第18話 学院長の呼び出し
放課後。
俺は教師に案内され、学院長室の前へ立っていた。
「こちらです。」
「帰っていいか。」
「駄目です。」
「そうか。」
知ってた。
教師が扉をノックする。
「学院長、アルベルト君をお連れしました。」
「入りなさい。」
重厚な扉が開く。
部屋の奥には、大量の本棚。
そして、一人の老人が椅子に腰掛けていた。
白髪交じりの髪。
長い髭。
いかにも学院長という風格だった。
「初めまして。」
学院長は穏やかに微笑む。
「私は王立学院学院長、オズワルドだ。」
「そうか。」
最低限だけ返す。
愛想よくする必要はない。
「座りなさい。」
「立ってる。」
「好きにするといい。」
俺はそのまま立っていた。
沈黙が流れる。
学院長は少し笑うと、一枚の紙を机へ置いた。
「君のことは色々聞いている。」
「悪い噂なら嬉しい。」
「謙遜は不要だ。」
「違う。」
また勘違いか。
「領地改革。」
「違う。」
「騎士団の再編。」
「違う。」
「領民からの厚い信頼。」
「全部違う。」
学院長は感心したように頷いた。
「ここまで功績を挙げながら驕らないとは。」
「話を聞け。」
全然聞いていない。
「今日は一つ頼みがある。」
「断る。」
「まだ話していない。」
「どうせ面倒だ。」
学院長は苦笑した。
「実は。」
机の引き出しから、一枚の書類を取り出す。
「君を生徒会へ推薦したい。」
「嫌だ。」
即答だった。
生徒会。
目立つ。
責任がある。
人気も出る。
悪役とは真逆だ。
「興味ない。」
「そう言うと思っていた。」
学院長は笑みを浮かべる。
「だから推薦ではなく、お願いだ。」
「なおさら嫌だ。」
「現在、生徒会は人手不足でね。」
「知らん。」
「優秀な人材が必要なんだ。」
「他を当たれ。」
学院長は少し考える。
そして。
「王女殿下も所属している。」
「絶対嫌だ。」
なんでそこにいる。
避けてきた意味がなくなるじゃないか。
「君なら彼女も安心できるだろう。」
「できない。」
「ははは。」
学院長は楽しそうに笑う。
「やはり噂通りだ。」
「何がだ。」
「君は誰よりも他人を優先する。」
「違う。」
「だから断る。」
「そこが君らしい。」
「……。」
もう駄目だ。
誰も話を聞かない。
学院長までこれだ。
俺は大きくため息をついた。
「帰る。」
「ああ。」
学院長は笑顔で頷いた。
「返事は急がなくていい。」
「断る。」
「いつでも待っている。」
聞いてない。
最後まで聞いてなかった。
学院長室を出ると、廊下でリリアが待っていた。
「あっ!」
嬉しそうに駆け寄ってくる。
「学院長先生に褒められました?」
「違う。」
「やっぱりすごいですね!」
「違う。」
「ふふっ。」
また笑われた。
学院生活二日目。
俺の胃痛は、早くも限界を迎えようとしていた。
第18話を読んでいただきありがとうございます!
ついに学院長までアルベルトを勘違いする側へ加わりました。
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