第15話 王立学院へ来い
王都から戻って数日。
ようやく静かな生活が戻ってきた。
「……落ち着く。」
やっぱり自分の領地が一番だ。
王女もいない。
面倒な貴族もいない。
今日からまた悪役として頑張ろう。
そう思っていた。
「坊ちゃま。」
執事が部屋へ入ってくる。
「王都より急ぎの使者がお見えです。」
「帰れ。」
「まだ何も聞いておりません。」
「どうせろくでもない。」
「……お通ししても?」
「勝手にしろ。」
執事が扉を開く。
入ってきたのは、王家の紋章が入った制服を着た男性だった。
「アルベルト・フォン・グランディア男爵様。」
「俺だ。」
「陛下より親書を預かっております。」
「……王様?」
嫌な予感しかしない。
封を切る。
『アルベルト・フォン・グランディア男爵へ。
そなたの功績は既に耳へ届いている。
ついては王立学院へ入学し、次代を担う若き貴族たちを導いてほしい。』
「…………。」
紙を閉じる。
もう一度開く。
見間違いじゃなかった。
「なんで?」
思わず口から漏れた。
「坊ちゃま?」
「なんで学院なんだ。」
俺は悪役だぞ。
教師でもなければ優等生でもない。
すると使者が補足する。
「学院長自ら希望されたそうです。」
「帰る。」
「まだ最後まで聞いておりません。」
「聞きたくない。」
「王女殿下も大変喜ばれております。」
「なおさら行きたくない。」
レオンが腕を組む。
「坊ちゃま。」
「なんだ。」
「王命です。」
「断れないのか。」
「……難しいかと。」
最悪だった。
領地で悪役生活を送る計画が、一瞬で崩れた。
しかも学院。
貴族の子息令嬢が集まる場所。
「絶対嫌われる。」
よし。
逆に考えよう。
学院なら同年代ばかり。
屋敷の使用人や領民みたいな勘違いは起きないはずだ。
傲慢に振る舞えば。
見下せば。
威張れば。
今度こそ嫌われる。
「……悪くない。」
レオンが首を傾げる。
「何かおっしゃいましたか?」
「学院へ行く。」
「おお!」
執事とエレナが同時に笑顔になった。
「坊ちゃまが学院へ!」
「ご学友もたくさんできますね!」
「違う。」
友達なんか作らない。
俺は嫌われに行くんだ。
悪役として。
誰からも嫌われるために。
そう決意したアルベルトはまだ知らない。
学院には王女以上に面倒な相手が待っていることを。
第15話を読んでいただきありがとうございます!
ここで第一章が終わり、新章へ突入です!
次回からはいよいよ学院編がスタートします!
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