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第9話

 森を出て、家につく頃にはもう日はだいぶ沈んでいた。

 家についた俺らはそれぞれ夕飯の準備をしたり、今日使った剣の手入れをしたりして夕飯までを過ごした。

 夕飯時には、ネルアがスライム退治についていろいろ聞いてくるのに対して答えながら食べ、、時々父さんがふざけ、ネルアに怒られていた。


 そんなこんなで夕飯後、ネルアが夕飯の片づけをしている母さんの手伝いをしているのを横目に、先に部屋へと戻っていた父さんの部屋へと向かった。

 今日こそ聞く、そう決めていたのだから。


 コンコン


 「父さん?エルディアだけど。入っていい?」


 ガチャリ

 扉が開く。


 「エルディアか、どうかしたか?」

 「ああ、ちょっと聞きたいことがあって。入ってもいいか?」

 「ああ、良いよ。どうぞ」


 そういうと、父さんは扉から離れて、俺が入れるようにしてくれた。

 俺はそのまま中に入ると、後ろ手に部屋の鍵を閉めた。父さんはベッドに、俺は椅子に腰かけると


「それで、話ってのは何だ?」


 父さんが話しかけてきた。


 「んと、どう話したもんかな。んー、ま、回りくどく言ってもい仕方ないし、はっきり言うわ。父さん、前は何も聞かなかったけどさ、やっぱこの間の金曜、何かあったんだろ?何があったんだ?」

 「前にも言ったと思うけど、あれは仕事の詰め過ぎで疲れただけだよ。」

 「いや、違うね。この間はお願いされたから母さんの前では何も言わずそういうことにしたけど、今はそうじゃない。母さんは夕飯の片づけをしているし、ネルアもそれを手伝っている。本当のことを話してくれ。」

 「はあ、なあ、エルディア。前に父さんは、知らない方がいいって言ったよな。」

 「言ったね。」

 「父さんが信じられないのか?」

 「え?父さん、自分の胸に手を当てて、今までの自分の言動を振り返ってみ?信用できる要素どこよ?」

 「ハッハッハーそうだったわー。でも今だけは信用してほしい。」

 「いや、まあ冗談は置いておいて、俺は父さんを信用してる。ふざけるときは確かに1ミリも信用できないけども」

 「あ、あれ?今のって褒められる流れでは?」

 「でも、父さんがその顔してるときは一回もふざけたことないって俺は知ってる。少なくとも俺の前では一回も裏切ったことはない。」

 「だろう?」

 「ああ、でもだからこそ、今回だけは信用してるからこそ、信じ切ることができない。」

 「どういうことだい?」

 「父さんが何を背負ってるのかは知らない。でも、俺だってもう立派な大人だ。父さんの背負ってるものをほんの少しでも背負わせてほしい。

 「ハッハッハー、エルディア、お前はまだ成人してないぞ~」

 「、、、!俺は!そういうことを言ってるんじゃない!!」

 「、、、」

 「父さん、本当なら、父さんのいう通り、全部父さんに任せて、俺は知らないふりをしようとも思った。でも、そうはいかない事情ができたんだ。」

 「、、、」

 「だから俺は、いや、俺に、父さんの背負ってる厄介事、一緒になって背負わせてくれないか。」

 「逆に聞こうか。エルディアが父さんに色々と聞こうと思ったのは何があったからなんだい?その『そうはいかない事情』てやつはなんだい?」

 「、、、」


 マズった、、!これはネルアが抱えてる秘密だ。ネルアは今日一杯までしっかり考えて、明日話すかどうか決めると、そしてそれまでネルアのことは父さんにも母さんにも言わないって約束した。

 勝手に父さんにこのことをいうわけには、、、!

 父さんをチラリとみる。父さんは迷っている俺のことをしっかりと見ていた。

 このことを言わないと、父さんは教えてくれそうにもない。


 「なんだ、言えないことか?」

 「いや、言う。だけどその前に一つ約束してくれ、父さん。これを言ったら、絶対に今父さんに起きてることについて俺に話すと。」

 「、、分かった。いいだろう。」


 ネルア、ごめん。


 「俺の知り合いから聞いた情報なんだが。その知り合いが、父さんが死ぬって言うんだ。なんでも、熱と痛みに襲われて苦しそうにしながら死ぬんだ、と。」

 「ほう。なんでそんなことが起こるとわかるんだい?」

 「俺にもよくわからない。でも、父さんが一昨日倒れてたのと合わせて考えたら、あまりにもタイミングが良すぎるし、もしかしたら本当に起こるのかも、って思って。」

 「ほう、タイミング、ときたか。その情報はいつ手に入ったんだい?」

 「俺が知ったのは昨日だ。でもそいつは、3日前にその情報を手に入れたみたいだ。」

 「それはそれは。ぜひその人と話させてほしいね。誰なんだい?」

 「それは言えない。」

 「理由は何かな?」

 「その人から口止めされているから。」

 「ま、シンプルだな。」

 「これで話すことは全部だ。俺は話したぞ。今度は父さんが話す番だ。何があったんだ?」

 「そうだね。」


 父さんはそこでいったん言葉を止める。ベッドに座ったまま足を組むと、少し上を見上げてから、当時を思い出すように話し始めた。


 「金曜の晩、父さんは残業で少し帰りが遅くてね。それでいつもより遅くに帰路についたんだけども、なかなかに良い時間なのにもかかわらず、一人の子供、かな。うん、そんな見た目の男の子が一人いて、声をかけたんだ。」

 「まあ、父さんのいつも通りのお人好しだな。」

 「それでその子に少し話を聞いてみると、彼はどうやら迷子になったとかいう感じではなさそうだということが分かったんだ。」

 「なら、どうして夜遅くに外なんかにいたんだ?」

 「そう、父さんもそれが気になって、じゃあ何してるのか、って聞いてみたんだ。そしたら、その子は人を探してるって返してきてね。」

 「それを迷子って言うんじゃないのか?」

 「いや、彼はその探し人を見つけるために世界中を歩き回っているらしい。」

 「はぁ、、?」

 「で、ついでにその探し人を見つけてどうするんだい?って聞いてみたんだ。そしたら、、、」

 「そしたら?」

 「その子は何も言わなかったよ。でも、言葉以上に表情が物語ってた。彼は子供の見た目でありながら、すごく残忍な笑みを浮かべていた。」

 「え?」

 「そして、これは関わるとまずいと思って、その場を後にしようとしたんだけど、最後去る前に彼が口にしたその探し人ってのが問題でね。」

 「誰だったんだ?」

 「父さんの知り合いの一人だったんだ。それで、彼にその情報を言ってはいけないと、そう思って「自分はその人を知らない」と告げたんだ。」

 「なるほど。それで、それがどうしてあんなとこで倒れることにつながるんだ?」

 「まー、、端的に言えば、彼の機嫌を損ねたわけだ。父さんは、なんでも救えるほど強くはないけれど、自分の手の届く範囲は守りたい性分って知ってるだろう?だから、「もし見つかったとしても、あまりおかしなことはするもんじゃない、君の持つ力は大事なものを守るために使いなさい」と一言加えたんだ。そしたら、それが彼の何かに触れてしまったようでね。彼は「黙れ」って一言こぼした後、父さんを気絶させて、そのままどこかへ行ってしまった。」

 「何をされたかはわからないのか?」

 「そうだね、直接的な攻撃ではなかったし、魔法でもなかったかな。いや、彼が去っていくとき、お札が黒くなって消滅していくところを見たな。もしかすると彼は呪術師なのかもしれないな。」

 「呪術師?」

 「呪い系統の術を使う職の人だね。使い勝手があまりよくないから、使い手は少ないんだ。」

 「そんな職もあるのか、、、」

 「とにかくだ、彼はしばらくこの街をうろうろしているだろうが、じきに別の街へと去っていくだろう。だから父さんがあそこで倒れていたのは本当に偶然みたいなものなんだ。」

 「そうか。それならそれでいいんだが、、、でも、さっきの俺の話はどうなる?このことに関係がないなら、父さんが死ぬって話は大丈夫なのか?」

 「さぁ、分からない。油断していたとはいえ彼は強かったし、その苦しみながらってとこも呪術の影響に似ている。まあでも、エルディアからその話を聞いたんだ。最大限に注意するし、極力関わりそうな時間に出歩かなければ大丈夫だろう。だからエルディア、父さんは絶対大丈夫だから、お前はその情報を届けてくれた人に、父さんが感謝してたってことを伝えてくれないか?」

 「、、、本当に大丈夫なんだな?」

 「ハッハッハ、、信用がないな、、父さんだってめったなことが起きたりしなければ命まではかけないさ。」

 「その言葉、信じるからな」

 「ああ、信じてくれて良い。さて、父さんはそろそろ風呂にでも入ってこようかな。」

 「父さん」

 「なんだい?」

 「教えてくれてありがとう。」

 「どういたしまして。お前も、そう考えこむ必要はないからな」


 父さんはそういって、扉から出て行った。

 さて、要は済んだし、俺も自分の部屋に行くか。

 俺も父さんの部屋を出ると、そのまま自室へと向かっていった。


 それにしても、だ。父さんからいろいろ話は聞いたものの、何かが引っかかる。まだ何か、必要な何かが欠けている気がする。だが、その違和感が何かが分からない。

 だが、父さんもあの時のことはすべて話しきった感じだった。あの話も嘘な感じはなかったし、筋も一応通っていた。いや、むしろその話がネルアの話とマッチしすぎていたからこそ不安に駆られているのかもしれない。

 杞憂であればいいんだが、、。

 俺はそんなことを考えるも、やはり何もこれというものは思い浮かばず、そのうちに父さんが風呂から上がってきてしまい、風呂に入る。

 風呂で体をもみほぐしていると、連日の疲れからか、急に眠気が襲ってきてしまい、風呂から上がった俺はその後すぐに眠りへと落ちていった。

うっすー。つむぎんこと綴莉紡だよ。


 昨日の話の中でスライムってのを出したけどさ、実際この世界にどんな魔物が存在することにしようかなって考えて、思いつく魔物をバーって今日書き出してみたんだけどさ。意外と出てくる魔物が少なくて自分でビックリしたね。

 そりゃあ自分で物語書きはじめるくらい異世界系統の話は好きでたくさん読むけどさ、パッと出てくる魔物がまさかここまで少ないとは思わなかったわ。いや、進化先を合わせると結構な量あるんだよ?数で言えば100は超えてるんだけど、種類がねー。一つの生態系を形成するって考えたら相当な種類が必要じゃん?


スライム、緑小鬼、蟻、犬、兎、蜘蛛、豚、鬼、熊、蟷螂、蜂、蛇、エトセトラエトセトラ


 いやー、ムリ。結局調べることにしたね。そしたら出てくる出てくる。でも結局、元のモチーフってのはリアルな世界の動物じゃんよ?

 ほんとーにこの世界の生態系ってよくできてんな―

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