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第23話 悪役なら試験で0点を取る

授業をサボっても駄目だった。


 自主学習。


 熱心。


 そんな評価まで付いてきた。


「……なら。」


 試験だ。


 悪役は頭が悪くてもいい。


 むしろ赤点を取れば教師にも呆れられる。


「今回は絶対に嫌われる。」


 数日後。


 学園では実力確認の筆記試験が行われていた。


「始め。」


 教師の声が響く。


 全員が一斉に問題へ向かう。


 俺も問題用紙を見る。


「簡単だな。」


 前世の知識ではない。


 アルベルト自身の記憶のおかげで普通に解ける。


 だが。


「全部白紙だ。」


 これなら0点。


 教師も呆れる。


 悪役として完璧だ。


 俺は名前だけ書き、机へ突っ伏した。


 試験終了。


 答案を提出する。


「アルベルト君。」


「なんだ。」


「体調でも悪いのですか?」


「違う。」


「そうですか。」


 教師は少しだけ心配そうな顔をした。


 数日後。


 答案が返却された。


「それでは順位を発表します。」


 教師が一枚の紙を持つ。


「一位。」


 教室が静まる。


「アルベルト・フォン・グランディア。」


「……は?」


 教室中が拍手に包まれる。


「さすが男爵様!」


「やっぱり!」


「すごい!」


「待て。」


 俺は答案を見る。


 百点。


 しかも満点だった。


「なんでだ。」


 教師が不思議そうな顔をする。


「何がです?」


「白紙だったはずだ。」


「白紙?」


 教師は首を傾げる。


「アルベルト君は提出時間ぎりぎりまで書いていましたよ?」


「……。」


 そんなはずはない。


 俺は寝ていた。


「坊ちゃま……じゃなかった、男爵様!」


 リリアが答案を覗き込む。


「全問正解ですよ!」


「違う。」


「全部記述問題なのに!」


「違う。」


 俺は答案をめくる。


 そこには。


 俺の字で、びっしりと解答が書かれていた。


「…………。」


 書いた覚えがない。


「どういうことだ。」


 その瞬間。


 頭へ記憶が蘇る。


「あ。」


 思い出した。


 アルベルト本人。


 つまり、この身体の元の持ち主。


 授業内容程度なら、すべて覚えていたんだった。


「無意識……か。」


 寝ぼけながら書いたらしい。


 最悪だ。


 完全にやらかした。


「男爵様。」


 教師が笑顔で近付いてくる。


「学院始まって以来の満点です。」


「いらん。」


「しかも記述は模範解答以上でした。」


「聞きたくない。」


「学院長も大変喜ばれるでしょう。」


「喜ぶな。」


 ルークまで立ち上がる。


「すげぇ!」


「すごくない。」


「今度勉強教えてくれ!」


「嫌だ。」


「ありがとう!」


「断った。」


 誰も聞いていない。


 俺は答案を机へ置いた。


「……0点の予定だったんだが。」


 誰にも届かない、小さな本音だった。

第23話を読んでいただきありがとうございます!


今回は試験回でした。


0点を狙ったアルベルトですが、思わぬ形で学院中へ実力が知れ渡る結果となりました。


「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、ぜひブックマーク、★★★★★評価で応援していただけると嬉しいです!


感想やレビューもお気軽にお待ちしております!


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