第80話 悪役なら次の競技を棄権する
第一競技終了後。
宿泊施設へ戻った俺たちは、翌日の説明を受けていた。
「第二競技は。」
魔法省職員が告げる。
「団体戦です。」
スクリーンへ映像が浮かぶ。
広大な遺跡。
「各学院から三名の代表者を選出。」
「遺跡内部を探索し、最深部にある魔導核を回収してください。」
「制限時間は五時間。」
「協力、妨害、すべて認められます。」
ざわめきが起こる。
「団体戦か。」
「誰と組むかが重要だな。」
「……。」
面倒だ。
三人。
つまり。
誰かと組まなければならない。
「なら。」
悪役なら。
棄権する。
「俺は出ない。」
全員がこちらを見る。
「え?」
リリアが固まる。
「男爵様?」
「棄権する。」
「どうしてですか!?」
「面倒だからだ。」
即答。
これなら。
学院の期待を裏切る。
嫌われる。
完璧だ。
しかし。
「……。」
セレナがじっと俺を見る。
「またですね。」
「何がだ。」
「逃げようとしている。」
「違う。」
「違いますか?」
言い返せない。
「男爵様。」
リリアが少し寂しそうに言う。
「一緒に出たくないんですか?」
「……。」
その言葉に。
少しだけ止まる。
「違う。」
「なら。」
王女が優しく微笑む。
「ご一緒させていただけませんか?」
「……。」
エリオットも近付いてくる。
「もしよろしければ。」
「私も参加したいですね。」
「中央学院代表として。」
「あなたの戦い方を近くで見てみたいです。」
「……。」
増えた。
また。
面倒なことになった。
その時。
「待ってください。」
セレナが手を挙げる。
「団体戦の規定があります。」
「代表三名。」
「そして。」
紙を見る。
「最低一名は女性代表を含める必要があります。」
「……。」
リリア。
王女。
セレナ。
三人の視線が集まる。
「……。」
嫌な予感しかしない。
「男爵様。」
リリアが笑う。
「誰を選びますか?」
「……。」
選ばない。
それが一番だ。
「全員。」
「?」
「全員で行けばいい。」
一瞬。
沈黙。
そして。
「え?」
リリアが固まる。
王女も目を見開く。
セレナまで驚いた顔をした。
「規定では三名です。」
「……。」
しまった。
普通に間違えた。
「男爵様。」
リリアが笑いをこらえる。
「四人は駄目です。」
「……。」
失敗した。
悪役らしく悩ませるつもりだったのに。
「では。」
セレナが静かに言う。
「抽選にしましょう。」
「公平です。」
「……。」
その言葉に。
リリアと王女が互いを見る。
「……。」
「……。」
そして。
二人とも小さく頷いた。
「分かりました。」
「公平なら。」
「……。」
なんだ。
以前なら争っていたはずなのに。
少し変わった気がする。
そして。
抽選の結果。
「第一枠。」
「アルベルト・フォン・グランディア。」
「第二枠。」
「リリア・フォン・ハルベルク。」
「第三枠。」
「セレナ・フォルティス。」
「……。」
王女が外れた。
リリアが少し申し訳なさそうな顔をする。
「殿下……。」
「大丈夫です。」
王女は笑った。
「応援しています。」
その笑顔は。
少しだけ寂しそうだった。
俺は気付かない。
ただ。
「三人か。」
そう呟いた。
第二競技。
遺跡探索。
悪役として。
絶対に目立たない。
そう決意した。
第80話を読んでいただきありがとうございます!
第二競技の内容が明らかになりました。
今回は団体戦ということで、アルベルトの周囲の関係にも少し変化が出ています。
本人は棄権したいだけですが、周囲は別の意味で受け取ってしまうようです。
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