第143話 悪役なら世界の選択を守る
世界の境界。
白い光に包まれた空間。
管理者。
その存在が持つ最後の力。
『完全修正』
世界を書き換えるほどの力。
「……。」
しかし。
俺たちは立っている。
消えていない。
変えられていない。
「なぜです。」
管理者が問う。
「なぜ。」
「不完全な未来を選び続けられる。」
「……。」
俺は答える。
「簡単だ。」
「?」
「誰かが決めた未来じゃないからだ。」
管理者は沈黙する。
「未来は。」
「選んだ結果だ。」
「間違えることもある。」
「失うこともある。」
「でも。」
「だからこそ。」
「自分たちのものになる。」
リリアが隣に立つ。
「男爵様。」
「私たちは。」
「完璧な世界より。」
「この世界が好きです。」
セレナも頷く。
「苦労もあります。」
「でも。」
「自分で選べるから意味があります。」
レオンハルトが笑う。
「魔族も人間も。」
「昔は争っていた。」
「それでも。」
「変わることができた。」
管理者は全員を見る。
「……。」
「理解不能。」
イリスが静かに言う。
「いいえ。」
「理解しています。」
「管理者。」
「あなたは。」
「恐れているだけです。」
「……。」
管理者の動きが止まる。
「恐れる?」
「はい。」
「世界が壊れることを。」
「間違えることを。」
「だから。」
「全てを管理しようとした。」
沈黙。
初めて。
管理者が迷った。
「私は。」
「世界を守りたかった。」
「……。」
俺は言う。
「知っている。」
「だから。」
「全部否定するつもりはない。」
「?」
「守りたいと思うことは。」
「間違っていない。」
「でも。」
「守るために。」
「全部奪ったら。」
「それはもう守っていない。」
管理者の光が弱まる。
『修正機能』
『停止』
『原因』
『対話による変化』
「……。」
観測者が驚く。
「管理者が。」
「変化した。」
イリスは小さく頷く。
「予測外。」
「しかし。」
「悪い変化ではありません。」
管理者は空を見る。
「私は。」
「世界を固定しようとしていた。」
「……。」
「ですが。」
「世界とは。」
「変化するものだったのですね。」
「ああ。」
短く答える。
管理者は俺を見る。
「アルベルト・フォン・グランディア。」
「あなたは。」
「世界を救おうとしたのではない。」
「……。」
「ただ。」
「自分の大切なものを守った。」
「そうだ。」
「結果。」
「世界が変わった。」
「……。」
管理者は静かに消えていく。
「ならば。」
「この世界の未来を。」
「見届けましょう。」
白い空間が戻る。
戦いは終わった。
世界外側から来た存在。
管理者。
観測者。
全てが去っていく。
残ったのは。
いつもの仲間たち。
「……。」
俺はため息を吐く。
「終わったか。」
リリアが笑う。
「はい。」
「今度こそ。」
「本当に。」
「静かな生活ですね。」
「……。」
その言葉。
信用できない。
だが。
少しだけ。
期待した。
第143話を読んでいただきありがとうございます!
管理者との戦いが決着しました。
管理者は敵ではなく、「守る方法」が違った存在でした。
アルベルトは最後まで世界を変えようとはせず、自分の大切なものを守ることで結果的に世界へ影響を与えました。
次回、世界外側編の後日談へ進みます!




