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異世界転生で奪われた娘を取り戻すために戦う父親は、魔法少女になって娘の親友の銀髪お嬢様に愛される  作者: 古川智明
第二章:小学校を卒業してからの話

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第百三十五話:魔法少女 坂口小春と『不正魔法少女』

 さっきの、あれ――

 間違いなく、なにかの『魔法』だ。


 正体不明の『ヒーロー』が放った『なにか』は、氷の槍と街灯を砕き、霧散した。


 一見、なにも残されていないように見えるけど……魔法が放たれた後には、魔力の残滓が残る。

 私はそれを感じることができるから……間違えたりはしない。


 たぶん、あの人も以前に戦った宇宙警察の人と同じで……宇宙人なんだよね?

 宇宙人が魔法を使うなんて、なんだか変な感じ。


 でも宇宙は広いから、そんな人がいてもおかしくないのかもしれない。


 あの人――声からして若い男性だと思う。

 そのお兄さんは、本当にわけがわからない。


 宇宙犯罪者だったかな、そういうのを取り締まるのが仕事じゃないの?

 私に付きまとっても、宇宙に平和はもたらせないよ。


 紅の光を放つ剣と、正体不明の変な魔法。


 お兄さんの扱う武器は、驚くほどに強力だ。

 あれだけの力があるなら、私を取り押さえるなんてわけないはずなのに。


 でも――

 あの紅の光は、絶対に私を傷つけないって、そんな不思議な確信があった。


 そんなわけ、ないのに。


「坂口小春ね?」


 不意に、背後から声がした。

 子供の声だ、女の子。


 声をかけられるまで気づかないなんて、少し考え込みすぎてたみたい。


「なにか用?」


 振り向いてみると、そこには3人の『少女』が立っていた。

 私と似たようなヒラヒラの服を着ていて、色は――赤と、緑と、黄色。


 3人揃ってこちらを睨みつけているけれど、声をかけてきたのは先頭に立っている赤い服の『魔法少女』だ。


「今戦っていたの、邪界獣でも邪界人でもないわよね?」


「そうかもね。それがなに?」


「……それがなに、ときたプモか。ピューイのやつは、そんなことも教えてないプモ?」


 赤い子の後ろから、茶色い毛玉みたいなのが出てきた。

 ピューイと同じ聖魔界人かな。


「魔法少女の力を邪界獣や邪界人との戦闘以外で使用するのは、重大な違反行為だプモ」


「ふうん。違反だったらなに?」


「なにって……あんた!」


「……アカネ。それは今はいいプモ」


「う、うん……そうだね、プーモ」


 赤いのが、『アカネ』で、毛玉が『プーモ』か。

 それにしてもアカネちゃんを黙らせた毛玉の声に、なんか圧があった。


 私とピューイとの関係とは、ちょっと違うみたいだね。


「それで? 私も暇じゃないんだけど。『重大な違反』とやらよりも大事な用があるんでしょ?」


「ふん、偉そうな魔法少女だプモ」


「偉そうな毛玉だね」


 『偉そうな毛玉』が、不愉快そうにくるりと回る。

 可愛げがないなぁ、ピューイとは大違いだ。


「最近、このエリアで『浄化』を伴わない邪界獣の抹消が繰り返されていることがわかったプモ」


「へー、そうなんだ? 最近は警察に任せてたし、しょうがないんじゃない?」


「戦闘の放棄も立派な……まぁいいプモ。アカネ、例の写真を」


 はぁ、プモプモうざい。

 普通にしゃべりなさいよ。


「見なさい、これよ」


「え……?」


 アカネちゃんが、差し出したスマートフォン。

 その画面に映っていたのは。


 映っていたのは……見たことがないぐらい、綺麗な瞳。

 黒い、角度によっては紫色にも見える不思議な色合いの髪。


 空をそのまま織り込んだようなリボンで、髪をポニーテールにまとめた女の子。


 それはまぎれもなく、どこからどう見たって――ひよりちゃんだ。

 茶色を基調にしたヒラヒラの服を着た『ひよりちゃん』が、どういうわけか……ピューイと一緒にいる。


「聖魔界人の責務を放棄した反逆者ピューイと、その反逆者に『ヒヨリ』と呼ばれていた不正魔法少女。プーモたちの標的はこの2人だプモ」


「……その2人を見つけて、どうするの?」


「そんなの決まってるプモ。抹殺処分だプモ」


「へぇ、そうなんだ」


 自分でも驚くぐらい、普通の声が出た。


「なにか情報を持っているならよこすプモ。そうすればコハル、お前の罪も見逃してやるプモ」


 見逃す? この私を?


 なんて愚かな奴。

 死ぬのはお前だ。


 なにがなんだかわからないけど。

 わからなくたって。


 ひよりちゃんの名前を――悪意を込めて呼ぶ奴は、誰だって私の敵だ。


「知ってるけど、教えないよ」


「……聞き間違いだプモか?」


「そう思う?」


「思わないプモ。それなら、力ずくだプモ。アカネ、傷めつけてやるプモ」


「言われなくても!」


 その言葉と共に、3人の『魔法少女』が動き出す。


 でも馬鹿だね、最初から殺気が見え見えだよ。

 どうせ情報を渡しても、私を殺すつもりだったんでしょ?


 アカネちゃんが、先陣を切って突進しながら、なにか詠唱している。


 ――遅いよ。


「3人いれば、勝てると思ったのかな?」


 すでに術式を組み立てていた、『私の魔法』が発動する。


 次の瞬間『ゆらり』と、魔法少女たちの影が揺らめいた。

 そして、地面から立ち上がった3人の『影』が――その持ち主たちに襲い掛かった。

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