第85話 悪役なら守護者を一人で倒す
第三階層。
巨大な空間の中央。
黒い鎧を纏った守護者が立っていた。
「ここから先へ進みたいなら。」
魔剣を構える。
「力を示せ。」
空気が震える。
圧倒的な魔力。
「……。」
リリアが息を呑む。
「すごい魔力です……。」
セレナも警戒する。
「第三階層の守護者。」
「想定以上ですね。」
西方学院の代表が剣を抜く。
「全員で行くぞ。」
「……。」
全員。
つまり。
協力する。
だが。
俺は前へ出た。
「男爵様?」
「下がれ。」
「え?」
「俺がやる。」
リリアが驚く。
「また一人で……。」
セレナはため息を吐いた。
「予想通りです。」
守護者が笑う。
「一人で挑むか。」
「愚かな。」
魔剣が振り下ろされる。
ドォォン!
床が砕ける。
しかし。
俺はその場から動かなかった。
「……。」
魔剣を片手で受け止める。
「なっ!?」
守護者が初めて驚いた。
「止めた?」
「ありえない……。」
周囲がざわつく。
俺は魔剣を押し返す。
「重いな。」
「……。」
「少し期待した。」
守護者の表情が変わる。
「ならば。」
「これはどうだ。」
黒い魔力が集まる。
巨大な斬撃。
普通なら。
避けるしかない攻撃。
しかし。
俺は手を前へ出す。
「邪魔だ。」
魔力の壁。
斬撃は消滅した。
「……。」
沈黙。
「嘘だろ。」
西方学院の代表が呟く。
「守護者の攻撃を……。」
「防いだ?」
リリアは驚きながらも。
少し困った顔をしていた。
「男爵様。」
「また全部一人で……。」
「?」
「何だ。」
「いえ。」
セレナが小さく笑う。
「本当に変わりませんね。」
俺は守護者を見る。
「終わりだ。」
拳へ魔力を集める。
そして。
一歩。
踏み込む。
ドンッ!
一撃。
守護者の鎧に亀裂が走る。
「……見事。」
守護者は膝をついた。
「力だけではない。」
「迷いもない。」
「認めよう。」
黒い鎧が光へ変わる。
「通れ。」
奥の扉が開いた。
「……。」
静寂。
その後。
「勝った……。」
「一瞬で……。」
西方学院の生徒たちは呆然としていた。
リリアは苦笑する。
「やっぱり男爵様ですね。」
「何がだ。」
「すごいところです。」
「違う。」
セレナは扉を見る。
「ですが。」
「今回は。」
「少し違いました。」
「?」
「最初に。」
「私たちへ下がれと言った。」
「……。」
当然だ。
危険だから。
そう思っただけ。
だが。
セレナは少し嬉しそうだった。
「守ろうとしていたんですね。」
「違う。」
即答。
「違います。」
リリアも笑う。
「ふふっ。」
そして。
最深部への階段が現れる。
魔導核まで。
あと少し。
しかし。
その時。
通信魔法が響いた。
『緊急連絡』
『残り時間三十分』
『現在、別学院チームが最深部へ到達しました』
「……。」
先を越された。
セレナが表情を引き締める。
「急ぎましょう。」
俺たちは走り出す。
第二競技。
勝敗を決める最後の戦いへ。
第85話を読んでいただきありがとうございます!
今回は第三階層の守護者との戦いでした。
アルベルトは圧倒的な力を見せましたが、周囲は少しずつ「強さ」だけではなく、その行動の意味にも気付き始めています。
そして第二競技はいよいよ最終局面へ。
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