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第49話 悪役なら交流祭なんてサボる

 交流祭当日。


 朝から学院は祭りのような賑わいだった。


「焼き菓子はいかがですか!」


「魔道具展示はこちらです!」


「剣術大会の受付始まりました!」


「……。」


 うるさい。


 人が多い。


 面倒だ。


 俺は学院の裏門へ向かっていた。


「交流祭なんて出る必要はない。」


 悪役なら行事をサボる。


 教師にも生徒にも迷惑を掛ける。


 これ以上悪役らしい行動はない。


 裏門へ手を掛ける。


「あと少しで外だ。」


 ガチャ。


 門を開けようとした、その瞬間。


「男爵様!」


「……。」


 嫌な予感しかしない。


 振り返る。


 リリアだった。


 少し息を切らしながら走ってくる。


「探しました!」


「なんだ。」


「交流祭が始まります!」


「知ってる。」


「でしたら!」


「帰る。」


「え?」


「面倒だ。」


 リリアは数秒固まる。


 よし。


 困っている。


 これなら。


 嫌われる。


「男爵様。」


 リリアは少しだけ笑った。


「人混み、苦手なんですね。」


「違う。」


「でしたら。」


 優しく手を差し出す。


「人が少ないところだけ、一緒に回りましょう。」


「……。」


 違う。


 そういう話じゃない。


 その時。


「男爵様。」


 王女まで現れた。


「やはりこちらでしたか。」


「……。」


 なんで分かる。


「学院長先生から。」


 王女が苦笑する。


「『アルベルト君なら裏門から逃げそうだから』と。」


「余計なことを。」


「ふふっ。」


 王女は笑う。


「せっかくの交流祭です。」


「少しだけでも参加しませんか?」


「断る。」


「では。」


 王女は小さく首を傾げた。


「私たちも帰ります。」


「え?」


 リリアも頷く。


「男爵様が帰るなら。」


「私も帰ります。」


「……。」


 話がおかしい。


「なんでだ。」


「だって。」


 リリアは笑う。


「ペアですから。」


「交流祭は二人一組です。」


 王女も続ける。


「男爵様が参加されないなら。」


「私たちも参加できません。」


「……。」


 最悪だ。


 俺一人の問題じゃなくなった。


「男爵様。」


 リリアが少しだけ困ったように笑う。


「一時間だけ。」


「お願いします。」


 王女も一礼する。


「その後は自由で構いません。」


「……。」


 断れば。


 二人まで参加できない。


「……一時間だけだ。」


「はい!」


 リリアの顔が一気に明るくなる。


「ありがとうございます!」


 王女も嬉しそうに微笑んだ。


「楽しみです。」


「……。」


 こうして。


 悪役らしく交流祭をサボる計画は。


 開始五分で終わった。


 学院へ戻る途中。


 ルークが遠くから手を振っていた。


「アルベルトー!」


「殿下ー!」


「早くしろー!」


「模擬戦始まるぞー!」


「……。」


 静かな一日になるはずだった。


 そんな希望は。


 交流祭開始早々、完全に消え去った。

第49話を読んでいただきありがとうございます!


いよいよ交流祭編が本格スタートしました。


アルベルトは開始早々サボろうとしましたが、今回も計画はあっさり失敗です。


「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、ぜひブックマーク、★★★★★評価で応援していただけると、とても励みになります!


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