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異世界転生で奪われた娘を取り戻すために戦う父親は、魔法少女になって娘の親友の銀髪お嬢様に愛される  作者: 古川智明
第二章:小学校を卒業してからの話

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第百三十八話:魔法少女 坂口小春と白い毛玉の友達

「ピューイ? なんで……」


 静まり返った夜の高架下。

 ピューイの後ろには遅れて到着した2台のパトカーが停まっていて、回転する赤色灯が、白い毛並みやアスファルトを交互に照らしていた。


 言葉が、うまく出ない。

 言いたいことはいくつもあるのに、なにから言葉にすればいいのか、わからない。


 だって、ピューイは警察に連れていかれて、私はひとりになって。

 なのにどうして警察と一緒にピューイが現れるの?


 パトカーの横には、刑事らしき男の人が2人。

 どちらも見たことのない顔だ。


「警視庁特殊二課の、ピューイだピュイ。聖魔界人プーモ。お前を逮捕する」


 なに言ってんのか、わかんない。

 わかるように言ってよ。


「コハル、そいつを引き渡してほしいピュイ」


「なんでよ!」


 思っていたよりも、大きな声が出て――

 自分の声なのに、やけにうるさかった。


「そいつが凶悪な犯罪者だからだピュイ」


「わかんないよ! ピューイはなにをしてるの!? 私をひとりにして、なにをしてるの!」


「あげげげげ……し、死ぬプモ……」


 私は今、取り乱している。

 こんなの私らしくないって、わかってるけど。


 でも、しょうがないじゃない。


 『どうして?』


 そればっかり、わからないことばっかりだ。


 ちゃんと教えてよ。

 わかるように、教えてよ。


 私だけを、置いていかないで。


「コハル、それ以上は――本当に死ぬピュイ。別にそいつが死ぬのは構わないけど、コハルにはやってほしくない。わかってほしいピュイ」


「なら、ちゃんと説明して! どうしてピューイがひよりちゃんといたの!?」


「……それは、言えんピュイ」


「なんでよ!」


 一瞬、ピューイが『ヒーロー』のお兄さんの方を見た。

 視線の先では、赤色灯の光がメタリックブルーの装甲を紫っぽい色に輝かせている。


 なに?

 あいつもなにか、関係があるの?


「さぁ、コハル」


 ピューイが、少しだけ私の方に進んだ、その時――


「おおー? お前が坂口小春か? 派手に暴れてくれっからぁー、見つけやすかったぜぇー」


 知らない男の声が――すぐ隣で聞こえた。


「えっ……?」


 いつから?

 なんで、気づかなかったの?


「マジカル――」


「させっかよぉ」


 男の『蹴り』が、みぞおちに深くめり込んだ。

 足が地面から離れて――気持ち悪い浮遊感。


 そして、激痛。


「かっ……!」


 息が、できない。


 魔法を……だめ、集中が――


「おらぁ!」


 『男』が右腕を振るのが見えた。


 鋭い痛みが、身体を走る。

 遅れて、夜の闇の中に赤いものが散った。


「お前えええええええっ!!!」


 聞いたことのないような、声だった。

 だって、あの人はいつも、穏やかな声で話していたから。


 『お兄さん』が、凄まじい怒りの咆哮を上げながら――『男』の顔面に、その拳を叩き込むのが見えて――目の前が、真っ暗になった。

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