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第84話 悪役なら協力を台無しにする

第二階層。


 巨大な魔法装置の前。


 六人の代表者が並んでいた。


 俺。


 リリア。


 セレナ。


 そして。


 西方魔法学院の三人。


「この装置を起動するには。」


 西方学院の代表が壁の文字を読む。


「六つの魔力を同時に流す必要があるらしい。」


「つまり。」


 リリアが頷く。


「全員で協力しないと進めないんですね。」


「そういうことだ。」


「……。」


 面倒だ。


 仲良く協力。


 悪役には似合わない。


「なら。」


 俺は魔法装置へ近付く。


「一人でやる。」


「え?」


 全員が止まる。


「六人必要って書いてあるんですよ?」


 セレナが言う。


「読んだ。」


「なら分かるでしょう。」


「一人で足りる。」


「……。」


 西方学院の代表が苦笑する。


「また無茶を言うな。」


「無茶ではない。」


 俺は魔力を流す。


 ドクン。


 巨大な装置が震える。


「!?」


「嘘……。」


「一人で反応している?」


 魔法装置の一部が光る。


 しかし。


 途中で止まった。


『魔力不足』


 文字が浮かぶ。


「……。」


 少し足りない。


 もう少し出す。


 すると。


 今度は。


『過剰魔力』


 別の警告。


「……。」


 調整が面倒だ。


「男爵様。」


 リリアが近付く。


「一緒にやりましょう。」


「……。」


「その方が早いです。」


 セレナも頷く。


「珍しく同意します。」


「一人で全て調整するより。」


「複数人で均等に流した方が安定します。」


「……。」


 正論だった。


 仕方ない。


「分かった。」


 俺は手を離す。


 六人が装置へ手を置く。


「せーの。」


 魔力を流す。


 光が広がる。


 ゴゴゴゴ……。


 巨大な扉が開いた。


「成功です!」


 リリアが笑う。


「やりましたね!」


 西方学院の生徒たちも喜ぶ。


「すごいな。」


「敵だった相手と協力するなんて。」


「……。」


 俺は扉の先を見る。


「次へ行くぞ。」


「え?」


「もう終わった。」


 それだけ言って歩き出す。


 すると。


 後ろから。


「待ってください。」


 セレナ。


「なんだ。」


「……。」


 少し迷ったあと。


「ありがとうございます。」


「?」


「協力を受け入れてくれて。」


「当然だ。」


「進めないからな。」


 セレナは小さく笑った。


「そういうところです。」


「何がだ。」


 答えはなかった。


 その時。


 扉の奥から。


 冷たい風が吹いてくる。


「……。」


 次の階層。


 そこには。


 巨大な空間。


 そして。


 一人の人影が立っていた。


「やっと来たか。」


 低い声。


 黒い鎧。


 手には魔剣。


「ここから先へ進みたいなら。」


 男は剣を構える。


「俺を倒してみろ。」


「……。」


 セレナが息を呑む。


「守護者……。」


 西方学院の代表が呟く。


「第三階層の試練か。」


 俺は剣を見る。


「……。」


 強そうだ。


 なら。


 悪役らしく。


 全力で潰す。


 そう思った。

第84話を読んでいただきありがとうございます!


今回は第二階層の協力ギミック攻略でした。


アルベルトは一人で突破しようとしましたが、結果的に仲間と協力することになります。


そして次の階層では、強敵との戦いが待っています。

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