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第67話 悪役なら王都の門を壊す

 ガラガラガラ――。


 馬車はゆっくりと進む。


 検問を抜けた先。


 巨大な石造りの城壁が見えてきた。


「わぁ……!」


 リリアが思わず声を上げる。


「すごいです!」


「これが王都……!」


 目の前には、高さ数十メートルはある城壁。


 その中央には巨大な門。


 人や馬車が絶え間なく出入りしている。


「初めて見ました。」


 王女も静かに微笑む。


「やはり壮観ですね。」


「……。」


 デカいな。


 それだけだった。


「皆さん!」


 教師が立ち上がる。


「王都へ入ります!」


「はーい!」


 生徒たちは窓に張り付いている。


 露店。


 噴水。


 魔道具店。


 武器屋。


 大道芸人。


 まるで祭りのような賑わいだった。


「楽しそうですね!」


 リリアは目を輝かせる。


「全部見て回りたいです!」


「却下。」


「えぇ~!」


 その時。


 馬車は巨大な門の前で止まった。


「失礼します。」


 門番が中を覗き込む。


「学院の皆様ですね。」


「ああ。」


 教師が書類を見せる。


「確認しました。」


 門がゆっくりと開く。


 ギギギギギ……。


「……。」


 なら。


 悪役らしく。


 門番に文句を言うか。


「遅い。」


 俺は一言だけ告げた。


「もっと早く開けろ。」


 門番は目を丸くした。


「申し訳ありません!」


 深々と頭を下げる。


「王都の安全のため、慎重に確認しておりました!」


「……。」


 違う。


 謝るな。


 嫌え。


 すると。


 門番の隣にいた年配の兵士が笑った。


「若いの。」


「この方は急いでおられるんだ。」


「失礼があってはいかん。」


「はい!」


 門番はさらに頭を下げた。


「以後気を付けます!」


「……。」


 違うんだ。


 リリアが小声で笑う。


「男爵様。」


「きっと王都でも有名なんですね。」


「違う。」


 王女も頷く。


「先ほど騎士団長ともお話しされていましたから。」


「違う。」


 馬車は門をくぐる。


 その瞬間。


「おおっ!」


「王都だ!」


 生徒たちが歓声を上げた。


 石畳の大通り。


 何階建てもある建物。


 噴水広場。


 魔道具で動く街灯。


 見渡す限りの人、人、人。


「すごい……。」


「これが王都か。」


「一度住んでみたい!」


 皆が興奮していた。


 しかし。


「……。」


 俺はため息をつく。


「人が多すぎる。」


 疲れる。


 その一言に尽きる。


 馬車はさらに進み。


 やがて。


 巨大な建物の前で止まった。


「到着しました!」


 教師が笑顔で言う。


「こちらが皆さんの宿泊施設です!」


 目の前には。


 まるで王城と見間違えるほど豪華な学院寮が建っていた。


「ここに泊まるの?」


「広すぎるだろ!」


「迷いそう!」


 生徒たちがざわつく。


 その時。


 入口から一人の青年が姿を現した。


 黒髪。


 端正な顔立ち。


 学院の制服には金色の刺繍が施されている。


「ようこそ。」


 穏やかな笑みを浮かべる青年。


「王立中央魔法学院へ。」


 しかし。


 その視線は真っ直ぐ俺へ向けられていた。


「アルベルト・フォン・グランディア男爵。」


「お会いできるのを楽しみにしていました。」


「……。」


 嫌な予感しかしなかった。

第67話を読んでいただきありがとうございます!


ついにアルベルトたちは王都へ到着しました!


ここから第三章の舞台は王都へと移り、新キャラクターも続々と登場します。


「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、ぜひブックマーク、★★★★★評価、感想、レビューで応援していただけると、とても励みになります!


それでは次回もよろしくお願いいたします!

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