二十七話:子供服は結構高い
スマホに映る姿はどこから見ても咲の……幼い頃の姿だ。
いったいどうしたらこうなるんだ……
もう大抵のことでは驚かないと思っていたけど、これはあんまりなんじゃないか。
「話が違うじゃないですか!」
思わず抗議の声がこぼれる。
「それはこっちのセリフだピュイ、お前いったいどうなってるピュイ!」
「ええー……」
ピューイさんにも想定外ってことだろうか?
でもこれ、転職だって言ってたよな、うっかり承諾しちゃったけど、僕は転職の方法を知らないんだぞ?
背筋に冷たいものが流れる。この姿が「職」によるものだとしたらずっとこのまま……?
「まぁいいピュイ」
いや、なにもよくないんだけど。この人結構なんでもすぐ流すよな……
「それで、魔法は使えるようになったピュイ?」
「あー、それを自分で確認する方法は無いですね。また伊吹さんに見てもらうしかないかもしれません」
「じゃあただお前が子供になっただけじゃないか、意味わからんピュイ」
本当に、意味わからん……
「とりあえず……このままではどうすることもできないので、協力者に連絡します」
スマホを取り出し、チャットツールで月城さんに連絡する。
どうか驚かないでほしいと前置きし、いくつかのお願いを送信する。
はぁ、嫌な予感がするなぁ……
しばらく後、月城さんが姿を見せた。
護衛はいない。詳しいことは知らないが、なんでも最近は基本的に護衛連れていないらしい。
そんな月城さんは僕を見るなり目を丸くし――
「ちっちゃい咲ですわー!」
ものすごい勢いで駆け寄ってきて、強く抱きしめられる。
「ちょ、やめてください!」
抗議しつつみじろぎするが、力負けして引きはがせない。
僕の力は丸太を持ち上げて運べる程度には強かったはずなのに……転職の影響だろうか?
「僕です、日向浩です!」
月城さんは「?」みたいな顔をしたまま、こちらを見つめていた。
「なるほど、そういうことでしたか」
僕に起きたことをできるだけ簡潔に説明すると、身を離して咳払いし、一応納得したようなことを言う月城さん。
「それでこんなものを買って来させたわけですね」
月城さんから渡された袋には、子供服が一式そろえられていた。
「ありがとう、助かります」
5桁中盤の数字が記されたレシートを見て、月城さんにお金を渡す。
それにしても高いな……この出費は正直痛い。子供服といっても良いものはこんなにするのか……
咲にはこんな良い服を着せてあげられなかったことを思い出し、少しのふがいなさが頭をよぎる。
着替え終わった僕を見て、ニコニコしている月城さんは、いつもと同じ人だと思えない。
ものすごい視線を感じる。ピューイさんを紹介したいけど、なんかどうでもよさそうだし。
「はちゃめちゃに可愛いですわね、それでこれからどうするつもりですか?」
「とりあえず、警察の人に会わないといけないんですけど……」
「ああ、例の刑事ですか?そうですね……それなら私も同行します」
「同行って……向かうのは警察署ですよ?」
お嬢様を連れて行くような場所ではないと思うし、なによりこの人は目立つ。
人に見られて変な噂でも立てば、月城さんの不利益になるかもしれない。
「問題ありません。いずれにせよ一度会ってみる必要があるとは思っていました」
「話は終わったピュイ?んじゃ法律クソ……如月に連絡するピュイ」
そう言うと、ピューイさんがスマホを――自分と同じぐらいのサイズのスマホを取り出した。




