クラスとランク
「じゃが、一つ問題が起きたのじゃ」
「問題…ですか?」
学園長の言葉にセラムさんが疑問符を浮かべる。
「そうじゃ。その男以外に世界情報者がおらんかったんじゃ、その男の親族を含めての」
「え?どうしてですの?」
「世界情報は自分が認めた者以外に触れることを許さぬようでの、だから誰も発見にすら至れなかったのじゃ」
なるほど、世界情報に触れることを許可されたのは初代王様だけ。他の人はたとえ息子であろうと許可はしなかったと。
「しかし変なことにある時から初代王もう世界情報に触れられなくなったのじゃ」
「えっ!?」
学園長の突然の告発にセルマさんが声を出して驚く。
「……その王様はどうなったんですの?」
「隠居して、気ままに暮らしておるよ」
「え!?生きてるの!?」
思わず声を荒げてしまう。ずっと昔の話だと思ってたんだけど違うのかな?
「うむ、不老不死の薬を作ったからのう。貴重すぎて3つほどしか作れなんだが」
不老不死!?なんてものを作ってるんだろうこの人は…。
「それをワシと王、その妻である王妃が飲んだんじゃ。作るのが遅れてこんな年になってしまったがの」
「学園長も飲んだの!?」
さらなる爆弾発言に驚きを隠せない。この人一体幾つなんだろう…。セルマさんとウィルムさんも固まっちゃってるし。
「そういうことじゃ、彼奴はさみしがりじゃからのう…全く…ワシを巻き込むことはないじゃろうに…」
ブツブツと小言を口遊む学園長の声を聞き流し、情報を頭の中で整理する。
世界情報は全ての情報を持っている。
それは本の形をしており、その中に情報がある。
世界情報に触れた男は一国を立ち上げるほどの偉業を成し遂げた。
わかったことは大体こんなとこかな?不老不死の薬が出来るくらいだし、世界情報に触れることが出来れば、僕らの世界に帰るすべも見つかるかも知れない。
「となると…これからどうしようかな」
「照君。君が良ければ学園に入学してみんかの?」
呟いた言葉が耳に入ったのか。学園長が提案してきた。入学かぁ…。
「入学ですか」
「そうじゃ。不安があるなら数日体験入学にすればよい。友人を探すにしても情報がなければうまくいかんぞい?」
情報か…。確かに右も左も分からない状態で蒼眞を探すのも難しいか…。
「そうですね…では数日体験入学してからでもよろしいでしょうか?」
「承ろう」
学園長が鷹揚な態度で頷く。そこでふと疑問に思ったことを口に出す。
「あ、でも僕お金無いんですけど」
「構わんよ、それくらいワシが出そう。なぁに、新しい孫ができたようなものじゃて」
それはとても助かるね。けどなんだか悪い気がしてくる。
「………なるべく返せるよう頑張ります…。」
「気にせんでもいいと言うとるのに…まぁいいじゃろう。それでクラスじゃが」
「クラスですか?」
聞けばこの学園は、クラスによって成績が変わるらしい。
S、A、B、C、D、E、Fの順に分かれていて、Sクラスが当然一番いい成績保持者、Fクラスが成績の悪い者になる。決めるのは当然教師陣だ。
「じゃあ、セルマさん達は」
「まだうまく魔法を使えぬのじゃよ」
学園長の言葉に表情を暗くする二人。学園長は二人に期待しているようだし、何とか報いたいのだろうことが伺える。
「あれ?そういえば学園序列とかありませんでしたっけ?」
「あぁそれはの」
学園序列はまた別で、成績ではなく実際の強さ、素行も判断材料に決定される。
判断するのは生徒達の代表である生徒会、学園の風紀を守る風紀会、そこに教師陣を交えて会議を行うらしい。
「生徒がランクを決めるんですか?」
「そうじゃ、もちろんわしら教師陣が補助するがの」
面白い仕組みだなぁ…。その分責任も重大だけど。
「じゃが君の場合成績が存在せぬからのう…。その中で序列7位のアドルフを打ち倒しておる、どのクラスにするか決めかねておってのう」
セルマさん達の表情が強張っていく。もしかしたら僕と離れるのか嫌なのだろうか?それなら少し嬉しいな。
「じゃあ僕のクラスはFクラスでいいです」
「よいのか?」
「はい、売られた喧嘩は買うだけですよ」
セルマさん達に優しく微笑みながら、学園長の確認に答えを返す。実際問題、さっき一人ぶん殴って来たしね。
僕の返答を聞いて二人の表情がパッと明るくなる。うん、やっぱりみんな笑顔が一番だよね。
「わかった。では明日からFクラスに通うように。必要な物は今日中に仕立てられるじゃろう。セルマ、ウィルム」
「「はい!」」
「照に必要な物を買っておいで、照に街を案内しながらの」
「「はい!」」
学園長が事実上の休日勧告を言い渡す。それにしても、僕の事も呼び捨てにしてたし、学園長は生徒全員を自分の孫のように思ってるのかな?
「照君!街へ行きましょう!」
「必要な物を買いに行くのですわ!」
「うわわっ!落ち着いてよ二人とも!」
考え込んでいると両手を二人に引っ張られる。そのまま走り出す二人に連れられて、僕は学園長室を後にした。




