31 帝国貴族のボンボンの取り巻きの息子のストールン商会を潰してみた
「ソード殿、騎士団まで来てもらえないだろうか」
宿で看板娘のサラお姉ちゃんとご飯を食べていたら騎士団員が大勢押しかけてきた
「ソード君に何するつもり!」
お姉ちゃんが騎士団から守るように立ち塞がった
騎士団員は食堂に食べにくる顔見知りの常連だ
だから強気にできたとも言える
まあそんなことがなくても立ち塞がっただろう
片や11歳の子供
片や鎧を着た厳つい大人
どちらが守りたくなるかは一目瞭然というものだ
・・・愛玩動物と言ってもいいかもしれない
騎士団は自分たちに向かって吠えてくる16歳の娘に困惑した
小さい頃から知っている子供が正義感から行動してくるのだ
疚しいことがあれば当然だ
「ストールン商会を潰した容疑が掛かっている」
騎士団員は苦虫を嚙み潰したような顔で言ってきた
なんでも昨日の夜にとある商会が潰れたそうだ
比喩的なものではなくて建物が潰れる方のやつ
夜中に文字通り商会の建物が瓦礫と化していたそうだ
夜に寝ていた商会の家族と従業員が潰れた建物の下敷きになった
朝になって隣近所や騎士団が助けようと建物の残骸を取り除いているけど1日たった今でも全員が見つかっていない
まあそこまでならよかった
いや良くはないが
問題はその後だった
半分くらいが倒壊した建物に押しつぶされけど最後には助け出された者がいた
「良かったね」
助けた方も助かった方も喜んでいたらなぜだか突然急に苦しみだした
そして死んだ
そう死んだのだ
助かったはずなのに死んだ
後者については何らかの呪いなのかもしれない
あれ、隣の王国の貴族様がいなかった?
子供だけど魔法が使えているよね?
他に人が居ないし、恨んでいるから犯人である可能性が高い
だったら連れてこい!
偉い人がそう言っているそうだ
なにそれ?
何の証拠もないじゃん?
お姉ちゃんも呆れていた
「貴族だからって子供がそんなことできる訳ないでしょ!」
普通に怒っていた
証拠もないのに子供を犯人扱いしていればこうなる
それにその子供は「ひどい」といって涙目をしているのだ
どちらが正しいかは見れば一目瞭然というものだ
助けた人間が突然死んだからって、なんで子供が犯人なんだ
まさにその通り
無茶振りと言ってよかった
まあ騎士団の言い分もあった
土魔法使いと戦った人間に時々起こることと似ているという噂だ
戦争では時々土魔法のゴーレムと戦って勝つ騎士がいる
その騎士が倒れたゴーレムの下から助け出された時に時々起こる現象だ
戦場では
『ゴーレムの呪い』
と呼ばれていると騎士団の古参兵が言っているとなれば状況証拠としては真っ黒だった
まあそんな聞いた事もない噂話と目の前で泣いている子供とを天秤にかけた後のお姉ちゃんの態度はご想像の通り
騎士団としてはスゴスゴと帰るしかなかった




