第151話 悪役なら世界交流会を開催する
グランディア領。
朝。
いつもとは違う。
街の入口には。
大量の旗。
各国の紋章。
「……。」
俺はそれを見る。
「大げさすぎる。」
リリアが笑う。
「世界各国の代表が来るんですよ?」
「だからといって。」
「普通はこうなります。」
セレナが資料を見る。
「人間国家。」
「魔族領。」
「獣人連合。」
「さらに。」
「世界外側の観測者も参加予定です。」
「……。」
最後だけおかしい。
「なぜ来る。」
「興味があるからだそうです。」
「……。」
観測者。
未だに理解できない存在だ。
しかし。
今では。
敵ではない。
街へ出る。
準備をする住民たち。
「男爵様!」
「会場はこちらです!」
「……。」
なぜ。
領主の俺が一番忙しい。
昔。
悪役になろうとしていた自分に言いたい。
数年後。
世界中の代表を迎える仕事をしていると。
絶対信じないだろう。
「アルベルト。」
レオンハルトが来る。
「久しぶりだな。」
「数日前に会った。」
「細かい。」
「……。」
カイル王子。
エリシア王女。
さらに。
イリス。
「準備状況。」
「問題ありません。」
以前は。
命令だけを実行する存在だった。
今は。
自分で判断している。
「変わったな。」
思わず言う。
「?」
「何でもない。」
交流会。
各国の代表が集まる。
最初。
緊張していた者たちも。
少しずつ話し始める。
「魔族の料理。」
「初めて食べました。」
「美味しいですね。」
「人間の技術も興味深い。」
小さな会話。
それが。
昔なら。
ありえなかった。
「アルベルト男爵。」
一人の貴族が来る。
「この場所は。」
「本当に奇跡ですね。」
「違う。」
即答。
「?」
「奇跡じゃない。」
「……。」
「話しただけだ。」
相手を見る。
「最初から分かり合えたわけじゃない。」
「争いもあった。」
「でも。」
「話すことをやめなかった。」
「……。」
貴族は静かに頷いた。
夜。
交流会の最後。
庭園。
俺は一人でいる。
「静かだ。」
久しぶりに。
本当に静か。
「男爵様。」
リリアが来る。
「ここにいましたか。」
「何か。」
「皆さんが探しています。」
「……。」
やはり。
「最後まで一人にはなれませんね。」
「……。」
昔なら。
嫌だった。
でも。
「悪くない。」
リリアが笑う。
「今。」
「何か言いました?」
「何も。」
その時。
空に光。
全員が見る。
イリスが反応する。
「通信です。」
「誰から。」
空間に文字。
『世界管理システム』
『最終確認』
「……。」
また。
イリスが読む。
『アルベルト・フォン・グランディア』
『あなたの影響による世界変化を確認』
『評価を終了します』
「……。」
そして。
最後の一文。
『あなたを』
『この世界の正式な住人として認定します』
「……。」
意味が分からない。
リリアが笑う。
「認められたんですね。」
「最初から住んでいる。」
「そういう意味ではないと思います。」
空を見る。
世界を変えた。
と言われても。
実感はない。
ただ。
目の前の人たちを助けただけ。
「……。」
それで。
十分だった。
第151話を読んでいただきありがとうございます!
世界交流会を通して、人間・魔族・各種族が同じ場所で過ごす未来が描かれました。
また、世界管理システムからアルベルトへの最後の評価も行われました。
次回、物語の終わりへ向けて「アルベルトが選ぶ未来」の章へ進みます。




