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第148話 悪役なら貴族制度を変える

 王城。


 最高評議会。


「……。」


 俺は席に座っていた。


 まただ。


 静かな生活から。


 会議へ。


「アルベルト男爵。」


 国王が笑う。


「今日は珍しく逃げなかったな。」


「……。」


「逃げる必要がないからだ。」


 周囲が少し驚く。


 昔なら。


 この時点で帰ろうとしていた。


 リリアが小声で言う。


「成長しましたね。」


「聞こえている。」


「はい。」


 今日の議題。


 貴族制度改革。


 長年続いた制度。


 身分による権力。


 それを見直す。


「現在。」


 大臣が説明する。


「能力のある平民がいても。」


「生まれによって機会が限られています。」


「……。」


 昔の俺なら。


 貴族側だった。


 グランディア家。


 高い身分。


 何もしなくても立場がある。


 しかし。


「問題がある。」


 俺が言う。


 全員が見る。


「身分で決めると。」


「優秀な人間を逃す。」


「……。」


「逆に。」


「能力がない者でも。」


「権力を持てる。」


 貴族たちがざわめく。


「しかし。」


 一人の貴族が言う。


「伝統を壊すことになります。」


「……。」


 伝統。


 便利な言葉だ。


「残すべきものと。」


「変えるべきものは違う。」


 沈黙。


「昔からあるから正しい。」


「それなら。」


「魔族との交流も。」


「昔から敵だったから。」


「否定するのか。」


「……。」


 誰も答えない。


 リリアが小さく笑う。


「男爵様。」


「?」


「昔より言葉が厳しくなっています。」


「必要だからだ。」


「はい。」


 国王が頷く。


「では。」


「具体案を聞こう。」


「……。」


 面倒な部分だ。


 だが。


 逃げる理由もない。


「試験制度を作る。」


「身分ではなく。」


「能力を見る場所を。」


「そして。」


「貴族にも責任を持たせる。」


「……。」


 会議は長く続いた。


 反対。


 賛成。


 様々な意見。


 簡単には決まらない。


 しかし。


 最後。


 国王が言った。


「まずは試験的に。」


「グランディア領から始めよう。」


「……。」


 なぜ。


 俺を見る。


「適任だろう?」


「……。」


 また。


 押し付けられた。


 しかし。


「分かった。」


 自分でも驚くほど。


 自然に答えた。


 帰り道。


「男爵様。」


 セレナが言う。


「引き受けましたね。」


「……。」


「嫌ではないのですか?」


 少し考える。


「嫌だ。」


「即答ですね。」


「だが。」


「必要ならやる。」


 リリアが微笑む。


「それ。」


「昔のアルベルト様なら。」


「絶対言わなかったと思います。」


「……。」


 屋敷へ戻る。


 机の上。


 大量の資料。


「……。」


「やはり。」


「静かな生活ではない。」


 でも。


 窓の外。


 街を見る。


 人々が暮らしている。


 魔族も。


 人間も。


 笑っている。


「……。」


 悪くない。


 その時。


 新しい報告。


「男爵様。」


 執事が入る。


「グランディア領へ。」


「新しい移民団が到着しました。」


「?」


「人間と魔族。」


「共同で暮らすことを希望しているそうです。」


「……。」


 また。


 新しい変化。


 俺の領地は。


 少しずつ。


 世界の縮図になっていた。

第148話を読んでいただきありがとうございます!


今回は戦いではなく、アルベルトが「壊す側」ではなく「作る側」になっていく話でした。


悪役として始まった彼が、今では制度を変え、人々の未来を考える立場になっています。


次回、グランディア領に集まる新たな住民たちとの交流編へ進みます。

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