第24話 悪役には取り巻きが必要だ
試験でも失敗した。
満点なんて取るつもりじゃなかった。
「……もういい。」
悪役には取り巻きがいる。
だったら俺も取り巻きを作ればいい。
クラスで威張り散らし、気に入った者だけを従わせる。
これぞ悪役だ。
昼休み。
教室で席を立つ。
「おい。」
ルークを指差す。
「俺について来い。」
「俺か!」
「ああ。」
ルークは一瞬驚いたあと、嬉しそうに笑った。
「もちろんだ!」
違う。
喜ぶところじゃない。
廊下を歩く。
後ろにはルークが付いてくる。
「男爵様!」
「その呼び方をやめろ。」
「じゃあアルベルト!」
「もっと駄目だ。」
「ははは!」
なんなんだ、こいつ。
その様子を、少し離れた場所からリリアが見ていた。
「……。」
隣にいた女子生徒が小声で話しかける。
「どうしたの?」
「え?」
「さっきから二人のこと見てるけど。」
「そ、そんなことありません!」
慌てて否定する。
だが視線はまたアルベルトへ向いてしまう。
ルークは楽しそうに笑いながら歩いている。
「仲良さそう。」
女子生徒が笑う。
「ち、違います。」
「リリアって男爵様と話すとき、すごく楽しそうだもん。」
「そ、それは……。」
言葉に詰まる。
別に。
そんなつもりじゃない。
ただ。
「最近……。」
小さく呟く。
「ルークさんとばかり、お話ししていますね。」
胸が少しだけもやもやした。
理由は分からない。
でも。
何となく面白くなかった。
「もしかして。」
女子生徒がニヤッと笑う。
「嫉妬?」
「ち、違います!」
思わず大きな声が出る。
教室中の視線が集まり、リリアは真っ赤になった。
「私はただ……。」
「ただ?」
「男爵様は、初めてできた友達ですから。」
そう言うと、少しだけ俯く。
「だから……少しだけ。」
取られたような気がした。
一方その頃。
「おい。」
「なんだ?」
「なんで付いてくる。」
「取り巻きだからだ!」
「……。」
違う。
俺は威張りたいだけなんだ。
「今日は何するんだ?」
「何もしない。」
「さすがだ!」
「何がだ。」
「自由なんだな!」
「違う。」
俺は深くため息を吐いた。
取り巻きを作る計画も。
どうやら失敗だったらしい。
第24話を読んでいただきありがとうございます!
今回は少しだけ学院らしい青春要素も入れてみました。
リリア本人はまだ自分の気持ちに気付いていませんが、周りは少しずつ気付き始めています。
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