第7話 騎士団を恐怖で支配する
第7話です。
今回は騎士団が登場しました。
悪役として恐怖で支配するつもりが、本人の思惑とは正反対の結果になっていきます。ここから少しずつ、男爵家の変化が領地の外にも広がり始めます。
使用人。
庭師。
領民。
商人。
全員失敗。
なら、次は騎士団だ。
悪役貴族といえば、恐怖政治。
力で従わせてこそ悪役というものだ。
「レオン。」
「はい、坊ちゃま。」
側近となった騎士レオンがすぐに姿を現す。
「騎士団を訓練場へ集めろ。」
「承知いたしました。」
しばらくして屋敷の訓練場。
二十名ほどの騎士が整列していた。
「坊ちゃま!」
一斉に敬礼する。
俺は腕を組みながら前へ出た。
「今日から訓練を変える。」
騎士たちが表情を引き締める。
「今までの二倍訓練しろ。」
一瞬静まり返った。
「朝から日没までだ。」
これなら確実に嫌われる。
休みも減る。
体力も削られる。
まさに鬼教官だ。
「返事は。」
騎士たちは顔を見合わせた。
そして。
「ありがとうございます!」
「……は?」
「ようやくです!」
「もっと鍛えたいと思っておりました!」
「坊ちゃま自ら訓練を見直してくださるとは!」
歓声が上がった。
「違う。」
なんで喜んでる。
おかしいだろ。
レオンが前へ出る。
「坊ちゃま。」
「なんだ。」
「近年は平和が続き、訓練時間が短くなっておりました。」
「そうなのか。」
「ですが、このままでは有事の際に領民を守れません。」
周囲の騎士たちも真剣に頷く。
「坊ちゃまはその危険性をご理解されていたのですね。」
「違う。」
「私たちも覚悟を決めます!」
「だから違う。」
誰も聞いていない。
すると一人の若い騎士が前へ出た。
「坊ちゃま!」
「なんだ。」
「訓練内容もご指導いただけないでしょうか!」
「知らん。」
「では坊ちゃまのお考えを形にできるよう、自分たちで考えます!」
「好きにしろ。」
「ありがとうございます!」
また礼を言われた。
なんなんだ。
俺はただブラックな職場を作りたかっただけなんだ。
その日の夕方。
訓練場からは威勢のいい掛け声が響いていた。
「もっと声を出せ!」
「男爵様の期待に応えるぞ!」
「領民を守るためだ!」
「おおーーーっ!」
以前より活気がある。
以前より士気が高い。
どう見ても逆効果だった。
レオンが満足そうに腕を組む。
「騎士団全員、坊ちゃまへの忠誠を改めて誓っております。」
「……聞きたくなかった。」
悪役になる。
その目標だけは変わらない。
だが、その道は今日もまた遠ざかっていくのだった。
第7話を読んでいただきありがとうございます!
騎士団までアルベルトの勘違いに巻き込まれてしまいました。
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