↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
150/183

第150話 悪役なら国際交流都市を運営する

 グランディア領。


 国際交流都市。


 その名前が正式に決まってから。


 領地はさらに忙しくなった。


「……。」


 机の上。


 書類。


 書類。


 そして。


 書類。


「増えたな。」


 俺は呟く。


「以前の数倍ですね。」


 リリアが答える。


「なぜだ。」


「発展しているからです。」


「……。」


 納得したくない。


 だが。


 窓の外を見る。


 街は変わった。


 新しい店。


 新しい家。


 様々な種族が歩いている。


 昔のグランディア領とは別の場所だ。


「男爵様。」


 セレナが報告書を持ってくる。


「交流学校の入学希望者。」


「予定人数を超えました。」


「……。」


「さらに。」


「各国から視察希望が。」


「……。」


 予想以上だ。


 国際交流都市。


 名前だけではなかった。


 本当に。


 世界中から注目されている。


「断る。」


「え?」


 リリアが驚く。


「全部は無理だ。」


「ですが。」


 セレナが笑う。


「もう断れる状況ではないと思います。」


「……。」


 その日の午後。


 街へ出る。


 視察団。


 人間の貴族。


 魔族の研究者。


 獣人の商人。


 全員が街を見る。


「素晴らしい。」


「種族間の争いがない。」


「本当に実現しているとは。」


 俺は少し離れて見る。


 褒められる理由が分からない。


 ただ。


 問題が起きたら解決しただけだ。


「アルベルト様。」


 一人の少年が近付いてくる。


 人間。


 隣には魔族の少女。


「学校で友達になりました。」


「……。」


 少女が言う。


「最初は怖かったです。」


「でも。」


「話したら普通でした。」


 少年も笑う。


「俺も。」


「魔族は怖いと思ってた。」


「でも。」


「今は友達です。」


「……。」


 その言葉。


 昔なら。


 聞き流していた。


 しかし。


 今は。


 少しだけ。


 嬉しいと思う。


「男爵様。」


 リリアが小声で言う。


「また顔に出ています。」


「出ていない。」


「はい。」


 絶対信じていない。


 夜。


 屋敷。


 国王から通信が届く。


「またか。」


 嫌な予感。


『アルベルトへ』


『グランディア領の成功を受け』


『王国全体で交流都市制度を導入したい』


「……。」


 つまり。


 この領地のやり方を。


 国全体へ広げる。


 リリアが聞く。


「どうしますか?」


 俺は窓を見る。


 昔なら。


 面倒だから断った。


 今なら。


「協力する。」


「……。」


 リリアが笑う。


「変わりましたね。」


「必要だからだ。」


 いつもの答え。


 でも。


 少し違う。


 翌日。


 新しい知らせ。


『グランディア領へ』


『世界各国の代表者が集まる予定』


「……。」


 俺はため息を吐く。


「領地なのに。」


「王城より人が来るな。」


 しかし。


 庭を見る。


 笑い声。


 人々の生活。


「……。」


 悪くない。


 そう思えるようになっていた。

第150話を読んでいただきありがとうございます!


グランディア領が、ただの領地ではなく「人間と魔族が共に暮らす象徴」になっていく回でした。


アルベルト自身は相変わらず自覚がありませんが、彼が作った環境が世界へ広がろうとしています。


次回、世界各国の代表がグランディア領へ集まる交流会編へ進みます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。