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第91話 悪役なら王様の招待を断る

 王都から学院へ戻る日。


 その予定だった。


 しかし。


「……。」


 俺の手元には一通の手紙。


『王城へ来られたし』


 差出人。


 王家。


「断る。」


 即答。


「え?」


 リリアが固まる。


「男爵様。」


「王城ですよ?」


「だからだ。」


 面倒だ。


 王族との面会。


 貴族との会話。


 全部疲れる。


「行く必要がない。」


 そう言って手紙を机へ置く。


 すると。


「……。」


 セレナが呆れた顔をした。


「本気ですか?」


「ああ。」


「王家からの正式な招待ですよ。」


「関係ない。」


「……。」


 エリオットまで苦笑する。


「なかなかできることではありませんね。」


「褒めてない。」


「褒めています。」


「違う。」


 その時。


 学院長が部屋へ入ってきた。


「アルベルト君。」


「……。」


「逃げようとしていますね。」


「違う。」


「では。」


 学院長は笑顔で言う。


「なぜ荷物をまとめているのですか?」


「……。」


 見られていた。


「王城へ行く必要はありません。」


 学院長は続ける。


「ですが。」


 一枚の紙を取り出す。


「国王陛下からの命令書です。」


「……。」


「命令。」


 その言葉に。


 俺は止まった。


「これは。」


「拒否できないものです。」


「……。」


 仕方ない。


 悪役なら。


 王命にも逆らうべきかもしれない。


 しかし。


 それをすると。


 学院や周囲に迷惑がかかる。


「……。」


「行く。」


 リリアが笑顔になる。


「良かったです!」


「別に楽しみではない。」


「はい!」


 聞いていない。


 王女も優しく微笑む。


「王城へは私も同行いたします。」


「?」


「殿下が?」


「はい。」


 王女は頷く。


「私の家でもありますから。」


「……。」


 そうだった。


 完全に忘れていた。


 数日後。


 王都。


 王城前。


 巨大な門。


 白い城壁。


 数え切れないほどの騎士。


「……。」


 デカい。


 学院よりさらに大きい。


「アルベルト様。」


 案内役の騎士が頭を下げる。


「国王陛下がお待ちです。」


「……。」


 謁見の間。


 赤い絨毯。


 左右には大勢の貴族。


 正面には玉座。


 そして。


 一人の男。


「よく来た。」


 国王。


 その視線が俺へ向く。


「アルベルト・フォン・グランディア。」


「王都合同魔法演習。」


「見事だった。」


「……。」


「そして。」


 国王は微笑む。


「余は君に聞きたいことがある。」


「?」


「なぜ。」


「そこまで力を持ちながら。」


「名誉も。」


「地位も。」


「求めないのだ?」


 沈黙。


 全員が俺を見る。


「……。」


 答えは簡単だ。


「必要ないからだ。」


 貴族たちがざわつく。


「陛下にその言い方を……。」


「失礼では……。」


 しかし。


 国王は。


 笑った。


「やはり。」


「噂通りだな。」


「……。」


 何がだ。


 そして。


 国王は続ける。


「ならば。」


「別の頼みがある。」


 一枚の書類が渡される。


「王国北部。」


「そこにある問題を。」


「君に解決してもらいたい。」


「……。」


 嫌な予感。


「なぜ俺が。」


 国王は静かに答えた。


「君なら。」


「力を振りかざさず。」


「民を救えると思ったからだ。」


「……。」


 違う。


 俺は。


 悪役になりたいだけだ。


 なのに。


 また。


 面倒な役目が増えた。

第91話を読んでいただきありがとうございます!


第四章「王城編」が始まりました!


王都合同魔法演習での活躍により、ついにアルベルトは王族から直接呼ばれることになります。


本人は相変わらず目立つことを避けていますが、周囲からの評価はさらに大きくなっていきます。


「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、ぜひブックマーク、★★★★★評価、感想、レビューで応援していただけると励みになります!

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