第124話 悪役なら世界会議に参加する
世界連合会議。
名前だけで。
嫌な予感しかしない。
場所。
大陸中央にある中立都市。
人間国家。
魔族領。
獣人国家。
複数の国の代表が集まる場所。
そして。
「……。」
俺は席に座っていた。
「なぜだ。」
隣のリリアが首を傾げる。
「何がですか?」
「なぜ俺がここにいる。」
セレナが答える。
「世界を救ったからでは?」
「違う。」
「違いません。」
「俺はただ。」
「面倒なことを片付けただけだ。」
リリアとセレナは顔を見合わせる。
そして。
「それが理由なんですよ。」
「……。」
会議場。
中央には各国の代表。
正面には議長。
「本日の議題は。」
「世界各地で確認されている黒魔法について。」
空気が変わる。
やはり。
全部繋がっている。
「王国。」
「魔王領。」
「レイヴェル王国。」
「全てで同じ魔力反応が確認されています。」
資料が配られる。
黒い魔法陣。
古代文字。
「敵の目的は。」
議長が続ける。
「世界規模の魔力収集。」
「その先に何かを復活させる可能性があります。」
ざわめき。
「また復活か。」
「古代魔王以上の存在なのか?」
「……。」
その時。
一人の代表が言った。
「ならば。」
「最強の戦力を集めるべきだ。」
「軍を増強し。」
「敵を力で潰す。」
別の代表も頷く。
「それしかない。」
「……。」
俺は黙って聞く。
しかし。
「違う。」
思わず口に出た。
全員が見る。
「……。」
しまった。
目立つ。
「何が違うのだ?」
獣人国家の代表が聞く。
「敵は。」
「力を集めている。」
「なら。」
「こちらも力を集めるべきでは?」
「それでは。」
俺は答える。
「同じことになる。」
「?」
「敵は。」
「力があれば世界を変えられると思っている。」
「だが。」
「力だけでは。」
「守るものは作れない。」
静かになる。
魔王レオンハルトが頷く。
「……。」
「君らしい答えだ。」
「違う。」
「?」
「早く終わらせたいだけだ。」
会議場の何人かが苦笑する。
しかし。
議長は真剣な顔で言った。
「アルベルト男爵。」
「あなたに聞きたい。」
「もし。」
「敵が世界を変えようとしているなら。」
「どう対抗する?」
「……。」
難しい質問だ。
以前なら。
答えられなかったかもしれない。
だが。
今は。
「守りたいものを決める。」
「……。」
「それだけだ。」
「国。」
「種族。」
「立場。」
「関係ない。」
「守りたいものがあるなら。」
「戦えばいい。」
沈黙。
そして。
各国代表が少しずつ頷く。
「……。」
その日の会議。
正式に。
『世界共同調査団』
の設立が決まった。
そして。
なぜか。
「代表責任者。」
議長が言う。
「アルベルト男爵にお願いしたい。」
「……。」
沈黙。
「断る。」
即答。
全員が笑った。
「でしょうね。」
リリアが言う。
「ですが。」
議長は続ける。
「決定事項です。」
「……。」
俺は空を見る。
「またか。」
世界規模になっても。
静かな生活は。
まだ遠かった。
第124話を読んでいただきありがとうございます!
新章「世界連合会議編」開始です!
これまで各地で起きていた事件が、ついに一つの大きな問題として繋がります。
アルベルトは望んでいませんが、世界規模の問題の中心人物になっていきます。




