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第28話
私たち装飾係は、大きな模造紙に看板の絵を描いたり、色紙で花飾りをつくったりした。桜井くんは、絵がびっくりするほど下手で、描いた猫がなぜか恐竜みたいになって、みんなで大笑いした。「ちょっと、桜井くん、それセンスやばいよ」と七海がつっこみ、蓮くんまで肩を震わせて笑っている。
私は花飾りをつくるのが得意で、いつのまにか、その係をまかされていた。黙々と手を動かしていると、桜井くんが隣にやってきて、感心したように手元をのぞきこむ。「葉山さん、ほんと器用だな。すげえ」
近い距離に、どきりとする。そのとき、桜井くんが「あ、ほっぺに絵の具ついてる」と、ふいに手を伸ばして、私の頬をそっと拭った。
時間が止まった気がした。顔が、一気に熱くなる。桜井くんも、自分の行動にあとから気づいたのか、「あ、ごめん」と耳まで赤くしていた。
少し離れた場所で、七海が蓮くんを肘でつついて、にやにやしている。私は、心臓の音を聞かれないように、うつむいて花を折り続けた。




