第97話 悪役なら王城の陰謀に巻き込まれる
王城。
報告会から数日後。
俺は学院へ戻る予定だった。
静かな生活。
それが一番いい。
「では。」
荷物を持つ。
「帰る。」
その瞬間。
「待ってください。」
声。
振り返る。
王女だった。
「……。」
「まだ何かあるのか。」
「はい。」
王女は一枚の封筒を差し出す。
「これを。」
「?」
封蝋。
王家の紋章。
「何だ。」
「王城内で。」
「少し気になる動きがあります。」
「……。」
嫌な予感。
「俺には関係ない。」
「そう言うと思いました。」
王女は微笑む。
「ですが。」
「北部の件と繋がっている可能性があります。」
「……。」
それを言われると。
無視できない。
「内容は?」
「王城内部で。」
「魔道具や魔法研究に関する資料が盗まれています。」
「……。」
北部の男。
魔物研究。
魔法陣。
繋がる。
「調べる。」
王女が嬉しそうに笑う。
「ありがとうございます。」
「勘違いするな。」
「?」
「黒幕がいるなら。」
「放置すると面倒になる。」
「はい。」
その日の夜。
俺は王城地下の資料庫へ向かった。
案内役はセレナ。
「なぜ私まで?」
セレナが聞く。
「王女の護衛だからです。」
「そうか。」
「それだけですか?」
「?」
「普通は。」
「助かるとか言うところでは。」
「必要なら言う。」
「……。」
セレナは少し笑った。
「あなた。」
「本当に変わっています。」
資料庫。
大量の古文書。
魔法研究記録。
「ここです。」
王女が言う。
「盗まれた資料は。」
「古代魔法関連でした。」
「……。」
俺は棚を見る。
違和感。
「ここ。」
「え?」
指を置く。
埃。
しかし。
一部分だけ。
「最近動かされた。」
セレナが驚く。
「分かるんですか?」
「跡がある。」
「……。」
奥の棚。
隠し扉。
「開ける。」
中には。
一枚の紙。
そして。
黒い魔石。
「これは……。」
王女の顔が変わる。
「王家の禁制魔法に使われる素材です。」
「……。」
その瞬間。
魔石が光った。
バチッ。
「!」
魔法陣。
床に広がる。
「罠です!」
セレナが叫ぶ。
だが。
遅い。
黒い影が現れる。
「やっと来たか。」
「……。」
仮面の男。
「アルベルト・フォン・グランディア。」
「君は本当に面白い。」
「北部の研究も。」
「王城の資料も。」
「全て辿り着いた。」
「……。」
俺を見る。
「なら。」
「君自身を調べるとしよう。」
魔力が膨れ上がる。
王女が構える。
「誰ですか!」
男は笑った。
「我々は。」
「この国を作り変える者だ。」
「……。」
また面倒な奴だ。
俺はため息を吐く。
「帰りたい。」
セレナが小さく呟く。
「今それを言いますか……。」
そして。
王城地下で。
新たな戦いが始まった。
第97話を読んでいただきありがとうございます!
王城内部へ広がる陰謀が明らかになり始めました。
北部の魔物事件と、王城での禁制魔法研究。
二つの事件は一本の線で繋がっていきます。
次回、仮面の男との対決が始まります!




