第12話 王女からの招待
舞踏会が終わった翌日。
王都に用意された屋敷で朝食を取っていると、慌ただしくレオンが部屋へ入ってきた。
「坊ちゃま。」
「なんだ。」
「王城から使者がお見えです。」
「……王城?」
「はい。」
昨日の舞踏会で何かやらかしたか。
不敬罪。
その辺りだろう。
ようやく悪役らしい結果になったじゃないか。
「通せ。」
「失礼いたします。」
部屋へ入ってきたのは、白い制服を身に纏った王宮騎士だった。
「アルベルト・フォン・グランディア男爵様。」
「俺だ。」
「王女殿下よりお手紙を預かっております。」
「手紙?」
騎士から封筒を受け取る。
王家の紋章が刻まれた立派な封だ。
中を開く。
『昨日はありがとうございました。
もしお時間がございましたら、本日、お茶をご一緒していただけませんか。
お返事をお待ちしております。』
「…………。」
俺は無言で手紙を閉じた。
「レオン。」
「はい。」
「断る。」
即答だった。
「ですが……。」
「悪役が王女とお茶なんかするか。」
そんなことをしたら、ますます勘違いされる。
距離を置くのが一番だ。
「お断りの返事を書け。」
「本当によろしいのでしょうか。」
「ああ。」
「……承知いたしました。」
数時間後。
再び使者がやって来た。
「男爵様。」
「なんだ。」
「王女殿下より伝言です。」
「聞くだけ聞こう。」
「『お忙しい中、お返事ありがとうございます。でしたら、私の方から伺います』とのことです。」
「…………。」
「本日午後にこちらへお越しになられるそうです。」
「は?」
なんでそうなる。
断ったよな?
断ったはずだよな?
レオンが静かに口を開く。
「坊ちゃま。」
「なんだ。」
「王女殿下も引く気はないようです。」
「困る。」
悪役なんだぞ、俺は。
王女が自分から来るなんて聞いたことがない。
その頃。
王城では。
「殿下。」
一人の侍女が困ったように声を掛ける。
「本当に男爵様の屋敷へ向かわれるのですか?」
「ええ。」
王女は嬉しそうに微笑んだ。
「初めてでした。」
「何がでしょう。」
「私を王族ではなく、一人の人間として接してくださった方は。」
侍女は苦笑する。
「また断られるかもしれませんよ?」
「その時は、その時です。」
王女は窓の外を眺める。
「ですが。」
自然と笑みがこぼれる。
「だからこそ、もっとお話ししてみたいんです。」
第12話を読んでいただきありがとうございます!
今回は王女視点も少しだけ登場しました。
アルベルト本人は全力で距離を取ろうとしていますが、王女は逆に興味を深めてしまっています。
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