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第82話 悪役なら仲間の活躍を奪う

 古代遺跡。


 巨大な石像が動き出す。


 全身は岩。


 手には巨大な剣。


「来ます!」


 セレナが叫ぶ。


 石像が腕を振り下ろした。


 ドォォン!


 床が砕ける。


 だが。


「右です!」


 リリアの声。


 俺は横へ移動する。


 直後。


 石像の攻撃が空を切った。


「……。」


 なるほど。


 二人がいると楽だ。


「男爵様!」


「次は私が!」


 リリアが杖を構える。


「光よ!」


 眩い魔法が石像を包む。


 動きが止まる。


「今です!」


 セレナが走る。


「氷槍!」


 氷の槍が石像の足へ突き刺さる。


 バキッ。


 片膝をつく。


「……。」


 弱点を突いた。


 悪くない。


 なら。


 俺が終わらせる。


 一撃で。


 そう思った。


 しかし。


「待ってください。」


 セレナが言う。


「?」


「最後は。」


 リリアを見る。


「私たちに任せてください。」


「……。」


「え?」


 リリアも驚く。


「せ、セレナさん?」


「あなた方二人だけで戦っても。」


 セレナは石像を見る。


「男爵様の力なら一瞬でしょう。」


「ですが。」


「これは団体戦です。」


「……。」


 その言葉。


 少しだけ引っ掛かった。


 勝つことだけなら。


 俺一人でいい。


 だが。


 これは。


 団体戦。


「……。」


「分かった。」


 二人が少し驚く。


「本当に?」


「ああ。」


 俺は後ろへ下がる。


「任せる。」


 リリアが嬉しそうに笑った。


「はい!」


「頑張ります!」


 二人は並んで構える。


「セレナさん。」


「合わせます。」


「分かりました。」


 二人の魔力が重なる。


「光と氷。」


「相性は悪くありません。」


「なら。」


「一気に!」


 巨大な魔法陣が展開される。


「合成魔法!」


 光を纏った氷の槍。


 それが石像の胸へ突き刺さった。


 バキィィィン!


 巨大な身体に亀裂が走る。


 そして。


 石像は崩れ落ちた。


 静寂。


「……。」


「やりました!」


 リリアが笑う。


「私たちで倒せました!」


 セレナも小さく息を吐く。


「成功ですね。」


「……。」


 俺は二人を見る。


 悪くない。


 むしろ。


 良かった。


 その瞬間。


 遺跡全体へ声が響く。


『第一階層突破』


『アルベルト・チーム』


『最速記録更新』


「……。」


 またか。


 目立った。


 リリアは嬉しそう。


「最速ですよ!」


「すごいです!」


 セレナは少しだけ笑う。


「あなたがいる時点で。」


「こうなる気はしていました。」


「違う。」


 俺は首を振る。


「今回は。」


「二人のおかげだ。」


 その一言に。


 二人は固まった。


「……。」


「……。」


「なんだ。」


 リリアは顔を赤くする。


「いえ……。」


「男爵様からそんな言葉を聞くとは思わなくて。」


 セレナも目を逸らす。


「……。」


「珍しいですね。」


「本当のことを言っただけだ。」


 すると。


 遺跡の奥から。


 新たな扉が開く。


 その先には。


 第二階層への階段。


「行きましょう。」


 セレナが言う。


「次が待っています。」


「ああ。」


 俺たちは進む。


 本人だけは気付いていなかった。


 初めて。


 仲間と並んで歩いていることに。

第82話を読んでいただきありがとうございます!


今回はアルベルトが初めて仲間へ任せる場面でした。


一人で圧倒することもできる彼ですが、団体戦だからこそ仲間と協力する意味を少しずつ理解していきます。


そしてリリアとセレナとの距離にも、少しずつ変化が……。


「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、ぜひブックマーク、★★★★★評価、感想で応援していただけると励みになります!


次回もよろしくお願いいたします!

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