十五話:魔法少女 坂口小春②
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赤いメタリックな……ヴァイゼンとか名乗った奴に、150メートル上空から落下させた分身が直撃した。
凄まじい衝撃音と共に分身は砕け散って……ヴァイゼンは倒れて動かない。
なのに……うーん、すごい強度。
150メートル上空からだから……時速200キロ近い速度まで加速していたはず。
走ってる車が直撃するぐらいの衝撃だと思うんだけど、あのメタリックなスーツは破壊できないみたいだ。
「こ、コハル……殺しちゃったピュイ?」
「ううん、ちゃんと計算したから大丈夫。むしろちょっと加減しすぎたかも」
不安そうに宙を舞うピューイを安心させる。
ピューイからしたら、魔法少女が人を殺しちゃったりしたらたいへんだもんね。
まぁ、そもそも人なのかどうかは、わからないけど――
ガラガラと、砕けた氷をかき分ける音がする。起き上がろうとしてるみたい。
でもふらついているみたいだし、頑丈なスーツはともかく中の人は元気ってわけにはいかないんだと思う。
お兄さんがこちらを甘く見てくれていて助かった。
経験の差はともかく、最初からあの……なんだろう、光の剣?あれを使われていたらどうしようもなかった。
うーん、魔力もかなり使っちゃったし、できればこれ以上は戦いたくないんだけど……
「そろそろやめにしない?お兄さんじゃ私に勝てないと思うよ」
「お、俺は……負けない……!なめるなぁっ!」
そう吼えると、全身に力を入れて立ち上がる赤スーツ。
挑発するつもりなんてないんだけどなぁ……逆に怒らせちゃったかもしれない。
だけど私だって疲れてるんだから、少しぐらい言葉の選び方を間違えても許してほしい。
「おじさんが悪い人だって、本当なの?私にはそう思えないんだけど」
おじさんはあの時、反射的に私を庇った。悪い人だとはとても思えないんだよね。
だけど、お兄さんの怒りは本物で、きっと――悲しみも本物だ。
ここから離れることは簡単だけど、話を聞いてみる価値はありそう。
「奴は……地球人じゃない……知的生命体を殺害し、その姿と記憶を奪って完全に成り代わる、凶悪な宇宙犯罪者だ……!」
なにそれこっわ。宇宙って最悪だね。
「君も見ただろう、奴の動きは人間のそれじゃない!ここで倒さなければ、新しい被害者が生まれるんだ!」
確かに見た。だから私は助かったんだけど。
だけど――人間のふりをしてこそこそ隠れてる悪党なら、咄嗟に……何の迷いもなく自分の正体がバレるようなことはしないだろうと思う。
正体、かぁ……でもそういうことなら話は簡単。私は魔法少女だから、魔法が使えるのだ。
「うーん……しょうがないなぁ」
あんまり気が進まないけど、私は私の感じたものを信じよう。
そうやってこれまで生き延びてきたんだから。
「なに考えてるピュイ?まさか、コハル……」
私の魔力の高まりを感じて、ピューイが焦りを見せる。
この魔法はものすごく魔力を消耗するし、リスクもあって……
だけどこの場を丸く収めるには、これしかないと思うから――
「穢れ無き流水、形無き水煙。集い、併さり、鏡となれ。真実を映し、あまねく偽りを打ち払え!マジカル・トゥルーミラー!」




