世界情報(アカシックレコード)
遅くなりました〜!
「なんと…解除されてしもうた」
「え?」
アドルフ君との決闘を終えた僕は、セラムさんとウィルムさんと一緒に学園長室まで足を運んでいた。
「どういうことですか?学園長」
「うむ、この探索魔法は古来からある属性魔法とは違い、最近に作られた魔法なのじゃ。研究され尽くしておってのぉ…。防御も簡単なのじゃよ。異世界人ならまだ防御できぬと思うておったが…」
「そうなんですね…」
「すまんのぅ…」
学園長が申し訳なさそうに謝ってくる。
「大丈夫ですよ、それに確認出来たこともあります」
「どういうことですの?」
僕と学園長の会話にウィルムさんが混ざってくる。まぁ気になる会話してるしね。
「探索魔法は相手がいないと発動出来ないんですよね?」
「そうじゃ」
鷹揚な態度で頷く学園長。その答えで安心できる。
「相手がいるから発動する。これで彼がこっちに来てることが確実になった」
思わず声が弾んでしまう。巻き込まれた側の彼は僕がいることを知ってるけど、僕は憶測でしかなかったからね。確信が持てた。
「あっ」
「そういうことですのね」
「なるほどのぅ…」
それぞれが思い思いの反応示す。というか学園長?貴方気づかなかったんですか?
「あとは情報ですね、どこにいるか分かれば…」
どうやって情報を手に入れるかなぁ…。まずこの世界もよく分かってないしなぁ。
<私が調べることも可能ですがどうされますか?>
「おわぁっ!」
頭に響く声に思わず体がびくりと跳ねる。
「照さん?どうされたんですか?」
「い、いや、なんでもないよ」
心配そうに見つめてくるセラムさんに笑顔を作って返事をする。ビックリしたなぁ…
<謝罪します>
機械的な声での謝罪が響く。というか僕の心読めてる?
<主の表層心理を読み解き、応答しております>
なるほど、口に出さなくても会話が出来るんだね。
<肯定します>
それじゃ、蒼眞の事を探せるかい?
<橘 蒼眞の現在地を検索します。世界情報にアク…ス…ま…>
ん?どうしたの?
<世…情…(アカ…ック…コー…)に拒…され…【英知の光】…制…されま…>
英知の光の声が聞こえなくなったと同時に、僕の右手に鋭い痛みが突き刺さった。
「うぐぁぁぁぁっ!」
右手が貫かれるように痛い。我慢出来ずに思わず膝をついてしまう。
「照さん!?」
「なんじゃ!?」
「どうなってるんですの!?」
周りの声が音にしか聞こえない。意味が全く理解できない。
「ぐぅぅぅぅっ!」
右手が痛い!なんだこれ!どうなってるの!?暫くして苦しめられていると痛みが引いてくる。
「はぁ…はぁ…なんだったんだろう今の…」
アカシックレコード?世界の意志さん…呼びにくいな…の声が聞きずらくなったけど…。
<申告します。世界情報にアクセスを拒絶されました。それに伴い、スキル【英知の光】に制限を掛けられました>
世界情報?制限?痛みの余韻のせいで頭が動かない…。
「照さん、大丈夫ですか?」
「あぁ、うん、大丈夫」
「何があったのじゃ?」
学園長の問い掛けを立ち上がりながら聞き、事のあらましを説明する。
「世界情報じゃと!?お主なんと無謀な…」
「学園長先生、アカシックレコードとは何ですか?」
セルマさんが学園長に問い掛ける。僕も知りたい情報だったので耳を傾ける。
「世界情報、存在が確認されてはおるが、誰も触れることができない知識の宝庫じゃよ」
「触れることができない、ですか?」
「そうじゃ」
セラムさんの疑問に頷いて、学園長は説明を続けた。
「世界情報は、世界中の情報が詰まった、一冊の本じゃと言われておる。そこにある情報には世界情勢や未だに眠る遺跡、未知の武器の製造方法など様々なことが書かれておるそうじゃ、当然ありとあらゆる魔法のこともな」
「ありとあらゆる魔法…」
「そうじゃ、当然誰もがその情報を手に入れようと世界情報を探し回った。じゃが、とうとう見つけることはできなんだ。誰もが世界情報はただの伝説だと結論を出し、探す者も、次第にいなくなっていったのじゃ」
学園長はゆっくりと背もたれ椅子にもたれ掛かりながら、虚空を見つめて思い出すように口を開く。
「じゃが、ある時。世界情報に触れることが出来たという貧相な男が現れた。誰もが嘘じゃとその男を信じなかった。あり得ないとな」
今まで誰も見つけることが出来なかった物に触れて来たと言われたら、僕でも信じないと思う。
「じゃが、男は確かに触れて来たんじゃ。その知識を存分に振るい、男の生活は安定していくんじゃ、いつしか男の周りは人が溢れ、それが村へ、街へ、国へと発展していった。その男を初代国王として」
すごい、たった一人で国を作ってしまったんだ。世界情報があったとはいえ、それだけじゃ出来なかったと思う。
学園長の昔話に、僕らは静かに聞き入っていた。




