二十八話:レベル22
「うーん、期待していたような魔法は使えないみたいだね」
伊吹さんが見えないなにかを操作しながら、少し残念そうに言った。
「使える魔法は……マジカル・チェンジ、これは魔法少女に変身する魔法かな?」
「あとは……マジカル・ストーンバレットだってさ。石をぶつける魔法みたいだね、あはは」
「笑ってんじゃないピュイ」
説明しながら笑う伊吹さんにツッコミを入れるピューイさん。
本当に笑いごとではない。石を飛ばせるからなんだっていうんだ。
「あはは、ごめんね。でもダメ元だったし、他の手段も如月さんが考えてるんじゃない?」
「……私ではだめでしょうか?」
悪びれずに笑う伊吹さんに、月城さんが割って入る。
「ダメもなにも、君だって未成年でしょ? 捜査に加わってもらうわけにはいかないよ」
「そうですか……魔法というものには興味があったのですが」
月城さんはかなり残念そうだけど、僕としてはできれば勘弁してほしい。
「コレを見た後だと、何が起こるかわからないし、これ以上わけわからん状態になるのはゴメンだピュイ」
まったくだ。
ただでさえどうすればいいかわからない状態なのに、例えばもし月城さんまで子供の姿になってしまったら……そう考えてぞっとする。
月城さんは僕と違って立場のある人だ、どう収拾を付ければいいのか想像もつかない。
「ああ、そうそう。せっかくだから日向さんには今のステータスを教えておくね」
そう言って、伊吹さんが僕の現在の情報をスラスラと書き出し、渡してくれる。
日向浩 レベル22
力26(3) 素早さ26 器用さ26 耐力26(13) 魔力26(52)
職業:魔法少女レベル1
スキル:斧スキル使用可、斧装備時攻撃力アップ、斧防御、鎧砕き、大木斬り、アックスブーメラン、鎧装備可、物理耐性レベル1
魔法:マジカル・チェンジ、マジカル・ストーンバレット
「どうも、レベルが上がるごとに全てのステータスが1ずつ上がるみたいだね。そう考えると初期値は4かな?」
「括弧の中の数字は……たぶん職業による補正込みの数値だと思う」
「え、じゃあ……力が3って……」
嫌な予感がする。
そういえばさっき、月城さんに抱きしめられた時も……
「……一般人以下ピュイ」
「あはは、ほんとだね」
冗談じゃない。
力がそんなに下がっているならこれまで通りに林業を続けられないだろうし、新しく雇ってくれる職場を見つけるのだってこの姿では不可能だろう。
林業で多少の蓄えは作れたけれど、収入が断たれればそう長くは持ちこたえられない。
「ところで、元の姿に戻る方法なんかは……」
「それは転職するしかないんじゃないかな?」
「やっぱりそうですか……」
つまり、転職の方法がわからない現状では……どうすることもできないということになる。
「職業レベルが上がれば有用な魔法を覚えるかもしれないよ、そのままでもいいんじゃない?」
「その通りですわ!」
月城さんが食い気味に言う。
やっぱりこっちを見る目がちょっとおかしい。
気楽に言ってくれるなぁ……他人事だと思って。
「そんなの待ってられんピュイ」
ピューイさんが苛立たしげに声を上げる。もちろん僕とは別の理由で。
「日向さんは、いつも私を楽しませてくれますね」
微妙な空気の中、そう言いながら如月さんが部屋に入ってくる。
以前会った時のように、微笑みながら。
別に楽しませたくてこんな状況になったわけじゃないんだけどなぁ……




