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脇役(おれ)と主人公(あいつ)の異世界召喚  作者: 白羽月
蒼眞編Ⅱ
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お待たせしやした!



「面倒なことになった…」


森から少しずつ姿を現わすオルトロスを視界にとらえながら、策を考える。


「どうして…縄張りは離れたのに…」


俺の横ではセルマが驚愕の表情を浮かべている。


「落ち着け、動物が縄張りを離れるのは珍しいが無いわけじゃない」


どうする…どうすりゃいい…。


「街まで逃げるしか…」


「あの距離を犬と追いかけっこして逃げ切れる自信ないな…」


森は障害物があったから逃げやすかったが、ここは草原だ、障害物が無い。


「そんな…」


セルマの顔が絶望の色に染まってきてる。


「どうにか………ん?」


生き残るために必死に考えていると、不意に右手に温かさを感じた。


「どうし……それは…?」


「【紋章】が、光ってる?」


俺の手にある【紋章】が黒い光を纏っていた。その光が収まると、紋章である六芒星の中心から一つの小さな光が浮き出てきた。


「悪魔の…種…」


セルマの言葉に思わず納得してしまう。してしまうが、不満はある。なぜ今になってとか、これは種なんかじゃないだろうとかーーー。


「危機的状況で新しい力…まるで主人公だな…」


ーーーそう、主人公みたいだとか。


「そんな事はどうでもいいから!早くそれを食べて!」


「ちくしょう!絶対文句言ってやる!」


セルマに急かされながら、光を掴み口に入れる。誰に文句を言うとか聞くなよ?


光を食べたのがきっかけかのように【紋章】が強く輝く。そして頭の中に一筋が引かれ始めた。そして頭に声が響く。


<【紋章:悪魔の種】の適応を確認。これより【紋章】にスキルをインストールします>


「ちょ!時間かかんのかよ!」


「えっ!?」


森から出たオルトロスが真っ直ぐこちらに走ってくる。そんなに森から離れていたわけじゃないからすぐに追いつかれそうだな。


「蒼眞!?【紋章】の力は!?」


「ごめんまだ使えない!」


「なんで!?」


「知らん!」


突っ込んできたオルトロスの突進を体を逸らしながら横っ飛びで回避する。


「蒼眞戦えるの!?」


「人と喧嘩出来る程度!魔物相手なんて初めてだよ!当たり前だけど!」


照の所為で喧嘩に巻き込まれてきたのがこんなところで役に立つとは…。


「ガウッ!」


双頭の頭で吠えながら爪で切り裂こうとしてくる前足を右へ左へと避けながら後退する。


「なんっとか!見えるっけど!どうしろってんだよ!」


横に一閃とばかりに横振りされる前足を後ろへ全力で飛び回避する。


「グァアッ!」


「なっ!?」


一吠えしたオルトロスの頭の一つに魔法陣が描かれ始める。


「魔法使えるのかよ!」


「嘘ぉっ!?」


上体を起こしながら飛びかかってくるオルトロスの下を前転で転がり後ろに回る。


振り返ったオルトロスは口から炎を噴き出してきた。


「ふざけんなっ!なんだそれ!」


「はぁっ!」


俺に迫る炎の前に水の壁が立ちはだかる。何事!?


「セルマか!?魔法使えてるじゃん!?」


「そう!これは魔法じゃないよ!魔源(マナ)を水に変換してるだけ!さっきも見せたでしょ!」


上空に退避しているセルマに目を向ける。ふと森の中でセルマの掌に現れた水を思い出す。


「そういえば!助かる!」


「どういたしまして!【紋章】はまだ使えないの!?」


「あと半分!」


オルトロスの前足を避けながら体を支えているもう片方の前足を蹴る。


「グルァッ!?」


間抜けな声を上げながら倒れるオルトロスから退避しながら態勢を整える。


「はぁっはぁっはぁっ」


息が切れる。体が重い。もう少し、あと少しで完成する。


「あと…少し!」


オルトロスの前足にうまく足を添えて攻撃の軌道をずらす。あと、一割。


「う…おおおおぉ!」


咆哮を上げながらオルトロスの前足を回避し距離を取る。その時。


<インストール完了。これより【紋章:悪魔の種】を起動します>


待ちに待った声が頭に響いた。

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