横でさっきと同じように頭を下げる。これで良いよな?


「此方におります蒼眞を、学園に編入させていただきたいのです」


「ふむ、お主の付き人か?」


「はい」


王様の視線が俺に突き刺さるのが分かる。魔眼(ディスペル)で視点を切り替えて、上から俯瞰するように見ているからだ。なかなかに便利だけど、戦闘中は使えないな。動きにくい。


「ふむ。蒼眞とやら、面をあげよ」


「はっ!」


王様の許しを得て頭を上げると、じっと俺を見ている王様と目があった。


思わず体が硬直する。慣れない目上の人に対する緊張や、場違い感も勿論あるけど———


魔書(ブック)!」


——一番は魔眼()に映った緊急事態のせいだ。


迷わず魔書(ブック)を呼び出す。そのまま流れるように魔源(マナ)を流し込み魔法陣を起動する。


「なんじゃ!?この魔源(マナ)の量は!」


「蒼眞様!?」


王様やお姫様、周りの人たちの声が耳に入るが無視する。相手をしてる時間がない!


「[水よ!我らを包みて、我らを守れ!水壁(ウォーターウォール)!]」


詠唱を簡略化してイメージを押し込む。そうすれば魔法は発動するはず!


魔書(ブック)の中から大量の水が溢れ出て俺たち、王様、その家臣を包み込みドーム状に固定され、外敵を守る障壁となる。水の中は空洞担っており自由に動けるようにしておいた。


水の壁が周りの人を包み込むと同時に謁見の間の扉が開かれる。


扉の向こうには黒服に包まれた数人の暗殺者に見える者達、それと武器を掲げて魔法を発動しようとしている者達がいた。よかった…間に合った…。


「[ファイヤーランス!]」


「[ウィンドカッター!]」


「[ウォーターブレード!]」


詠唱が終わる頃を見計らって扉を開いたのだろう。開ききる同時にいくつもの魔法が飛んでくる。でも———


「なんだと!?」


「馬鹿な!」


「あり得ぬ!」


———そのくらいの魔法じゃどうにも出来ないんだよ。


刺客がはなった魔法は全て俺が作り出した水の障壁に飲まれて消えていったのだった。




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