紋章の力
「なんだよそれ!」
アドルフ君は僕の今の状態に若干の恐怖心が出てきているみたいだった。
「知らないよ」
アドルフ君の言葉に素っ気なく返事を返す。今は君のことなんてどうでもいいんだ…!自分のことでいっぱいいっぱいなんだよ…!
僕の心の声が聞こえるわけもなく、適当にあしらわれたと勘違いしたアドルフ君は怒りと恐怖の赴くままに僕に魔法をぶつけてくる。
けれどもそのことごとくを【勇気の証】が完全に防ぎ、アドルフ君の恐怖を増長させる。
「くそっ!なんできかねぇんだよ!くそっ!くそっ!」
それでも懲りずに魔法をぶつけてくる。まるで目の前の恐怖の塊を排除しようとするように。
その爆発の中、僕はゆっくりとアドルフ君に向かって歩き出す。ゆっくりと恐怖心をさらに煽るように。
「くそっ!来るなっ!」
手をかざしながら魔法を唱え続けるアドルフ君。でも恐怖心のせいか次第に照準が合わなくなってきた。
爆発の中、お互いの表情がわかる距離まで近付く。
「来るなぁァ!」
「うるさい!」
右手を固め、大きく振り被る。
「うわぁっ!」
アドルフ君は反射的に剣の腹をこちらに向ける。見えない盾が現れるのが直感で分かった。
「ハァッ!」
僕はその見えない盾ごと剣を殴りつけ叩き割った。
「ぐぁぁっ!」
叩き割られた衝撃でそのまま後方に吹っ飛ぶアドルフ君。3回転くらい転がりそのまま仰向けに倒れる。
ゆっくりと姿勢を戻し、倒れたアドルフの横に歩いていく。
「うっ………あ………」
苦しそうに呻くアドルフの横に立ってゆっくりと拳を引き上げる。そしてアドルフが目を開け、拳を確認してから声をかける。
「これで終わりだ」
「やっ…やめてくれ…」
アドルフの顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃに崩れていた。恐怖と痛みで動けないアドルフに、僕は勢いよく拳を降り下ろす。
「……ふっ!」
「うわぁぁぁぁぁ!」
僕の拳は、アドルフの顔に当たるーー寸前で止まっていた。
「あっ……あっ……」
恐怖が限界を超えたアドルフはそのまま気絶していた。
「ふぅ〜…」
ゆっくりと拳を戻しながら息を吐き出す。そしてあたりを見渡して審判であるマグナード先生を探す。
少し離れたところにマグナード先生を見つけるも、先生は呆然と立ち尽くしていた。
落ち着いて周りを見渡す。観客席にいた人もほとんどが呆然とし、ポカンとだらしなく口を開けていた。
「あのーせんせー?」
このままではまずいと思い、先生に声をかける。すると先生の思考は再起動したようで、ハッとした後に僕の勝利宣言を告げるのだった。
最初の戦闘は短かったですね、次はもう少しわかりやすくなるよう頑張ります




