第120話 悪役なら隣国王女を警戒する
王城。
応接室。
隣国第二王女。
その人物との面会の日。
「……。」
俺は椅子に座る。
嫌な予感がする。
王子。
使者。
今度は王女。
なぜ。
俺の周りには王族ばかり集まるのか。
「男爵様。」
リリアが言う。
「緊張していますか?」
「していない。」
「では。」
「なぜそんな顔を?」
「面倒だからだ。」
セレナが苦笑する。
「それはいつものことですね。」
扉が開く。
「失礼します。」
入ってきたのは。
金色の髪。
穏やかな笑顔。
「第二王女。」
「エリシア・フォン・レイヴェルです。」
「……。」
王女は俺を見る。
そして。
少し笑った。
「噂通りですね。」
「?」
「本当に。」
「英雄らしくない方です。」
「……。」
また言われた。
「褒めているのか。」
「はい。」
即答。
「……。」
理解できない。
エリシア王女は席につく。
「兄から聞きました。」
「アルベルト男爵は。」
「自分の利益を考えず。」
「相手のことを考える人だと。」
「違う。」
「?」
「面倒を減らしたいだけだ。」
「ふふ。」
王女は笑う。
「それでも。」
「結果は変わりません。」
「……。」
話題は外交。
隣国との交流。
魔族との関係。
そして。
王国の改革。
「一つ。」
エリシア王女が聞く。
「あなたは。」
「何を目指しているのですか?」
「……。」
また。
その質問。
俺は答える。
「静かな生活。」
「……。」
部屋が静まる。
リリアが少し笑いをこらえる。
「本当にそれだけなんですね。」
「当然だ。」
エリシア王女は。
しばらく俺を見る。
そして。
「素敵ですね。」
「?」
「え?」
リリアも驚く。
「普通。」
「権力を持つ人は。」
「もっと大きなものを望みます。」
「国王。」
「世界。」
「名誉。」
「でも。」
王女は微笑む。
「あなたは。」
「自分が大切なものを分かっている。」
「……。」
違う。
ただ。
面倒なことを避けたいだけだ。
その後。
王女は城内を見学することになった。
案内役。
なぜか俺。
「なぜ俺が。」
国王は笑う。
「君が一番適任だからだ。」
「断る。」
「もう決まっている。」
「……。」
庭園。
廊下。
王城内部。
エリシア王女が言う。
「あなた。」
「本当に周囲をよく見ていますね。」
「?」
「さっき。」
「兵士の装備が古くなっていることに気付きました。」
「侍女の人数不足にも。」
「……。」
見ただけだ。
「それを。」
「普通は言わないんです。」
「なぜ。」
「立場が違うからです。」
「……。」
少し考える。
「なら。」
「言えばいい。」
「?」
「困っているなら。」
「直せばいい。」
エリシア王女は目を細める。
「やっぱり。」
「あなたは変わっています。」
「……。」
その夜。
隣国王女から正式な申し出が届く。
『アルベルト男爵との交流を継続したい』
「……。」
俺は手紙を見る。
「なぜだ。」
リリアが笑う。
「好感度が上がったからでは?」
「意味が分からない。」
セレナも微笑む。
「もう慣れましょう。」
「……。」
しかし。
翌日。
さらに予想外の知らせ。
『隣国で政変の兆候あり』
『王子と王女の身に危険』
「……。」
俺は空を見る。
「またか。」
静かな生活への道は。
まだ遠い。
第120話を読んでいただきありがとうございます!
隣国王女エリシアが登場しました。
アルベルトはいつも通り「静かな生活」を望んでいますが、その価値観が逆に周囲から高く評価されています。
次回、隣国の政変とアルベルトの新たな騒動が始まります!




