聖霊と魔霊
お待たせしましたー!
セルマと契約した俺は、セルマを呼び出して一緒に森の出口に向かって進んでいた。
「魔源?」
「そ、この世界を基本的な物の一つだよ」
そう言いながらセルマは右手を掲げた。
すると手のひらにふわふわと青白い光の玉が現れた。
「それが、魔源か」
「そうだよ、この魔源が、魔法を発動させるためのエネルギーになるんだ」
セルマの掌の上に浮かんでいた玉が一瞬で水に変わる。
「おぉ!」
魔法!この世界には魔法があるのか!ファンタジーだ!本物のファンタジーだ!
内心で歓喜の叫びを上げていると、それが表情に出てたのかセルマがニコニコと笑いながら続きを話す。
「さっきも言ったように、僕は水の魔霊。そしてその水の魔霊と契約してる君は、水の魔法を自由に使えるようになってるはずだよ」
「待て、その前に聞きたいことが幾つかある」
セルマの言葉で聞きたいことを思い出した俺は、セルマの言葉に待ったをかける。
「さっきも言ってたけど、魔霊ってなんだ?さっきの口ぶりからして聖霊とはまた違った存在なんだろ?」
俺の言葉に、セルマはハッとした表情になり、思い出した様に答えを返してくれる。
「そうだった、君は異世界人だったね。うん、聖霊とは魔源の源、魔源を生み出している存在だ。それに引き換え、僕らは人が使った魔源の残滓の集合体に意思が宿った物。いわば魔法の幽霊みたいなものなんだ」
なるほど、魔法の幽霊、だから魔霊ね。
「それって、聖霊と契約したやつの方が得じゃないか?魔霊は魔源を生み出せないんだろ?」
「そうでもないよ、聖霊は魔源を生み出し続けるけど、あくまで一定なんだ。それ以上に減ったり増えたりしないし、何より後で説明するけど魔法を使うには自分の魔源を使わないといけないんだよ。」
ふむ、つまり自分の魔源量以上の魔法は使えないと。
「けど僕たちは違う。僕たちは魔源の集合体だ。生まれたばかりだと少ないけど、僕は長い年月を生きてるから、結構な魔源が溜まってるんだよ。それを君に渡すことができる」
なるほど、聖霊が魔源を自動回復させてくれるとしたら、魔霊は魔源の倉庫みたいなものか。
「それなら納得だ。回復量が許容量を超えたら意味ないしな。魔霊と契約してれば許容量以上の魔法を使えるってことだろ?」
「そういうこと、物分りが良くて助かるよ」
なかなかいい感じじゃないか?具体的には説明できないけど。
「ただ、僕らは自分で魔源を回復できないのが難点だけどね」
「それも誰かが魔法を使えば回復するんだろ?」
「そうそう」
俺としては魔霊の方が効能的には好きだな。どこぞの主人公みたいに馬鹿げた魔源が俺にあるとは思えないし。
「もう一つ、この【紋章】?についてだけどさっき魔王になるために必要なものとか言ってたよな」
「あぁ、それはーーー」
セルマが説明を始めようとした時、後ろから木が折れる音が聞こえた。
「「え?」」
セルマと声を合わせながら後ろを振り向く。そこには明らかに俺より大きい二頭の犬、オルトロスがよだれを垂らしながら此方を睨みつけていた。




