第83話 悪役なら他学院を利用する
古代遺跡。
第二階層。
薄暗い通路を進む。
壁には古代文字。
床には複雑な魔法陣。
「気を付けてください。」
セレナが周囲を見る。
「この階層から罠の難易度が上がっています。」
「……。」
リリアが杖を握る。
「さっきみたいな石像もいるかもしれませんね。」
「ああ。」
俺は前を見る。
すると。
「……。」
前方から声が聞こえた。
「止まれ。」
数人の生徒が立っていた。
制服を見る。
西方魔法学院。
第一競技で二位だった学院だ。
「アルベルト・フォン・グランディア。」
先頭の男子生徒が言う。
「やはりここにいたか。」
「……。」
面倒だ。
「何の用だ。」
「決まっている。」
男は剣を抜く。
「魔導核を狙うなら。」
「ここを通る必要がある。」
「なら。」
「勝負だ。」
リリアが警戒する。
「戦うつもりですか……。」
セレナも構える。
「団体戦ですから。」
「避けられませんね。」
「……。」
悪役なら。
全員倒す。
それが一番早い。
俺が前へ出ようとした時。
「待て。」
西方学院の男子生徒が言った。
「?」
「お前に一つ聞きたい。」
「なんだ。」
「なぜ。」
「第一競技で勝利を譲った?」
「……。」
またその話か。
「興味がなかった。」
即答。
相手は目を細める。
「本当に?」
「ああ。」
「力がある者が。」
「名誉を求めない?」
「理解できない。」
「……。」
その時。
彼は剣を下ろした。
「なら。」
「提案がある。」
「?」
「一時休戦だ。」
リリアが驚く。
「え?」
「敵なのに?」
男子生徒は頷く。
「この遺跡。」
「最深部へ行くには。」
「一学院だけでは危険だ。」
「……。」
「だから。」
彼は俺を見る。
「お前と協力したい。」
「断る。」
即答。
全員が固まる。
「なぜだ?」
「面倒だから。」
「……。」
セレナがため息を吐く。
「またですか。」
しかし。
西方学院の男子生徒は笑った。
「なるほど。」
「簡単には信用しないか。」
「違う。」
「だが。」
彼は剣をしまう。
「それでも頼む。」
「俺たちは。」
「この先へ進みたい。」
「……。」
真剣な目だった。
その時。
遺跡全体が揺れる。
ゴゴゴゴ……。
「!?」
「何だ!?」
壁が崩れる。
そして。
巨大な文字が浮かんだ。
『第二階層・緊急試練』
『参加学院数不足』
『最低四名以上の協力が必要』
「……。」
全員が沈黙する。
セレナが小さく呟いた。
「まさか。」
「協力しないと進めない仕組み……。」
西方学院の男子生徒が苦笑する。
「どうやら。」
「選択肢はないみたいだな。」
「……。」
俺はため息を吐く。
悪役なら。
他人と協力なんてしたくない。
だが。
「……。」
進めないなら仕方ない。
「一時だけだ。」
俺は言う。
「協力する。」
リリアが嬉しそうに笑う。
「はい!」
セレナも頷く。
「良い判断です。」
西方学院の代表者は笑った。
「よろしく頼む。」
「アルベルト。」
そして。
第二階層の扉が開く。
その先には。
巨大な魔法装置が待っていた。
第83話を読んでいただきありがとうございます!
今回は他学院との対立から、一時的な共闘へと展開しました。
アルベルトは嫌々ながら協力することになりますが、合同魔法演習だからこその新しい関係が生まれていきます。
次回は第二階層の試練攻略です!




