第17話 初めての授業
編入初日。
自己紹介は失敗だった。
あれだけ嫌われるように話したのに、なぜか好印象になっている。
「……意味が分からん。」
俺は机に肘をつき、小さくため息を吐いた。
「男爵様。」
隣から声がする。
リリアだった。
「授業が始まりますよ。」
「そうか。」
興味はない。
どうせ貴族として必要な知識を学ぶだけだろう。
教室へ教師が入ってくる。
「本日の授業は魔法学です。」
教室の空気が少しだけ引き締まる。
「まずは属性の適性を確認します。」
教師が水晶玉を机へ置いた。
「順番に触れてください。」
一人ずつ前へ出て、水晶へ触れる。
「火属性ですね。」
「風属性です。」
「土属性。」
生徒たちが順番に測定されていく。
そして。
「アルベルト君。」
俺の番だった。
前へ出る。
水晶へ手を置いた。
次の瞬間。
眩い光が教室中を包んだ。
「なっ!」
教師が目を見開く。
水晶は七色に輝き、教室全体を照らしていた。
「壊したか?」
俺は手を離す。
すると光は収まった。
教師は震える声で呟く。
「全属性……。」
「ん?」
「王国でも数えるほどしか存在しない適性です……。」
教室がざわつく。
「すごい……。」
「初めて見た。」
「噂以上じゃないか。」
「…………。」
また面倒なことになった。
「座っていいか。」
「は、はい!」
席へ戻る。
するとリリアが身を乗り出してきた。
「男爵様って、本当にすごいんですね!」
「そうでもない。」
「でも全属性ですよ!」
「使えなきゃ意味はない。」
適性があるだけだ。
強いとは限らない。
しかし。
「その考え方……。」
リリアは目を輝かせる。
「力に溺れないなんて素敵です!」
「違う。」
「ますます尊敬しました!」
「……。」
話が通じない。
授業が終わると、教師が俺の前へやってきた。
「アルベルト君。」
「なんだ。」
「放課後、お時間をいただけますか?」
「嫌だ。」
「学院長がお呼びです。」
「なおさら嫌だ。」
教師は苦笑した。
「申し訳ありませんが、断ることはできません。」
「……。」
学院長。
また面倒な相手が増えそうだ。
俺は静かに天井を見上げた。
学院へ来てまだ一日。
それなのに、もう嫌な予感しかしなかった。
第17話を読んでいただきありがとうございます!
学院生活が本格的に始まりました。
アルベルトは静かに過ごしたいだけですが、早くもその実力が注目を集め始めます。
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