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異世界転生で奪われた娘を取り戻すために戦う父親は、魔法少女になって娘の親友の銀髪お嬢様に愛される  作者: 古川智明
第一章:魔法少女になってからしばらくの話

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第百二十七話:坂口小春と2人の友達

 火曜日。


 ひよりちゃんが、学校を休んだ。

 朝の挨拶を送った3人のグループチャットには、ずっと返事がない。


『ひよりちゃん、大丈夫?』


 既読にもならない。

 いったいどうしたんだろう、こんなこと、一度もなかったのに。


 心配だなぁ。

 でも、それ以上に――なんだか胸の奥がぞわぞわして、落ち着かなかった。



「あら……坂口小春だけですの?」


 昼休み、白峰ちゃんが話しかけてきた。

 彼女が言うには、ともかちゃんも学校を休んでるらしくて――落ち着かない気持ちが、大きくなった。


『2人とも、どうしてるの? 大丈夫?』


 もう一度メッセージを送る。


 だけど、やっぱり既読はつかない。


 なんだか、とても寂しい。

 それに――心細かった。


 ひよりちゃんが転校してきてから、こんな気持ちになったこと、なかったのに。




 水曜日。


 また、ひよりちゃんもともかちゃんも学校に来なかった。

 どうして?


 そういえば、原口くんも学校に来ていない。


 放課後、ともかちゃんの家に行ってみた。

 何度インターホンを押しても、誰も出てこない。


「ともかちゃん……?」


 声をかけても、返事はなかった。


 スマートフォンを確認する。

 グループチャットには、相変わらず既読がついていなかった。




 木曜日。


 やっぱり2人とも、学校に来なかった。

 先生に聞いてみたけど、なにもわからないらしい。


 だから、こっそりひよりちゃんの住所を調べた。

 よくないことだとは思ったけど、そんなことを気にしている場合じゃないから。


 学校が終わって、その住所まで行ってみた。

 そこは――普通のマンションだった。


 部屋まで行って、呼び鈴を押しても、なんの反応もなかった。

 何度押しても、同じだった。


 人が住んでいる気配すら、感じられなかった。


 スマートフォンを見つめる。

 最後の会話。


 『今日はもう寝るよ、朝早いからさ』

 『また特訓?』

 『うん、原口くんがどうしてもって』

 『ええー、頑張りすぎでしょ』

 『あんまり無理しないでね』

 『わかってるよ、ありがとう』

 『それじゃ、おやすみ2人とも』

 『うん、おやすみ』

 『また明日』


 『おはよ』

 『うん、おはよー』

 『朝早くからたいへんだね』

 『次は負けられないからさ』

 『ひよりちゃんは意識が高いなぁー』

 『あ、成瀬さん』

 『どうしたの? ひよりちゃん』

 『ん-、なんでもない』

 『へんなのー』



 既読はつかない。




 金曜日。


 月曜日の夕方に、警察が学校に来ていたらしい。

 クラスの子が話しているのを聞いた。


 詳しく話を聞くと、月曜日の放課後、何人もの警察官が体育館の裏へ向かっていったらしい。



 放課後。


 薄暗い体育館の裏は、一見すると、普段通りだった。

 でも、違う。


 空気の中に、ほんのわずかに魔力の残滓が漂っている。

 それに、体育館の壁の一部に――魔法かなにかで修復したような形跡があった。


「マジカル・チェンジ」


 久しぶりに、魔法の言葉を口にすると、眩い光が身体を包み、弾けた。


 青を基調にした、フリフリの衣装。

 髪も青く染まって、誰が見たって完全に『魔法少女』だ。


「マジカル・アイスサーヴァント」


 足元から冷気が広がる。

 いくつもの氷が形を作り、私と同じ姿の分身へと変わっていった。


 戦うための力は持たせていない。

 でも、周りを調べるぐらいならこれで十分だ。


「みんな、このあたりで不自然なものがないか、調べて」


 分身たちに指示しながら、自分でも周囲を調べ始めた。

 この落ち着かない気持ちが――ただの気のせいだって、証明するために。


 だけど――


 屋根の近くを調べていた分身の1体が、なにかを見つけた。


 リボンだった。


 不思議な色合いで、見るたびに印象が変わる、リボン。

 まるで空をそのまま織り込んだみたいな、ひと目見たら絶対に忘れられない――ひよりちゃんの、リボン。



 指先が震える。


 だって、ひよりちゃんが、このリボンをなくすわけがない。

 だって――3人で、お揃いなんだから。


 なにか、あったんだ。

 私が知らないうちに、なにかがあって――そしてそれはもう、永遠に終わってしまった。


「……どうして」


 私は、魔法少女なのに。

 『なにか』が起きていたなら、止められたかもしれないのに。


 ……後悔したって、意味はない。

 終わってしまったことは、もうどうしようもない。


 それより――2人を探さなきゃ。

 なにかに巻き込まれてしまったなら、私が絶対に助けてみせる。


 ひよりちゃんと、ともかちゃん。

 そして、私。


 また3人で、笑いあえるように。


「待っててね、2人とも」


 ひよりちゃんのリボンを髪に結びながら、決意した。


 だって、水族館に行くって約束したから。

 ペンギンは、逃げないって。


 だから私が、追いかけるよ。


 2本のリボン。


 私のと、ひよりちゃんの。

 どちらも大切に、髪に結んで――私は、夜の街に飛び込んだ。


 あの日の続きを、捕まえるために。

これにて第1章は完となり、明日からは第2章となります。

今後ともお楽しみ頂ければ幸いです。


これを機に評価・感想・ブックマーク等、なんかしら頂けたらびっくりするぐらい喜んでやる気が増しますので、もしよければよろしくお願いします。

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