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第90話 悪役なら優勝を拒否する

 王都合同魔法演習。


 全競技終了。


 そして。


 結果発表の日。


 王都中央広場。


 各学院の生徒。


 王国関係者。


 王都騎士団。


 多くの人々が集まっていた。


「今年の合同魔法演習は。」


 司会者が声を響かせる。


「歴史に残る大会となりました!」


 歓声。


「第三競技では王都防衛を成功させ。」


「第二競技では遺跡最深部へ到達。」


「第一競技では圧倒的な得点を記録。」


 そして。


 巨大な掲示板へ順位が映し出される。


『総合優勝』


『王立魔法学院』


『代表』


『アルベルト・フォン・グランディア』


 大歓声。


「優勝だ!」


「三冠だ!」


「すごすぎる!」


「……。」


 俺はため息を吐いた。


 最悪だ。


 また。


 目立った。


「男爵様。」


 リリアが嬉しそうに笑う。


「おめでとうございます!」


「違う。」


「?」


「俺は望んでいない。」


「でも。」


 王女が微笑む。


「皆さんが喜んでいます。」


 周囲を見る。


 確かに。


 学院の生徒たち。


 他学院の代表者。


 騎士団。


 みんなこちらを見ていた。


 期待。


 尊敬。


 そんな視線。


「……。」


 悪役なら。


 ここで。


 優勝を拒否する。


「受け取らない。」


 会場が静まる。


「え?」


 司会者が固まる。


「優勝者の証。」


「王国勲章。」


「それを拒否するということですか?」


「ああ。」


 ざわめき。


 リリアが驚く。


「男爵様……。」


 セレナも目を見開く。


「本気ですか。」


「必要ない。」


「なぜですか。」


「興味がない。」


 俺はそれだけ答える。


 しばらく沈黙。


 すると。


 クラウス隊長が前へ出た。


「アルベルト。」


「君は。」


「名誉が欲しくないのか。」


「ない。」


「称号も。」


「いらん。」


「評価も。」


「不要だ。」


 クラウスは少し考える。


 そして。


 笑った。


「そうか。」


「だからこそ。」


「君に相応しい。」


「……。」


 意味が分からない。


 司会者も困ったように王国関係者を見る。


 やがて。


 国王代理の人物が口を開いた。


「では。」


「これは勲章ではなく。」


「感謝の証として受け取ってほしい。」


「……。」


「王都を守った者へ。」


「国からの礼だ。」


「……。」


 そこまで言われると。


 断る理由がない。


「分かった。」


 俺は受け取る。


 会場から拍手。


「やっぱり!」


「最後まで格好いい!」


「……。」


 違う。


 押し切られただけだ。


 その後。


 表彰式が終わり。


 帰り道。


 セレナが隣を歩いていた。


「……。」


「何だ。」


「いえ。」


 少しだけ笑う。


「最初に会った時。」


「あなたを誤解していました。」


「?」


「傲慢で。」


「自分の力しか信じない人だと思っていました。」


「……。」


「でも。」


 セレナは前を見る。


「違いました。」


「あなたは。」


「自分が評価されることより。」


「誰かが助かることを優先している。」


「違う。」


「まだ言いますか。」


 少し笑う。


「でも。」


「私は。」


「あなたを認めます。」


「……。」


 初めて。


 真正面から言われた。


 俺のことを。


 その時。


「男爵様!」


 リリアが走ってくる。


「帰りの準備ですよ!」


 王女も続く。


「学院へ戻りましょう。」


「……。」


 王都での日々。


 終わり。


 ……のはずだった。


 しかし。


 王城から。


 一通の手紙が届く。


『アルベルト・フォン・グランディア男爵へ』


『王国より正式な招待を申し上げる』


『至急、王城へ来られたし』


「……。」


 嫌な予感しかしなかった。

第90話を読んでいただきありがとうございます!


第三章の大きなイベント、王都合同魔法演習がついに決着しました!


アルベルト本人は最後まで目立つことを嫌がっていますが、王都では英雄として知られる存在になってしまいました。


そして最後には新たな招待状が。


次回から、王城編へ突入します!


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