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第6話 悪役なら使用人を減らすべきだ

第6話です。


今回は屋敷の使用人たちとのお話になります。


主人公は悪役らしく振る舞っているつもりですが、周囲の勘違いはますます加速していきます。

悪役とは何だ。


 横暴。


 傲慢。


 冷酷。


 そういう存在だ。


 だから使用人にも厳しく接する。


 それなのに。


 使用人は増々俺を慕ってくる。


「……なら。」


 屋敷から追い出せばいい。


 職を失えば俺を恨む。


 これでようやく悪役らしくなれる。


「エレナ。」


「はい、坊ちゃま。」


「屋敷中の使用人を集めろ。」


「承知しました。」


 しばらくして、大広間には屋敷で働く使用人たちが勢揃いした。


 メイド。


 料理人。


 庭師。


 掃除係。


 執事まで全員いる。


「坊ちゃま、本日はどのようなご用件でしょうか。」


 執事が尋ねる。


 俺は一歩前へ出た。


「今日から使用人を減らす。」


 一瞬で空気が凍った。


 よし。


 これだ。


 これが悪役だ。


「人数が多すぎる。」


「…………。」


「働けない者はいらん。」


 誰も口を開かない。


 中には俯く者までいる。


 当然だ。


 突然解雇を言い渡されたんだからな。


「辞めたい者から辞めろ。」


 そう言い残し、俺は踵を返そうとした。


 その時だった。


「坊ちゃま!」


 若いメイドが涙を流しながら頭を下げる。


「ありがとうございます!」


「……は?」


「結婚を機に辞めようか悩んでいた者がおりまして……。」


 隣の女性も涙ぐんでいた。


「ですが人手不足の屋敷で辞めるなんて言い出せず……。」


「坊ちゃまが先におっしゃってくださったおかげで、安心して新しい人生へ進めます……!」


「ありがとうございます!」


 次々と頭を下げる使用人たち。


「坊ちゃまは私たちの事情まで考えてくださっていたんですね!」


「再就職先まで紹介すると執事様から聞きました!」


「家族との時間も作れるようになるなんて……!」


「…………。」


 俺は執事を見る。


「どういうことだ。」


「坊ちゃまのお考えを汲み取り、既に近隣の貴族へ話は通しております。」


「誰が頼んだ。」


「坊ちゃまなら必ずそうなさると。」


「勝手に決めるな。」


「失礼いたしました。」


 口では謝っている。


 だが表情はどこか誇らしげだった。


 さらにエレナまで口を開く。


「坊ちゃま。」


「なんだ。」


「働けなくなった者を切り捨てるのではなく、自ら次の職場まで用意される貴族など聞いたことがありません。」


「違う。」


「皆、とても感謝しております。」


「だから違う。」


 話が通じない。


 俺はただ嫌われたかっただけなんだ。


 解雇して恨まれたかっただけなんだ。


 それなのに。


「坊ちゃま!」


「新しい職場でも男爵家の恩は忘れません!」


「ありがとうございました!」


 使用人たちは何度も頭を下げていた。


 ……悪役とは、一体何なんだ。


 俺は少しだけ頭が痛くなった。

第6話を読んでいただきありがとうございます!


アルベルトの悪役計画は今回も大失敗でした。


少しでも「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、ブックマークや**★★★★★評価**で応援していただけると嬉しいです!


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