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第94話 悪役なら魔物の巣を破壊する

 北部の村。


 村長から話を聞いた俺たちは、魔物が現れるという森へ向かっていた。


「この先です。」


 案内しているのは。


 昨日話しかけてきた女性。


「私はミリアです。」


「この村の狩人をしています。」


「……。」


 狩人。


 なら多少は役に立つか。


「男爵様。」


 リリアが小声で聞く。


「ミリアさん。」


「ずっと村のために戦っているそうですよ。」


「そうか。」


 セレナも頷く。


「魔物被害が始まってから。」


「一人で調査を続けていたようです。」


「……。」


 森の奥。


 足跡。


 折れた木。


 巨大な爪痕。


「……。」


 普通の魔物ではない。


「この辺りだな。」


 俺が言った瞬間。


 地面が揺れた。


 ドン。


 ドン。


「来ます!」


 ミリアが弓を構える。


 木々の間から。


 巨大な魔物が姿を現した。


 黒い毛皮。


 鋭い牙。


 巨大な熊のような姿。


「グランドベア……。」


 セレナが呟く。


「上級魔物です。」


「村の戦力では。」


「到底勝てません。」


「……。」


 なるほど。


 これが原因か。


 なら。


 悪役らしく。


 巣ごと消す。


「下がれ。」


 俺は前へ出る。


「男爵様。」


 ミリアが驚く。


「危険です!」


「問題ない。」


 魔物が襲い掛かる。


 巨大な爪。


 普通なら致命傷。


 しかし。


 俺は片手で止める。


「……。」


 グランドベアの動きが止まる。


「弱いな。」


 魔物が怒り。


 さらに力を込める。


 だが。


「邪魔だ。」


 一瞬。


 魔力を流す。


 ドンッ!


 魔物は吹き飛び。


 木々をなぎ倒す。


「……。」


 リリアが呟く。


「また一撃……。」


 セレナは苦笑する。


「予想通りです。」


 しかし。


 俺は魔物を見る。


「問題は。」


「こいつだけじゃない。」


「え?」


 森の奥。


 魔力の流れ。


 一つではない。


 複数。


「巣がある。」


 ミリアの顔が変わる。


「巣?」


「ああ。」


 俺は森の奥を見る。


「こいつは。」


「ただの偵察だ。」


 空気が変わる。


 セレナが警戒する。


「まさか。」


「本体がいる?」


「そういうことだ。」


 俺たちはさらに奥へ進む。


 そこには。


 巨大な洞窟。


 中から大量の魔力。


 そして。


 壁一面に刻まれた魔法文字。


「……。」


 リリアが息を呑む。


「これは……。」


 ミリアも驚く。


「魔物の巣じゃない。」


「誰かが。」


「魔物を集めている……?」


「……。」


 面倒な話になった。


 自然発生ではない。


 誰かが意図的に。


 魔物を操っている。


 その時。


 洞窟の奥から声が響いた。


「なるほど。」


「王都の英雄様が来たか。」


「……。」


 人間の声。


 暗闇から。


 一人の男が姿を現す。


 黒いローブ。


 手には魔道具。


「初めまして。」


「アルベルト・フォン・グランディア。」


「君を倒せば。」


「私の研究は完成する。」


「……。」


 また。


 面倒な奴が出てきた。

第94話を読んでいただきありがとうございます!


北部編の問題が、ただの魔物被害ではないことが判明しました。


誰かが裏で魔物を操っている。


そしてアルベルトを狙う謎の人物が登場します。


次回、北部編の本格的な戦いが始まります!

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