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第95話 悪役なら黒幕の計画を壊す

 暗い洞窟。


 魔物を集めていた男。


 黒いローブ。


 不気味な魔道具。


「君の力。」


 男は笑う。


「ずっと調べていたよ。」


「……。」


「王都合同魔法演習。」


「圧倒的な魔力。」


「ありえない速度での魔法発動。」


「そして。」


 男は魔道具を掲げる。


「その力を解析する。」


「私の研究の完成には。」


「君が必要だ。」


「……。」


 面倒だ。


 勝手に調べられていたらしい。


「断る。」


 男の笑顔が止まる。


「……え?」


「協力しない。」


「なぜ?」


「面倒だからだ。」


「……。」


 リリアが小さくため息を吐く。


「男爵様らしいです……。」


 セレナも頷く。


「交渉以前の問題ですね。」


 男は笑った。


「なるほど。」


「噂通りだ。」


「力を持ちながら。」


「欲がない。」


「違う。」


 俺は男を見る。


「欲はある。」


「?」


「静かな生活だ。」


 即答。


 男は少し黙る。


「……。」


「面白い。」


「なら。」


 魔道具が光る。


「力ずくで調べるまでだ。」


 洞窟全体が揺れる。


 壁の魔法文字が輝く。


「来ます!」


 ミリアが叫ぶ。


 地面から。


 大量の魔物が現れる。


「……。」


 また魔物か。


「男爵様。」


 リリアが杖を構える。


「私たちも戦います。」


「……。」


 セレナも前へ出る。


「今回は一人で全部やらないでください。」


「……。」


 以前なら。


 断っていた。


 だが。


「分かった。」


 二人が少し笑う。


「任せる。」


「はい!」


 魔物の群れが迫る。


 ミリアが弓を放つ。


「目を狙います!」


 セレナの氷魔法が足元を凍らせる。


「動きを止めます!」


 リリアの光魔法が洞窟を照らす。


「今です!」


 連携。


 以前より。


 自然になっている。


「……。」


 悪くない。


 その時。


 黒ローブの男が魔道具を起動する。


「無駄だ。」


「この洞窟全体が。」


「巨大な魔法陣だ。」


「君の魔力を吸収する。」


「……。」


 魔力が引かれる感覚。


 なるほど。


 普通なら危険だ。


「男爵様!」


 リリアが叫ぶ。


「大丈夫ですか!?」


「ああ。」


 俺は立ち上がる。


「少し驚いただけだ。」


「嘘ですね。」


 セレナが言う。


「あなた。」


「少し楽しそうです。」


「……。」


 図星だった。


 久しぶりに。


 少しだけ。


 面白い相手だった。


「なら。」


 魔力を解放する。


 洞窟全体が震える。


「逆に利用する。」


「なに?」


 男の顔が変わる。


 吸収していた魔法陣。


 その流れを。


 俺が逆に操る。


「魔法陣は。」


「力を流す道だ。」


「なら。」


「流れを変えればいい。」


「ありえない……!」


 男が叫ぶ。


「そんな精密操作を……!」


 次の瞬間。


 魔法陣は光り。


 全ての魔物を包む。


「眠れ。」


 一瞬。


 魔物たちは動きを止めた。


 そして。


 洞窟の魔法文字が消えていく。


「……。」


 男は膝をついた。


「私の研究が……。」


「終わる……。」


 俺は近付く。


「なぜ。」


「こんなことをした。」


 男は笑う。


「簡単だ。」


「力ある者を。」


「理解したかっただけだ。」


「……。」


「だが。」


「君は。」


「理解できない。」


「何を求めているのか。」


「なぜ力を使うのか。」


「私には分からない。」


「……。」


 俺は答える。


「俺にも分からん。」


「え?」


「ただ。」


「目の前で面倒なことが起きると。」


「放っておけないだけだ。」


 沈黙。


 リリアが微笑む。


 セレナも小さく笑う。


「やっぱり。」


「あなたですね。」


「何がだ。」


 こうして。


 北部を襲った魔物騒動は終わった。


 しかし。


 男が最後に残した言葉。


「王国の裏で。」


「もっと大きな計画が動いている。」


 その意味を。


 まだ誰も知らなかった。

第95話を読んでいただきありがとうございます!


北部編の戦いが決着しました。


ただの魔物騒動ではなく、裏で誰かが魔物を利用していたことが判明。


そしてアルベルトの周囲には、少しずつ彼の本質を理解する仲間が増えていきます。


次回、北部での報告と新たな展開へ進みます!

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